政治への第一歩と若者の投票意義

私は特別な才能があるわけでもなく、大学に通いながら日夜勉強、アルバイトに明け暮れるごくごく普通の大学生です。その生活の中で学外活動として若者(18歳~20代)に対して投票啓発活動を行っている「学生団体ivote」に所属し、団体を通じて、また時には個人的にも友人らに対して投票の必要性や政治に関わる大切さを伝える活動をしています。(この活動に関してはもしかしたら友人らに迷惑をかけてしまっているかもしれません…)

所属団体のivoteは議員と直接お話しが出来る場を設ける活動から、小~高等学校にて模擬選挙を行う主権者教育までをも行っております。
その目的はまず投票に行ってもらい、若者の投票率を上げることで政治家や政党に対して私達の世代の存在を認知してもらうこと。それにより私達の世代に向けた政治を行ってもらえるようにすることです。
ここでは、これまでの私の経験を基に政治への関わり方の“第一歩”としての手段をお伝えしたいと思っております。

1.どこで、どうやって関わるか?

政治…というとおそらく皆さんはどこか遠い存在だったり、何か抽象的なモノだったりと思われるかもしれません。ですが、少し足を踏みだしてみると意外と身近な存在で私達にとてもよく関わってくることが分かってきます。そこで、ここではその第一歩としてどういう方法で政治に関わることが出来るのかをご紹介したいと思います。

最も良い方法は、“事務所に行ってみる”こと。(最終的な理由は後述します。)
選挙の日が近くなると各候補者は選挙事務所を開きますのでそこに御邪魔させていただきましょう。告示前に各候補者が「○○と語る会」といった名前で事務所に有権者を招いて意見交換をする場を設けることがあります。それを利用するのがベストです。実際、前回の統一地方選挙では私の住んでいる選挙区の候補者も行っており、私も御邪魔させていただきました。
「いきなり事務所に行けと言われてもハードルが高いわ!」
とツッコミが飛んできそうですが、実際行ってみると結構楽しい所ですし、意外と場違いな所でもありません。
その理由をここでは二点ご説明いたします。

第一に選挙前の候補者は地域住民に顔を売ったり、支持を得たりするために必死なのです。
そんな中わざわざ自分の事務所に来てくれた人をないがしろに出来るわけがありません。ですから1人1人としっかり話をしてくれたり、候補者自身の思いを熱く語ってくれたりするのです。時には将来の相談や人生経験をお話ししてくださる方もいます。

第二に、このご時世、若者が政治に関わろうとする姿勢は稀有なものでありほとんどの人が「すごいねぇ」などと褒めちぎってくれます。(若者の政治参加→評価の対象。という時点でいかに政治と若者の距離が遠いという認識が固定されているかが分かりますね。)ですから、何も敵地に乗り込むみたいな考えを持つ必要はありません。むしろ歓迎されるぐらいです。
※だからといって調子に乗って失礼な行為はしないようにしましょう。あくまで謙虚に。

また、どうしても事務所に行くのは厳しい…といった方はぜひ私の所属しているivoteの活動や、学生でも行える議員インターンシップ、はては政党が時々開いている勉強会等を一度経験してみてください。私が何よりもお伝えしたいことはテレビやネットだけで議員や政治の印象を終わらせないで欲しいということ。直接議員やその候補者達とお話をしてください。きっと今までの議員像が変わると思います。

これらがネットやチラシ、ニュース番組を見ましょうと第一に勧めない理由です。

2.何を・どう考えれば良いのか?

1.では政治への関わり方の方法として事務所に行ってみることを紹介させていただきました。
ですが方法をわかってもそもそもどう考えたら良いのかが分からない…という方は多くいらっしゃると思いますので、ここでは第一歩として政治という抽象的な分野をどう考えていけば良いのかについてお話しさせて頂きます。

政治というとおそらく多くの方が国会で話されている内容のものを連想するかと思います。
例えば2015年夏の国会で大きく取り上げられた安全保障の問題や、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、原発の再稼働をめぐる電力問題、少子高齢化に付随して考えられる年金問題や数十年前から問題視され続けてきた待機児童問題に関して等です。ここに列挙した問題にとても強い関心を持ち、すぐに調べてみたい!という方は図書館で関連する書籍(新書など)を読んでみることから始めてみてください。

ですが、やはりそれらに関心は持てないという方、興味はあるが自分の私生活とは距離がありすぎてイマイチ本気で考えられないといった方が多くいるのではないでしょうか?

