消費増税が始まり1年以上が経過した。巷では低所得者イジメなどという意見もあり、高所得者や資産を持った高齢者から税金を取るべきという声は昔からあがっていることである。
いま安倍政権はそれを実行に移そうとしている。それを良しとするか否か、国民には選択の時が迫っている。
北風政策による国民の苦労
「北風と太陽」という話をご存知だろうか。旅人のコートを如何にして脱がせるか、北風と太陽が勝負をするという話だ。現在の安倍政権の政策はその北風である。国民からマネーというコートを脱がそうと増税という強風を吹かせている。
しかし原作とは状況が全く違う。コートを押えることも出来なければ太陽も不在だ。その上、どんなに上等で防寒性に優れたコートを着ていても剥がされてしまう。
とはいえ、税金というのは今に始まったことではない。所得税や消費税、住民税とただ生きているだけで税金は取られているし、累進課税制度、固定資産税などで高所得者は昔から強い北風に晒されている。
その強い北風の中で国民はあらゆる節税の策を取ってきた。103万の壁、生前相続、投資等々、法律の穴をついてきた。
政府はその穴を埋めようとしている。現に相続税は上がった。マイナンバーによって資産が詳細に把握されると逃げ道が無くなってしまうだろう。所得の再分配といえば聞こえは良いが中途半端な層からすればたまったものではないだろう。
メディアの偏向報道
メディアによって所得層の上と下に隔たりが生じている。冒頭でも述べた通り、低所得者層では金持ちから税金を取れという声が上がっている。
しかし、その「金持ち」にも色んな層がある。大企業の役員や大株主等であれば現金収入がそれなりに安定して入ってくるので正真正銘の「金持ち」だ。しかし中には固定資産しか持っていない層が存在する。
その層のうち、特に高齢者は年金収入のみになってしまう。だが、資産合計によって援助が受け取れない場合が存在するようだ。
特別養護老人ホームにおける介護保険では、以前は所得ベースだったものが資産ベースに切り替わった。個人で1000万円以上の資産を持つと援助が受けられないという。
月7万円の年金に対して老人ホームの利用料金が10万円となり、仕方なく持ち家を手放すケースがあるようだ。
また固定資産税というものも存在し、年率1.4%税金を払う義務が発生する。面積や利用目的による軽減措置はあるものの資産額と釣り合わない年金では枯渇する一方だ。資産に対するお金ばかり出て行き生活が困窮している方も少なくないという。
こういった話はあまり報道されないのが実情ではないか。
そういった「金持ち」からすれば、低所得者の方が裕福に見えるのではないか。
所得の再分配によって低所得者には援助がある。生活保護や失業保険、つまり現金が入ってきている。資産だけ残ってしまって税金だけ取られている層からすれば不満だろうし、不正受給があるとわかればその理不尽さを感じずにはいられないだろう。
国民が一体となって向き合っていかなければならないというのにこの状況である。
もし、タイトルにある制度がマニフェストに組み込まれれば低所得者層は自民党に投票する可能性が上がる。逆もまた然りである。自分に有利になる政策に投票するのは議会制民主主義の性である。
しかし、自民党は節税の穴をきっちり埋めてくるだろう。国民全体がしっかり向き合う時がきている。
自分の生活を守るために
実際問題、税金の問題はバランスの調整が難しい。所得の公平性を保とうとすれば高所得者から非難があがり、全員から公平に税金を取れば格差が広がる。
欧州のいくつかの国のようにしっかり還元されていれば文句も出にくいのだろうが、暴走する政府と高齢化等の社会の状況を見る限り、日本では不可能に感じてしまう。
筆者は今夏の参院選が分岐点だと考えている。
問題はどこに投票するか、である。選挙に行かない理由にも「選択肢が無い。」というのが存在するように、国民自体が八方塞を感じているのではないか。
要は議席を減らして議論を慎重に進めるようにすればよい。メディアの情報を鵜呑みにするのではなく自らが必要と感じる政策をマニフェストとして打ち出している政党に一票を投じていくことが重要だ。
政権を変えるのではなく、議論させるために議席を減らすという意識が必要だ。