少子高齢化が原因で日本に徴兵制が敷かれる可能性について

少子高齢化が原因で軍人を集めにくくなった結果、日本に徴兵制が敷かれる、そういう事が現実的にありえるということを説明しています。また、徴兵制の軍は現代戦では役に立たないという論に対して、イスラエル国防軍の事例を出すことで反論しています。

忘れ去られてしまった徴兵制議論

安倍政権が安全保障法案を国会で通した際、あるキーワードが日本中で話題になりました。
それは「徴兵制」です。

民進党(当時は民主党)を中心とする野党側が、安全保障関連法案をこの徴兵制と絡めて与党側を攻撃しました。このような法案を通すと、いずれ日本は徴兵制の国になるというわけです。
それに対して与党の自民党は、徴兵制を敷く予定はないと野党に反論しました。この徴兵制議論は、安全保障関連法案が国会を通るとマスコミやネットなどでもとりあげられなくなり、まあ徴兵制なんて現実的に考えてないだろうということで忘れられていきましたが、本当に徴兵制は「現実的にない」のでしょうか。

実は、そんなことはありません。近い将来徴兵制が敷かれる事は十分ありえることなのです。
その原因は何か、それは少子高齢化です。

このまま少子高齢化が進むと徴兵制もありえます

現代の日本は少子高齢化が加速度的な勢いで進んでいます。総務省の平成24年版、情報通信白書によると2060年には日本人の39.9%が65歳になると予測されています。
当然このような社会では、兵隊になれる若者の数は、相当少なくなっていることでしょう。その若者を、色々な企業が金の卵として奪い合うわけです。いくら福利厚生を充実させたとしても、戦死の危険がある上にきつい仕事である軍人の仕事を選ぶ若者は、相当少なくなると思われます。若者が引く手あまたな以上、きつい軍の仕事を選ばなくてもいくらでも仕事はあるわけですから。

このような状況下では、普通のやり方では軍人を確保することが難しくなるでしょう。しかし、国の安全保障を考えると、軍人を確保できないから軍縮するというわけにもいきません。

ではどうするか、そうです。徴兵するしかないのです。
兵隊の数を確保するために無理やり徴兵しても、戦力として役に立たないと考える方もおられるでしょう。ところが、そんなことはありません。徴兵制の軍隊でも、志願制の軍と同等かそれ以上の軍を作ることが出来ます。その実例のひとつが、イスラエルです。

徴兵制でもイスラエル国防軍のように強い軍隊は作れます

イスラエルは、男性だけでなく女性まで徴兵する国民皆兵制の国です。(正確にはイスラエル国内のイスラム教徒など一部の人間は徴兵されません。)
特定の年齢になると、男子は3年、女子は21ヶ月徴兵されます。徴兵制の上に女性まで兵士にしてはたして大丈夫かと思われる方も多いでしょうが、このイスラエル国防軍、世界でも屈指の軍事力を誇ります。

何度も戦争をしている経験豊富な軍隊で、第三次中東戦争ではエジプト、シリア、ヨルダンの3国を相手にしてわずか6日で勝利しました。第四次中東戦争ではエジプト・シリア軍に奇襲されたにも関わらず持ちこたえ、互角以上の戦況で戦争を終わらせました。

それだけ精強な軍隊を、イスラエルは徴兵制で作ったのです。イスラエルに出来るのなら、日本にだって出来るでしょう。つまり、徴兵制で出来た軍隊は「弱い」から使い物にならないという議論は成り立たないのです。

将来は徴兵制もありうる、そういうことも考えておいたほうがよいでしょう

もちろん、今の日本の状況を考えると、今すぐに徴兵制になるのはありえません。軍人(自衛官)の定数もなんとか足りていますし、隣国がすぐに攻めてくるようなせっぱつまった状況でもないからです。

しかし、将来はどうなるか分かりません。

このまま少子高齢化が進めば、若者が減って軍人の数が足りなくなります。そうなれば、徴兵制を敷いて兵数不足を乗り切ろうという動きが政治の側から出てもおかしくありません。

徴兵制でも精鋭部隊を作れることは、既にイスラエル国防軍が証明しています。なら日本も徴兵制を敷こう、こういう考えが出てくる事は十分ありえるのです。当然、イスラエルと日本とでは事情が違うので、イスラエルで徴兵制が導入されたから日本でも導入されるとは限りません。
しかし、「徴兵制など日本ではありえない」と思い込むのではなく、「徴兵制、そういうこともありうる」と考えておくことは必要でしょう。
世の中、ありえないことなどないのですから。

藤谷一平

藤谷一平

年齢は30代、性別は男です。 居住地は京都府のどこかになります。 職業は無職です。下手すると数年後も無職かもしれません。 政治的には右でもあり、左でもあります。