AI導入で農業がビジネスチャンスに!?

農業へのAI導入が進んでいます。AI導入で農業は儲かる仕事に変化するかもしれません。日本の農業は高齢化による農業者の減少と担い手不足により人手不足が深刻化しています。ここで登場したのがAI技術です。AIは農作業を効率化し合理的な食糧生産を可能とします。

これまで、儲からないというイメージの高かった農業がAIにより大きく変わっていくかもしれません。農業の現状とAIの可能性について調査してみました。

低い日本の食料自給率

日本の食料自給率はカロリーベースで38%(1人1日当たり国産供給熱量(924kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,444kcal))と、他の先進国に比べて、非常に低い数値となっています。仮に食料の輸入がストップしてしまうと、日本人の食事はいまの半分以下に減らす必要があります。つまり、日本の生産量だけでは朝昼晩の食事のうちの一食分しか作ることができないのが現状です。日本の食糧自給率の低さがよく分かります。

この点、日本は国土が小さいから食料自給率が低いのだとイメージしがちですが、それほど国土が大きくない先進国、例えばイギリス63%、フランス127%、と高い自給率を保っています。そうすると、国土の大きさはそれほど大きな要因とはいえないといえます。

では、食料自給率が低い要因は何か。それは、農業人口にあるといえます。

日本の農家は20年前に比べ高齢化が進み農業者人口が大幅に減少しています。1997年には1155万人もいた農家人口が、2017年には437万人と718万人も減少しています。また、農家に占める65歳以上の割合も1997年の26%から42%へと高齢化が大幅に上昇しています。

参考:農林水産省 農業構造動態調査

こうした農業人口の減少は、農地があるのに耕作できないという耕作放棄地の問題を発生させています。つまり、日本の農業は深刻な不経済状況に陥っているといえます。

補助金をだしてもなり手がいない

食料の生産は国家が自立するうえでの最低条件です。食料が途絶えると、即座に国民の生命に影響が生じるので当然といえます。

このため、どこの国においても食糧自給率の確保は国家の重要な戦略として位置づけられています。日本でも自給率を上げるために政府は様々な取り組みを行ってきました。農業者人口を確保するため新規就農者への支援金を支給することや農地が経済的に利用される農家へ補助金を交付するなどです。他の産業では考えられないような予算が農業分野に配分されていました。

しかし、農業のイメージは悪く、農研機構が行った調査によると、農業に対するイメージは「重労働」「所得が不安定」「格好悪い」等のマイナス面が強いようです。こうしたイメージから農業のなり手が少なく、政府の取り組みにも関わらず、農業者の増加という効果はほとんど得られていません。

こうした中、農業の救世主として現れたのがAIです。AIが人間に代わって農業に従事し、なり手のいない農業の深刻な人手不足に対処しようとするものです。

農業におけるAI技術

2018年10月10日第5回国際次世代農業EXPOが開催されました。イベントではAI技術を応用した様々な農業用機械が展示されていました。いくつか紹介します。

ドローンにAIを搭載し農業を効率化するシステム

一つ目が、ドローンにAIを搭載し農業を効率化するシステムです。ドローンは広大な農地を障害無く見回ることができます。そして、その利点を生かし、ドローンに広大な農地の作物の状況をリアルタイムに観察させます。そのデータを、ドローンに搭載したAIが分析して農薬を散布するというものです。

これにより、これまで人が農地を直接見回り作物の状態を見ながら農薬の散布をするという作業が大幅に削減できます。さらに、作物の状況を判断するという熟練の技もAIが代わりに行ってくれるので、農業者の育成という点も解消されます。

固定センサーを設置し得た情報をAIが分析するシステム

二つ目が、農地に固定センサーを複数設置し、そこで得た情報をAIが分析することで収穫時期や病害虫の推定、水分量の調整などを行うシステムです。

CO2、温度、湿度、土壌の水分量などをセンサーにより収集し、AIがそれらの情報を分析し、水分量を調整したうえで最適な収穫時期を予測します。また、病害虫の発生も予測して適切な予防措置を行うことができます。

このシステムにより、人が直接農作物の状況を見て、水やりや農薬散布をすることが必要なくなります。さらに、適切な収穫時期を把握することで、高い収穫量が期待できるといえます。

日本各地で導入されているAI

こうした技術は、日本全国ですでに導入が進んでいます。青森県では県内の田んぼ1900haを人工衛星の画像をもとにコメの最適な収穫日をAIが分析しています。収穫のタイミングの差がコメの品質に大きな影響を与えるため、収穫日の予測は重要です。収穫時期を特定することでコメの品質を高めることができます。

また、ドローンを使った農薬散布も開始されています。ドローンに最新型の4Kカメラを搭載し、害虫が食べた穴かどうかをAIにより判断させます。そして、害虫がいると考えられる場所には直接農薬を散布し、効果的な害虫予防を図っています。このドローンの導入により作業時間は大幅に短縮され、農薬の使用量も3分の1まで減少できたといわれています。

AIと農業の未来

このように農業へのAI導入は着実に進んでいるようです。これまで政府が様々な取り組みをしても効果の上がらなかった農家の高齢化対策や農業の担い手確保という問題は、AIによって一挙に解決されそうです。

一方で、農業の人手不足はAIにとってはビジネスチャンスといえます。農業の人手不足が続く限り、AIに対するニーズは高まるしょう。そして、ニーズがある限りAIの開発は進んでいくと思われます。

そして、農業へAIの導入がどんどん進んでいくと、農業の合理化は進み、生産性は高まります。そうなると、農業の利益率は高まり、農業は儲かるビジネスになる可能性があります。

その結果、農業に対する悪いイメージも大幅に改善され、多くの若者がビジネスチャンスとして参入してくるかもしれません。さらには、日本の食料自給率が高まり、海外への輸出ビジネスが展開されるかもしれません。

AI技術の可能性は、農業の危機を救うだけでなく、農業の未来を大きく切り開く可能性を秘めたものなのかもしれません。

参考:参考:AIで農業の人手不足解消へ トマトを自動で収穫するロボットが活躍

農林水産省 農村の現状に関する統計

図解 よくわかる農業技術イノベーション―農業はここまで工業化・IT化できる (B&Tブックス)

二宮憲志

二宮憲志

40代前半、滋賀県在住、男性、元公務員、元コンサルタント、現在はフリーランス。30代は仕事をしながら勉強に励み、政治学と経済学の学位を取得。日本社会の柔軟性のなさに日々疑問を感じながら、日本の政治と経済を考えています。「言葉で日本に振動を」、そんな気持ちで発言(政say)していきます。