とうとう10%へ、知らないでは済まされない消費税の行方

先日、安倍総理が10%への増税を延期無く行うことを発表した。確かにプラス成長には転じたものの、実感できていない国民が多いのが実情ではないだろうか。消費の冷え込みや企業の設備投資減が懸念される中、エコノミストは楽観的な見解を示している。10%となってからどういった動きを見せるか注目である。

増税、その使われ道とは

増税によって増えた税収は全て社会保障費に充てられる。社会所消費といってもそのほとんどは高齢化社会への対策だ。高齢化によって膨れ上がる医療費や介護費用の予算に使われる、また、待機児童対策等の子育て支援にも使われる。さらに、年金の財源確保や国債にも充てられるのでそのほとんどが据え置きということになる。

若い世代への還元は直接的には無いと考えてもよさそうだ。元々消費税というものは、高齢化社会への対策で始まったものだから仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。しかし、消費税を一番払う世代に還元されないのは少々納得がいかないのも当然だろう。

消費税が高い国と比較

さて、ここで比較をしてみる。消費税の高い国3つ、現在10%を施行している国1つを調べてみた。様々な要因が考えられるが人口とエネルギー自給率に注目してみた。国民の生活に掛かる費用という観点からこの二つを取り上げている。

消費税が高い国、まずはアイスランドだ。税率は25.5%で人口は31万人ほど。大学まで無料で通うことが出来る。電力は水力と地熱でまかなわれている。
次にノルウェーだ。税率は25%で人口は560万人ほど。医療費と教育費が無料である。再生可能エネルギーへの移行が活発で40%を達成している。
最後はノルウェーだ。税率は同じく25%で人口は510万人ほど。出産費用や大学までの学費がほぼ無料である。産油国である。物価は高い。

やはりエネルギー自給率が高く、化石燃料への依存が低い。そういった意識も重要なのかもしれない。ノルウェーは産油国なのでさらに収入がある。どの国もしっかり国民に還元されており国民の満足度も高い。

現在10%の国はオーストラリアを取り上げる。人口は2300万人で、公営医療機関は無料である。社会的弱者への援助も充実している。高齢化について、比率は15%弱で日本の半分といったところだ。エネルギーについて、化石燃料が主流であるが、多くの資源産出国であるため、やはり収入がある。

これらを見ると、1億2000万人という人口と25%ほどの高齢化率、低いエネルギー自給率を抱える日本では10%で足りるのかという印象だ。エネルギーが自給自足出来ない以上、余計なコストがかさみ社会保障に回せない状況だろう。

我々はどうすべきか

国民の意向を無視した増税。景気回復を実感出来ず、従うしかない現状に不満タラタラなのも事実だ。しかし、このような事態になった原因は我々にも多少なりともあると筆者は感じる。
高齢化社会で、若い世代が選挙に行かない状況ではマニフェストは必然的に高齢者向けに設定されてしまう。高齢者の資産は税金が取られることなく年金で膨れ上がる。もちろんそれは一概に言えたことはない。

だが、税金を取るべき部分は他にもあるように感じている。比較に用いた国々でも国民の政治意識は高く、税金の使われ道が監視されているのも事実だ。
税金がどう使われていて、どう使われるべきかを国民がしっかり考えなければならない。

しかし、減少する人口、増加する高齢者、増加するエネルギー費用や国債などの状況を見ると、八方塞という感じを受ける。消費税増税も必要だ。もちろん、他の税金や国会議員の定数削減など他の対策も講じた上での話だ。10%がどう作用するか。軽減税率がどう機能するか。注意深く観察する必要がありそうだ。

富良田良

富良田良

24歳。男。名古屋市。うつ病で退職中。外交問題、資源、エネルギー問題に関心あり。メディアに踊らされた政治選択を脱却すべきと.考える。

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