前進なき日露交渉。領土問題と平和条約締結とは!?

1945年から始まり未だ解決していない北方領土問題のため、日本とロシアの平和条約が未だ結ばれていないことをご存知でしょうか。

最近のニュースをご紹介します。

【ウラジオストク=名村隆寛】ロシアのプーチン大統領は12日、極東のウラジオストクで開かれている「東方経済フォーラム」全体会合で、安倍晋三首相に対し、領土問題などの「前提条件」を抜きにした、年内の日露平和条約の締結を求めた。北方領土問題の解決を棚上げにする姿勢を鮮明にした形だ。日本政府は「北方四島の帰属問題を解決して平和条約を結ぶ」との立場をとっており、ロシアとの交渉が不透明感を増すことになりそうだ。
全体会合での演説で安倍首相は「日露間には、戦後70年以上、平和条約が締結されていない。これは異常な状態であるとの思いで私とプーチン大統領は一致している」と述べた。演説に続いて行われた討論で、安倍首相は進展が見られないロシアとの平和条約締結問題について、「アプローチを変えるべきだ」と訴えた。プーチン氏の発言はこれを受けたものだ。

引用:産経新聞 【前提なし平和条約】領土問題棚上げに不透明感増す日露交渉

この記事では、今さら聞けない日露交渉について北方領土問題と平和条約の基本情報を参考にご紹介させていただきます。

北方領土問題と平和条約とは!?

北方領土問題を一言で説明すると、北方四島(択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島)の領土が日本とロシアのどちらに帰属するかという問題です。

問題の経緯を説明すると…
まず、第二次世界大戦中の1945年8月9日にソ連が日ソ中立条約を破って日本と敵対し、ポツダム宣言後の8月28日〜9月5日の間に北方四島を占領しました。

当時の北方四島には日本人が約2万名住んでいたにも関わらず、1946年に一方的に北方四島をソ連領に編入し、1948年には日本人を全て強制退去させたのです。

北方領土に対する日本の主張と対応

① 日本政府は北方領土を日本の領土として取り返したい

強い態度でロシア政府と交渉を続けており、アメリカ政府も日本の立場を支持しています。

② 北方領土問題解決後は居住しているロシア人を尊重する

・北方領土が日本へ帰属されるならば返還の方法や時期を柔軟に対応する。
・現在北方領土に居住しているロシア人の人権、利益等を領土返還後も尊重する。

③ 日本人の北方領土内での経済活動を禁止する

1989年の閣議後、北方領土問題が解決するまでは日本国民に北方領土に入域しないよう要請しています。

ロシアの主張

1945年のソ連の占拠以来解決していない北方領土問題ですが、一方でロシアは次の主張をしています。

① 占拠は日ソ中立条約の破棄の宣言後であるため、違反ではない

条約破棄宣言をしたのは深夜であり、日本国内での伝達の不備によって当日中に行われなかったため、日ソ中立条約後の占拠は違反ではないと主張しています。

② そもそも日ソ中立条約には効力がない

ロシアは日ソ中立条約の内容を「ソビエトに対する日本の侵略を進める手段として認められたもの」と捉えており、条文が両国の間に効力を及ぼすことはないとしています。

③ 日ソ中立条約を先に破ったのは日本である

第2次世界大戦中にソ連とドイツが戦闘を行っていた際、日本は満州にて演習という名目での軍事行動を行い、ソ連軍を満州へと誘導した。だから、対戦中にドイツへの兵隊を送り込むことができなかった。つまり、日本はドイツへと加担することで間接的に中立を破ったという主張をしています。

二国の主張に相違があるため、前進しない北方領土問題ですが、実は、二国はこの問題を早く終わらせて日露平和条約を結びたいのです。

日露平和条約とは、戦後処理を行なって戦争状態を終結するための条約です。1951年にサンフランシスコ講和条約の調印をソ連が拒んでから、締結されないままになっています。

この平和条約なくしては日本とロシアの協力や経済の活性も行われないため、北方領土の一部返還などの妥協案をお互いが提示し合っているのです。しかし、2018年の今になっても前進しているとは言い難い日露交渉。平和条約締結のめどは立つのでしょうか。

まとめ

第2次世界大戦中に勃発してから今日まで解決していない北方領土問題。この問題を解決しない限りは平和条約は結ばれません。

平和条約が結ばれない限り、二国間の関係は向上していきません。言った言わないのやりとりは、普段生活する私たちの周りでも起こる問題ですが、二国間で行われる場合は、その問題の解決を図るために政治家や官僚の人件費がかかってしまいます。

日露交渉のための官僚や政治家の出張費は、私たちの税金から出ています。ロシアに行っても交渉が前に進まなかったとしたら、その分の税金は無駄になってしまいます。

私たちが納める決して安くはない税金の一部が“泥沼喧嘩”に費やされているのです。今まで北方領土問題を知らなかったあなたも、知っていたあなたも、政治に対して今よりももっと声を上げることで問題が解決に向かうかもしれません。

日ロ平和条約への道―北方領土問題を考える

村田ニッキー

村田ニッキー

東京都在住。IT企業、広告代理店を経て、20代でフリーランスクリエイターとして独立。サラリーマン時代よりも高い税金や保険料、ベンチャー支援制度などに疑問を抱いている20代男性。クリエイターのためのメディアを運営し、セミナーも行う中で、特に若者の、政治に対する関心が低いことを懸念している。