伊勢志摩サミットが5月26日と27日の予定で、三重県志摩市で開催されます。日本や米国をはじめとする主要7か国の首脳が集まり、さまざまな議題が話し合われるこのサミット。今回メインとして考えられる議題はどのようなものとなり、そしてそれはこれからの世界にとってどういった意義があるのでしょうか。
そもそもサミットってどういうもの?
いよいよ5月26日、27日の予定で開催される、今回の伊勢志摩サミット。そもそもサミットとはどういうもので、どういう経緯で開催されるようになったのでしょうか。
もともとサミットは「先進国首脳会議」と呼ばれ、冷戦下1973年のオイルショックを契機とした景気の低迷を受けて、当時の西側先進国(アメリカ、日本、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア)の首脳がフランスのランブイエに集まって協議したことが契機となっています。その後カナダなどが加わり、世界経済や、政治的な課題を主要国が一堂に会して協議する場となっています。
サミットの開催意義は冷戦の終結などとともに形骸化していると言われることもありますが、やはり世界経済の問題、政治的な問題のように1国で解決出来ない問題を主要国が共通した認識とし、協調して世界を安定するために働きかけていく方向に結び付けるとことにあります。
伊勢志摩サミットの大きなテーマとは
「世界経済の減速」「テロ対策」といった内容。これが今回のサミットの大きなテーマとなるでしょう。
米国は比較的好調なものの、アベノミクス効果で一部の大企業には好況感が出始めたものの、ここにきての円高などで再び先行き不透明となっている日本経済をはじめ、ギリシャ・スペインなどの南欧諸国の不安定な経済リスクを背負うヨーロッパなど、先進国には世界経済を推進するほどの経済状況にはありません。また、従来勢いのあった中国や東南アジアなどの新興国経済も、ここに来て特に中国での不動産バブルの崩壊など減速傾向が否めません。
こういった状況をそのまま放置すると特定地域からの世界恐慌につながりかねません。かつて第二次世界大戦前の世界恐慌はニューヨークのウォール街から始まりましたが、今はヨーロッパや中国、日本、世界中どこからでも起こりうるのです。各国はこれを回避するために協力して対策を行おうとしています。
もう一つ重要な議題はテロ対策です。先日のベルギーの首都ブリュッセルで発生した同時多発テロなど、世界はテロの脅威にさらされています。大都市におけるテロや、鉄道・航空機といった交通機関に対するテロ、輸送機関に対するテロ。これらは、一般市民を危険にさらす許しがたい行為であると同時に、経済的な影響も非常に大きいのです。それは、例えば交通機関や輸送機関が停止することは物流が停止し、その物流を必要とする企業や工場の経済活動が停止するなどといったところに直結するからです。
「世界経済の減速」「テロ」のいずれにしろ、現在の大きな問題であり、今回のサミットの主要な議題に挙げられることでしょう。
将来に向けて話し合われるテーマ
今回のサミットで話し合われることは何も経済とテロに限りません。将来の持続可能な社会に向けて、以下のことが取り上げられると考えられます。
- ① 環境・エネルギー問題
- ② 開発援助
- ③ 女性の活躍推進
まず①では環境問題に関して、異常気象などの気候変動による災害(巨大台風や水害など)を踏まえて、国際社会としてどのように取り組んでいくか。また人口増と途上国の生活水準向上に伴うエネルギー不足を視野に入れて、再生可能エネルギーなどどのようにエネルギー源を確保していくかといったことがテーマとなります。
②ではアフリカ諸国などに対する技術援助を連携してどのように実施していくか。貧困や食糧問題などを抱える諸国に対して援助を行っていくことは、各国の政治の安定化を目指すうえでも重要なことです。
そして③女性の活躍推進をより進めること。人口減少と高齢化が進む主要国にあって労働力の確保は大きな課題です。その中で、女性の社会進出をさらに進めていくことは重要なことです。
こういったサミットの場では、現在の国際社会が抱える問題に加えて、将来にわたって安定した国際社会が維持されるにはどうすべきかといったことも各国間で話し合われ、それがまたサミットの大きな意義ともなっています