女性のニーズを汲み取るには女性が必要
先日、ママになったばかりの同級生とランチをしていた。帰るときに友人が駅とは違う方面に向かったので、どこに行くのと聞くとあそこのデパートに授乳室があるからそこに寄ってから帰るという。街のどこに授乳室があるかを出掛け前にいくつかチェックしてから出かけるらしい。
逗子市役所にも一階フロアに授乳室がある。8年前、私が次女の育休から明けて議会に戻ったときは市役所内に授乳室などなく、福祉課の奥の狭い相談室を授乳室代わりに使わせてもらったこともあった。当時、逗子市議会で産休をとった女性議員は私が初めてであった。つまり、出産をするような若い女性議員がそれまで逗子市にはいなかったのである。
総務省が出しているデータによると、全国の市議会議員の平均年齢は57歳。20代、30代は合わせても617人、一方60歳以上はその5倍の3024人になる。ちなみに女性議員はそのうちの約1割なのだ。
昨今、民間企業では女性の積極的な管理職登用が進められている。それもそのはず、例えば車を買うときを想像して欲しい。夫婦で来店し、いざ車を購入するとなったとき、妻がこの車は気に入らないと強固に反対したらそれを押し切ってまで買う夫はどれくらいいるだろうか。企業側は女性のニーズをくみ取った商品を提供するために女性社員が必要なのだ。
政治や行政も女性の視点が活かせるように
政治の世界だって同じである。
先日、保育園に入れないことをおかしいと糾弾した一母親のブログが急速に広がり大きな社会問題となったが、国の、そして地方自治体の子育て支援策がどこか的外れで、女性にとっては少しも子育てしやすくも働きやすくもならないのは、女性議員や女性首長そして公務員の女性管理職が少ないことも大きな要因ではないかと私は思っている。政策の決定過程において圧倒的に女性の割合が少ないから、男性の視点で方針が下されがちなのは当然だろう。
誤解を招かないようにあえていうが、女性だから優遇すべきというのではない。民間企業がマーケティングに女性の視点を活かそうとするように、政治や行政も女性の視点が活かせるように意識改革が必要だということだ。
まずは身近なテーマから、改善案を出していく
ではどうすれば女性議員が増えるのだろうか。
まずは、普段の生活の中で、女性が政治について気軽に話題にすること。「保育園に入れない」とか、「ゴミの分別が分かりにくい」とか、そんな身近なテーマからでよいと思う。ただし、大切なのは、ただ行政を批判するだけでなく、対案を考えていくこと。
例えばゴミが有料化して、分別が細かくなり近所の高齢者の方が分からなくて毎日ゴミ出しに困っているようであれば、分別用のボックスを置いてはどうか、一覧表を壁に貼りつけてはどうかなど改善策を出していく。つまりそうすることで、政治が悪いのは誰かのせいという意識から政治を自分ごととして捉えることができるようになってくるのである。
その延長線上に自分が議員になって政治を変えていくという選択肢が生まれるのだと思う。そう思えば、これだけ保育園に入れずに優秀な女性が困り果てている現状は、ある意味チャンスかもしれない。今の社会はおかしい、不満だという女性が増えて、世の中に声を発信していくこと。そして、何だったら自分が変えてみせましょうという女性が一人でも二人でも現れていけば、その姿を見ている次世代の女性たちがまたその後を追いかけてきてくれるのではないかと希望を持っている。