不登校増加の原因と、週5日制の関係性とは?

先日、小中学校での不登校の児童、生徒の割合が増加しているというニュースがありました。私が子どもの頃、不登校の子どもというのは本当に珍しく、私が在籍していたクラスには一人もおりませんでした。では、なぜ今不登校の子が増えているのでしょうか?

なぜ不登校になったのか?(周囲のケースより)

私や子どもの周囲には、現在不登校となっているお子さんが数名います。そのお子さんがたはみな、いじめが原因で不登校になったわけではありません。
思い当たる原因がないのに、突然学校に行けなくなった。と言うのです。その中から、とくに親しくしている2人のお子さんのケースを紹介します。

ケース1 中2の女の子

入学当初は、特に問題なく学校に通っており、お友達も多いお子さんでした。
しかし、中1の途中、突然校門から中には入れなくなってしまい、それ以来不登校に。

うちの子と仲良くしていた子だったので、話を聞いてみると、お友達とのいざこざも無く、全く思い当たる節が無いとのこと。ただ、勉強は極度に苦手だった様子でした。

ケース2 中1の男の子

入学してしばらくして、突然学校に行かなくなりました。勉強が苦手で学校に行けなくなったようです。この子の場合もお友達との関係は特に問題は無かったようです。

どちらのケースにも共通しているのが、中1の途中で不登校になっているということ、勉強が苦手だということ。
実は統計を見ても、中学校に入学してから不登校になるお子さんの割合が非常に多いのです。これはいったい何が原因なのでしょうか?

最近話題の中1ギャップと不登校

中学校に入学し、小学校との違いに戸惑うことを、「中1ギャップ」と言います。
最近この中1ギャップが話題に上ることが多くなり、中1ギャップを少しでも減らそうと様々な対策がなされています。

うちの下の息子は現在中2ですが、うちの息子も中1の頃「学校つまんない」とよく言っていました。
どうしてか聞いてみると、「勉強しかしないから疲れる」とのこと。よくよく聞いてみると、私たちの頃にはあった昼休みの遊び時間が、ほとんど無いとのこと。

時間に余裕が無いため、昼休みは掃除の時間に充てられてしまっているようです。しかも授業は進むスピードが速く、わからなくても先生に質問もできない。このことから、中1ギャップの原因の一つは、中学校の授業にあると考えました。中学校で不登校の子が増えるのも、そのあたりに原因がありそうです。

でも、私たちの頃にはあまり問題にならなかった中1ギャップが、なぜ最近問題になっているのでしょう?

週5日制が余裕のなさを生み出す?

私たちが中学生の頃、学校はまだ週6日制でした。
カリキュラムに余裕があるのか、授業の進め方にも余裕がありましたし、学校でももう少しゆったりと過ごせていたように思います。勉強以外の行事も沢山あり、勉強ばかりさせられていたという記憶はありません。

しかし現在は週5日制。この週5日制、元々ゆとり教育からはじまった制度だったのに、現在は指導要領が変えられ、ゆとりからの脱却が叫ばれています。
それなのに週5日制のまま。これではカリキュラムに無理が生じるのは仕方の無いこと。余裕のある学校生活など送れるはずもありませんよね。

この週5日制による余裕のなさは、中学校に上がるとますます顕著になります。
授業でやらなければならないことが増えますし、授業のスピードは速くなります。また行事の時間や休み時間も削られるため、勉強がわからない子にとって学校は、「よくわからない話を延々と聞かされる場所」となってしまうわけです。
このことが、中1ギャップを起こす原因の一つではないかと感じました。

うちの息子の場合は中1ギャップを感じつつも、自分で折り合いの付け方を見つけ、少しずつ学校に適応していくことができました。
このように、適応能力のあるお子さんや、適度に手を抜くことができるお子さんは、中1ギャップを感じつつも時間とともに適応していけるのだと思いますが、きまじめなお子さんや、適応能力の低いお子さんは中1ギャップをこじらせてしまい不登校に陥ってしまうのかもしれません。

ゆとりのある学校生活が不登校を減らすかも?

これらのことから、不登校が中1から増える原因の一つには、学校カリキュラムにおける余裕のなさがあげられると考えます。
しかし、不登校の原因も、中1ギャップの原因も、まだまだ要因はさまざまで、それぞれの要因が複雑に絡み合っていることもあると思います。

どちらにせよ、今後もう少しゆとりを持った指導を行える体制が整えば、不登校のお子さんを少しでも減らすことにつながるのではないでしょうか?

もっとゆとりのあるカリキュラムにすることで、先生のゆとりもでき、授業のことだけではなく、生徒指導においてももっと力を入れることができるかもしれませんよね。
そうすることで、不登校のお子さんに対する対策が、原因がどんなことにせよ、もっとしっかりと行うことができるのではないでしょうか?

私はゆとり教育でもそうでは無くてもどちらでもいいのですが、どちらにせよ、学校生活が子どもたちにとって、楽しみながら学べる場であって欲しいと願っています。そのために、教育制度はどうあるべきなのか?ということを、考えていって欲しいと思います。

北野そら

北野そら

北海道在住の40代の兼業主婦。子育ての経験や、現在の仕事で障害を持つ方との関わりが多い事から、福祉や教育の分野に関心を寄せている。