そんな方にまず知っておいて欲しいことは、“政治は国会だけの問題ではない”という事です。

政治とは広く社会に関わる存在であり、私達の生活のいたるところに関わっています。上記の待機児童の問題であっても子供が生まれたら直面し得る問題ですし、例えば道路が狭いから何とかしてほしい!といった問題も私達の身近な政治機関で解決できます。身近な政治機関とは地方議会であり、それも立派な政治機関なのですから十分可能です。

しかし、「政治=国会」で行うこと。とのイメージが先行しすぎるあまり自分との関連性を否定してしまっている人が多いと思います。それらを踏まえた上で最初の最初に政治を考えるために何が必要か。
それは生活している上での不満について考えることです。

政治とは社会をより良い方へ導く手段ですから、不満を解決するために考えることは政治を考えることと同義です。いきなり安全保障に関して考えようとする必要はなく、まずはどんな些細な事であっても自分の住む地域の問題について考えてみてください。
そして、自分なりに見つけた問題、考えた問題を1.で紹介した方法によって選挙前に候補者にぶつけてみたり、家族や友人と話し合ってみたりとしてください。他者の意見を知ることでどんどん知識は増えていき、もっと興味を持つようになっていくと思います。

3.投票へ

1.で事務所に行ってみることを紹介し、2.でその際に必要な政治の考え方の第一歩をお伝えしました。
ここでは最後に立候補やデモ以外の政治活動の手段として“投票”に関して書かせていただきます。現在の民主主義おいて自らの意見を政治に届ける手段として最も簡単な方法は投票です。1.と2.でお伝えした内容は、究極的にはより良い投票行動に役立てるための準備です。
ではより良い投票行動とは?

それは、自らの意志でこれだと思った候補者、政党に投票することです。

これだけだとそこまで本気になる必要はないのではと思えますが、投票した後に後悔をしないために、それぞれが1.と2.で紹介した方法等で事前に準備をすることが必要です。
せっかく貴重な時間を割いて投票に行くのですから、より自分にとって意味のある投票をしてほしいと思っています。そして何より、社会の問題は政治家や政党が勝手に解決してくれるのではなく自分の行動で解決できるものとして認識してもらいたいと思っています。

ですが現実として若者の投票率は低く、投票に行く人すら少数派である以上、しっかりと自分で考えた上で投票している人は残念ながら少ないでしょう。
2014年に行われた衆議院選挙では20代の投票率は32.58%と、最も投票率の高い60台の投票率(68.28%)と比べると半分以下の数字となっています。

これを踏まえて一つの例題を出します。貴方はある選挙の立候補者となり、ある日60代の方が100人集まる集会と20代が100人集まる集会。このどちらか一方だけで演説が出来るチャンスがきました。60代の方は約70人が投票に行くと言っており、方や20代の方は約30人しか投票に行くつもりはないとのことです。人生をかけた選挙戦、あなたはどちらに出席し、どちらに利のある政策を出しますか?

この答えは私達の世代が考えなければならない問題であると思います。

また、2016年5月現在において待機児童に関する問題が提起されています。これは今になって出てきた問題でしょうか? いいえ。違います。待機児童に関する問題は数十年前から存在しているのです。(実際に私も近所の保育園に入れるまでに2回遠方の保育園を転々としました。)
ではなぜ未だに解決されないのでしょうか?

それは待機児童に関する問題を解決して欲しい世代=若者世代が投票等を通して声を届けてこなかったからです。時々の若者世代が投票に行かなかったツケは確実に次世代へと積み残されています。今こそ私達の代で終わりにすべきだと思いませんか?

社会に存在する問題を解決するためにはより良い投票行動を行うこと、投票行動の内容以前に私達がまずは投票に行くこと。この二つを同時に行っていくことが必要です。そのための、私なりの方法をここでご紹介させていただきました。
稚拙な文章ではありましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

竹内雅貴

竹内雅貴

20歳、千葉県在住の男子大学生。学生団体ivote広報局所属。学生団体ivoteは、若者の投票率向上を目指し2008年に設立。議員と若者がフランクに語り合う居酒屋ivoteや、未来の有権者教育として中学・高校での模擬選挙など、若者と政治のキョリを縮める活動を行っている。

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