結局のところ自分の1票で何が変わるのか?

選挙の時期になると「選挙へ行こう」「投票率を上げよう」「○○を宜しくお願いします」といった喧伝がされるようになります。ですが自分が1票入れたところで何か意味があるのでしょうか。こうした素朴な疑問に向き合ってみましょう。

個人の持つ投票の影響力

例えばあなたが独立国家として宣言したとします。国民も政治家もあなた一人です。次の大統領は投票によってあなたが選ばれました。
これは自分の意思で全てを選ぶことができる状況なので、1票で物事は左右されます。この場合100%の影響力がある事になります。2人の国家であれば50%の影響力があり、10人の国家であれば10%の影響力があると言えます。

2015年現在の日本の国民数は、総務省統計局の人口推計によると1億2688万人となります。その内、成人の数は1億人程度です。個人の発言力は1/1億なので、0.000001%となります。100万人揃って初めて1%に到達します。
数値だけみると個人の投票は何一つ影響が無いことが分かってしまいました。

組織票の力と個人の力

個人での影響力は皆無ですが、組織として投票したときには力を持つようになります。
代表的な組織票として農協がありますが、この構成員は1000万人います。完全に統率が取れた場合には投票において10%もの影響力を発揮するのです。労働組合の構成員も700万人程度いるので7%の影響力を持っています。他にも数万規模の組織は多く存在します。

こうなると個人にとって「投票なんて馬鹿らしい」と思うのも仕方ありません。結局の所、数万から1000万の組織票の前には個人は芥子粒みたいなものなのです。

若者の浮動票で世の中が変わる?

「若者の浮動票が凄い数だよ投票行こうよ」という話を目にしたこともあるかと思います。
確かに2015年現在、20代の投票率は35%程度、30代でも50%弱となっています。
20代は1300万弱、30代は1500万程度の人数がいるので、浮動票はそれぞれ20代で845万票、30代では750万票あります。
そのため「めっちゃ影響力あるじゃん投票いこうぜ」と喧伝されるのです。

しかしそれは、この浮動票を塊として見た場合でしかありません。
「国民全員から1円集めたら1億なるじゃん貰おうぜ」と同じような話でしかないのです。主義主張の異なる個人が浮動票なので、統率を取ることはできません。そのため、浮動票が0になっても票はばらけ、その影響力は薄いものとなるでしょう。

しかしそれは政治への理解が現状のままの場合です。
もし政治に対して理解が少しでも進めば、浮動票は統率されるかもしれません。

政治によって受ける直接的な利益

浮動票層は基本的に政治に対して関心がありません。勝手にやってくれ、というのが本音ではないでしょうか。しかしそれは政治によって受けられる利益について具体的なイメージができないからだと思われます。

例えば自分に1億円くれる政党があったとしたら多くの人は投票するでしょう。
そんな馬鹿な話はないじゃろ、と怒る方もいると思いますがこれらは実現しています。
実際には公共施設の建設や地域振興券といった形でお金が降り注ぐのです。(最も一部の企業に利益は偏るでしょう)

こういった行為は「ばら撒き」と呼ばれ非難を受ける行為です。なぜなら国民の税金から費用が捻出されるからです。ですが直接利益を享受できる地域住民にとっては、これほど分かりやすい利益はありません。自分がお金を貰えるのであれば、投票率も上がるはずです。

自分に入るお金を軸にして政党を見る

ばら撒きではありませんが、自分が利益を得られる政党を調べることは自分にとって良い結果をもたらします。社会とか少子化とか経済がどうのこうの、というのは関係ありません。自分のような人間へどの政党がどれほどのお金を落とすのか、といった基準で見るのです。

浮動票層がお金を軸にして政治を見るようになれば、各政党もそのアピールをし始めるはずです。そうなると簡単に自分の利害と照らし合わせて政党を選ぶことができるようになります。お金という価値基準の軸があれば、浮動票層も政党を選ばない理由がありません。
こうして浮動票層は自然とある程度の統率を持って組織票と対抗できるようになるでしょう。

現状では個人の1票はまだ何も影響力を持っていません。しかし浮動票がいつ統率されるかは誰にも分かりません。その時のための練習や話の種にするために、今の所は気軽に投票しておきましょう。

飯田橋忠助

飯田橋忠助

30代男性、千葉県在住のライター。休日は近所のスーパー銭湯で汗を流す。サウナは8分で出たいが正直言って6分から苦しい。あんまり長いと立ちくらみを起こすので皆さんもお気をつけて。

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