自分のこどもの頃と娘の今を比較して、アクティブラーニングについて思うこと

昨年、文部科学省から次期学習指導要領改訂に向けて、初等・中等教育(幼稚園・小学校・中学校・高校)での「アクティブ・ラーニング」(能動的な学習)を強く推進する方向性が打ち出され話題となりました。
アクティブラーニングとは、京都大学の溝上慎一教授は、「一方的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う」と、定義しています。

アクティブ・ラーニングには、従来の知識を定着させるための学習とは違い、学習意欲を高める効果も望めるとされています。
しかし、この学習方法の問題点として、評価の仕方が難しい点にあります。そこでアクティブラーニングと同時に話題に上ったのが、大学入試の変革でした。

大学入試がどのように変わるのかというと、まず一番大きい点は、現状の大学入試センター試験が廃止されるという点です。
そしてそれに変わるのが、「高等学校基礎学力テスト」と「大学入学希望者学力評価テスト」の2つの試験です。

大学入学希望者学力評価テストで試される力は、主に「思考力・判断力・表現力」です。このことから、アクティブラーニングを推進する流れになったのです。
でも、私たちが受けてきた教育と違いすぎて、大丈夫なの?と思われる方も多いですよね。今回は、そんなアクティブラーニングについて考えてみました。

私たちが受けてきた教育

私がこどもの頃は、いわゆる詰め込み型の教育でした。私の母は教育に熱心なほうでしたので、私もかなり詰め込まれていた口でした。
いい高校、いい大学に行く事がよしとされていたため、とにかく知識を詰め込まれていました。その頃の学校の授業内容も、一方的に先生の授業を聞いているということが多かったように思います。

この頃の私は、勉強が楽しいとは思えず、ただやらされているだけという感じでした。

大学に入学し、3年生になり研究室に配属されました。そこでようやくいわゆるアクティブラーニングを体験したのですが、初めて勉強が楽しいと思い、自ら勉強をするようになりました。
私は大学で自ら勉強して学んだことは、今でも身についていますし、私の人生に役立っていますが、中学校や高校で学んだ知識はほとんど身になりませんでした。
受験を乗り越えたという経験は、力になったとは思いますが…

そこで思ったのが、大学3年生で受けていたような授業を、中学生の頃から受けていたらもっと勉強が楽しかったのかな?ということです。
私たちと同じ世代の方の中には、アクティブラーニングでは学力が身につかないと懸念している方もいるようです。

確かに、自分たちが経験してきたこととは全く違ったことが行われようとしているのですから、なかなか受け入れられることではありませんし、結果が全く見えないものでもあり、不安は大きくなりますよね。私の場合、大学の頃の経験から自分が受けてきた教育に疑問を持っていたため、アクティブラーニングには大変興味を持ちました。

娘の学校での体験から

現在娘は高校1年生です。
娘が小学生の頃、まだアクティブラーニングという言葉は全く聞いたことはありませんでした。

ただ、総合的な学習が行われていたり、教科の授業内容も、どちらかと言えば自分で調べてまとめたり考えたりという活動が多く、今思えばアクティブラーニングのような授業内容だったと思います。
この頃の娘は、勉強が楽しかったようです。

しかし中学校に入り、授業を一方的に聞かなければならないようになってから、とたんに学校の授業がつまらなくなってしまったようでした。
そうなると、勉強をする意欲も失ってしまったようでした。

入りたい高校が見つかると、それを目標に勉強をするようにはなりましたが、学びたいから勉強をするのではなく、試験に合格したいから勉強するというのは本来の勉強の意義からは外れているのでは? とも思っていました。

無事高校に合格して高校に入学してみると、その学校はまさにアクティブラーニングを実践する高校でした。
宿題も課題もほとんどなく、すべてが自主性に任せられています。授業は話を聞くのみということはほとんどなく、グループで考えをまとめたり、発表したりといった時間が多くとられています。

高校に入学してから、娘は授業が楽しくなったようで、自分から勉強をするようになりました。アクティブラーニングによって学習意欲が高まったようでした。

アクティブラーニングの良さと課題

娘の様子を見ても、アクティブラーニングが学習意欲を高めることは間違いないと感じました。ただそれと同時に課題もあるのかなとも思います。

まずは、アクティブラーニングには時間がかかるということです。一方的に教える授業とは違い、こどもたちが話し合ったり考えたりする事を重視するため、一つのことを教えるのに時間がかかってしまうのです。
ですから、今の現状で一般の公立中学校や高校にもアクティブラーニングを導入することはなかなか難しいのではないかと思います。
娘の高校でこれが成り立っているのは、娘の高校が進学校であり、こどもたちに基礎学力が十分に備わっている前提があるからかもしれません。

次に、教える先生の技量にかかっているというところです。
先生がきちんと目的を持って授業をできないと、方向性を見失い、何も学ばずに終わってしまう可能性もあると思います。
娘の高校は、実験的にアクティブラーニングを行っているといった側面もあり、力のある先生がそろっています。先生に指導力があるから成り立っているというところはあると思います。

これらのことから、ただ漫然とすべての学校でアクティブラーニングを取り入れても、失敗することが多いのではないかと思います。
アクティブラーニング自体は娘の経験からも大変良いものだとは思いますが、これを取り入れるには、教育の環境をもっと整備しなくてはならないのでは? と感じます。

大学入試を変えるというだけでなく、教育環境そのものを変える必要があるのではないでしょうか。
また、取り入れ方にも議論の余地はあるのでは? とも思います。
せっかくのいいものをうまく生かせるように取り入れて欲しいと願っています。

北野そら

北野そら

北海道在住の40代の兼業主婦。子育ての経験や、現在の仕事で障害を持つ方との関わりが多い事から、福祉や教育の分野に関心を寄せている。