18歳に選挙権が引き下げられた理由と憲法改正の関係をご存じですか?

2015年は安全保障関連法案に関連して、大学生達が中心となった学生団体が国会前でデモをおこない、その行動に触発された高校生たちもデモ活動をおこなうなど、若者が政治に興味を実は持っているというのが分かった1年でした。2016年の参院選から選挙権が18歳に引き下げられます。何故、18歳に引き下げられるのでしょうか?今回は選挙権と公職選挙法、そして憲法についてお話をいたします。

選挙権

公職選挙法の第9条によれば、日本国民で年齢が20歳以上の者は選挙権、つまり選挙に参加する権利を持っているのです。

そして、2015年6月の国会において、公職選挙法が改正され、日本国民で年齢が18歳以上の者には選挙権が与えられることになりました。2016年の参議院選挙からは18、19歳の計240万人が新しく選挙に参加できるようになるのです。

憲法改正のための国民投票法

何故、選挙権を18歳に引き下げたのか?
これは約190か国の9割が選挙権は18歳以上という世界の時流とも少々関係はあるのですが、「国民投票法」という法律に関係があります。

この国民投票法ですが、簡単に言えば、憲法96条に掲げられている憲法改正のための、具体的な手順を決めた法律で、正式名称は「日本国憲法の改正手続きに関する法律」となっています。
憲法を改正するためには、衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成を得て、改憲案が発議されます。そして国民投票で過半数の賛成を得ると、憲法改正となるのです。

この国民投票に関しての手順などですが、2007年に国民投票法が成立されるまで、実は投票権や投票方法などについて、まったく決まっていませんでした。国民投票法において、改憲の際の国民投票ができる投票権が18歳に認められています。

国民投票する権利、つまり改憲の是非に参加できる権利があるのに、選挙に参加する権利がないのはおかしいとして、公職選挙法が改正され18歳に選挙権が引き下げられたのです。

高校生に選挙権は安全?

ふと、高校生に選挙権を与えるのは果たして安全なのだろうか、という疑問が過りました。
その理由は教育者の存在です。

高校生は、大人ぶったとしてもまだまだ純粋です。そのため、様々な思想に染まりやすく、教育者の中には職権を乱用し生徒へある種の思想教育をする人がいます。
公職選挙法136条の2で、地位を利用しての選挙運動は禁止されていますが、例えば、卒業式という晴れの舞台で、国歌斉唱を拒否して減給され裁判を起こす教師もいるのですから、職権を乱用する可能性も十分にあります。

ただ、政治活動をする教師たちをSNS上で冷静に観察をしている高校生たちの存在もあるので、一概に悲観することもないのかな、とも考えます。

国民投票法が成立するまで、日本国憲法改正の具体的な手続きがなかったことに驚いたのですが、国民投票法によって選挙権が18歳に引き下げられました。
今年の参議院選挙から18歳以上の方々が投票できるようになるので、2015年の学生団体のデモ活動は無駄ではなかったのかな、とも考えます。

若者が政治に興味を示さなければ、政治家は票を入れてくれる高齢者に優しい政策を打ち出さねばなりません。
学生団体は、楽しいのでデモに参加して意見を反映させよう、と言っていましたが、意見を反映させる方法は、日本では選挙だけなのです。
おそらく、職権を乱用する教師も出てくるでしょうが、新しく選挙権が与えられる方々は自分の意見を持って、棄権することなく一票を投じてほしいです。

宮本武則

宮本武則

30代男。接客業で東京都在住。某電気店に勤め、休日は英会話の勉強中。日本のエネルギー問題と日本と諸外国の政治に強い関心あり。