選挙のたびに、投票率の低さが話題になります。直近の国政選挙では、2014年の衆議院選挙は、52.66%と過去最低、2013年の参議院選挙では52.61%と過去3番目に低い投票率でした。有権者の半数近くが投票に行っていないことになります。
選挙に行くのが面倒だから投票しない?
選挙権は、「人類の多年にわたる努力の成果」の一つなのに、多くの人が自らその権利を放棄していることになります。
一方で、投票に行かない人の気持ちもわかります。「どうせ投票に行ったところで、政治が変わるわけない」といったこともよく聞きます。確かに自分の一票で選挙結果が変わるわけではありませんから、投票に行く気が起きないのも無理はないでしょう。
選挙や投票の意義を考えて、自分の一票の重みはあまりに薄いからというのも投票に行かない一つの理由でしょうが、投票に行くのが単純に面倒臭いというのがあるかもしれません。
駅やショッピングモールで投票できるようになれば
わざわざ日曜日に近所の学校に出かけて投票するなんて、貴重な休日なのに時間がもったいないと感じる人もいるでしょう。
投票に行くくらいなら遊びに行ったほうがいいと思うほうが自然かもしれませんね。
では、駅やショッピングモールなど、休日によく行くような場所で投票ができたらどうでしょう。ついでだから投票してみようという気にもなるのではないでしょうか。
投票日には指定された学校の体育館などで投票しなければなりませんでした。実は2016年の参院選から、駅やショッピングモールに投票所が設けられていれば、そこで投票できるように公職選挙法が改正されました。
これまでも、期日前投票といって、投票日より前に投票する場合に、ショッピングモールなどに投票所が設けられる事例もありましたが、それが今回からは投票日でも可能になったのです。これで選挙に行くめんどくささがだいぶ解消されるのではないかと期待できます。
魅力的な候補者が立候補すれば
ただやはり、選挙自体に興味がないとわざわざ投票に行かないという人も多いかもしれません。あるいは、魅力的な候補者がいないから投票する気が起きないということもあるでしょう。
そういう意味で、参議院選挙にはタレントなどの有名な人が立候補する場合もありますので、既存の政治家には期待できなかったような人も、他の分野で活躍してきた人ならばと、投票したい気持ちになるかもしれません。
タレント議員には、「有名なだけで政治について何も知らないのに議員になっても何もできない」といった批判も聞かれますが、国民の政治に対する関心を高める上では、意義は小さくないのではないでしょうか。
自分の一票の重みが感じられる選挙制度になれば
さらに選挙制度についても改善の余地がありそうです。現在は衆議院も参議院も選挙区と比例代表の組み合わせです。
衆議院の選挙区はすべて一人しか当選しない小選挙区制、参議院の選挙区も大半が一人しか当選しない一人区です。一人しか当選しない選挙制度だと、最上位の候補者以外はすべて落選し、それらの人に投じられた票は無駄になってしまいます。
選挙区によっては、とても強い候補者がいて、選挙をする前から結果が見えているような場合も少なくありません。これでは、わざわざ選挙に行く意義が感じられないでしょう。
その点、市議会議員や町議会議員の選挙では、市町村全体が一つの選挙区で、数十人が当選することも多いです。そして場合によっては1票差で当落が決まることもあり、投票する方としても自分の一票の重みを感じられることでしょう。
あるいは、比例代表制ならば、得票に応じて比例配分するわけですから、自分が投票した政党が少数であってもその党に少しは議席が配分されるわけで、小選挙区制よりは投票する気になるかもしれません。
このように、投票率を上げるためには、投票方法や候補者、選挙制度など、まだまだいろいろ改善できる余地がありそうです。
今のように半分の人しか選挙に参加しない状態は民主主義の危機とも言えます。多くの人が選挙に参加できるような環境づくりを国会議員に当選した方々には望みたいものです。