9月30日、米軍普天間基地の移設問題が論点の中心となった沖縄県知事選で、新しい知事が誕生しました。その名は玉城デニー氏、無所属の58歳です。
今回の選挙の情報は以下です。
立憲民主、共産などの野党が支援する新人で、移設に反対する前衆院議員の玉城デニー氏(58)(無)が、40万票近くを獲得して当選した。投票率は63.24%だった。与党などが推した前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)(無=自民・公明・維新・希望推薦)ら3人を破った。政府は名護市辺野古への移設計画を予定通り進める方針だが、影響は避けられない見通しだ。
米軍基地問題に揺れる沖縄県で、駐留していた米兵を父に持つ知事の誕生は初めて。当選を決めた玉城氏は30日夜、那覇市内で「辺野古に新しい基地を造らせないという思いはぶれずに全うしたい。政府にしっかりと思いを伝えていきたい」と語った。
玉城氏は、ラジオのDJ、タレント、沖縄市議を経て2009年に民主党から衆院沖縄3区で初当選。離党後は自由党の小沢共同代表と行動をともにした。
引用:YOMIURI ONLINE沖縄県知事選、情勢と最新ニュース
なぜ玉城氏は沖縄県民の大きな支持を得ることができたのでしょうか?
玉城氏の当選によって沖縄県の普天間基地の問題は解決するのでしょうか?今更聞けない普天間基地の問題と、今後の展望をご紹介させていただきます。
普天間基地の問題とは?
普天間基地の問題を挙げると…
- ① 女性への暴行が数多く起こる
- ② 基地が市街地中心にある
- ③ 事故の危険性がある
- ④ 騒音が起こる
一つずつご紹介します。
① 女性への暴行が数多く起こる
女性だけではなく、未成年の少女に対しての米軍兵士による暴行事件が相次いでいます。
しかし、日米地位協定のために在日米軍兵士は提訴されるまで、日本の警察による身柄の拘束や取り調べを行うことができません。
② 基地が市街地中心にある
基地の周りに学校や住宅があるため、何らかの事故が起こった場合に沖縄県民にまで事故の影響が及ぶ可能性が高いです。
例えば、重火器の取り扱いにミスが発生し、爆薬に引火する可能性もあります。そうなった場合に、燃え移りやすい場所に学校や住宅があることが問題です。
③ 事故の危険性がある
以前、米軍が訓練中に大型ヘリのコントロールを誤り、沖縄国際大学に墜落した事件が起こりました。いくら安全に気を使っているとはいえ操縦するのは人間です。そのため、今後も事故が起こる可能性はあるのです。
④ 騒音が起こる
特にヘリや飛行機の騒音が問題となっています。沖縄県以外の人はイメージが湧きにくいかもしれませんが、空港が家の近所にあったとすると、睡眠も満足にとれないほどの騒音が毎日のように降り注ぐのです。
これらの問題があるため、全ての沖縄県民ではありませんが、多くの沖縄県民は米軍基地の移設を嘆願してきました。そして、1995年の沖縄米兵少女暴行事件がきっかけとなり米軍が沖縄に駐留することに対しての大規模な反対運動が起こりました。
それを受けた当時の橋本龍太郎首相は、1996年にクリントン大統領との日米首脳会談で、普天間基地の全面返還を目指すことで合意しました。しかし、20年以上経った現在も普天間基地は存在しているのです。
沖縄県の問題は解決する?玉城氏の当選で変わること
玉城氏の声明は以下です。
沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)に出馬する自由党幹事長、玉城(たまき)デニー衆院議員(58)=沖縄3区=が10日、那覇市で記者会見し、選挙公約を発表した。政府が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画について「新たな基地は造らせない。あらゆる権限を駆使して阻止していく」と述べ、改めて反対の姿勢を明確にした。
「普天間飛行場を返すのであれば他に(新たな基地の)場所を造れというのは不条理だ」と訴えた。そのうえで「沖縄が基地経済に頼っていたのはもはや過去の話だ。自立型経済へステップを踏んでいく」と説明。
引用:毎日新聞 玉城氏が選挙公約 辺野古移転は阻止
米軍基地の移設問題がすぐに解決しなかった背景の一つには、在日米軍兵士が沖縄でお金を使うことにより沖縄の経済が潤うというものがあります。しかし、デニー玉城氏は基地経済に頼るのではなく自立型経済へと進んでいく姿勢を持っています。
「強く誇り高い沖縄を作りたい」という翁長雄志前知事の意向を継いでいく形が、沖縄県民の強い支持を受けたのでしょう。
まとめ
1995年の沖縄米兵少女暴行事件から大規模な反対活動が行われていた、沖縄米軍基地には、現在も以下の問題点が山積みされています。
- ① 女性への暴行が数多く起こる
- ② 基地が市街地中心にある
- ③ 事故の危険性がある
- ④ 騒音が起こる
沖縄に根深く残る普天間基地の問題ですが、たとえ普天間から辺野古に移設されたところで沖縄県に基地が存在し続けることは変わりません。
米軍兵士から発生する基地経済に頼らず、自立型経済へ進んでいく姿勢の玉城デニー氏は沖縄基地問題を解決してくれるのでしょうか。今後もチェックしていきたいと思います。
辺野古に基地はいらない! オール沖縄・覚悟の選択 (友愛ブックレット)
村田ニッキー
東京都在住。IT企業、広告代理店を経て、20代でフリーランスクリエイターとして独立。サラリーマン時代よりも高い税金や保険料、ベンチャー支援制度などに疑問を抱いている20代男性。クリエイターのためのメディアを運営し、セミナーも行う中で、特に若者の、政治に対する関心が低いことを懸念している。