プライムフライデーの次はシャイニングマンデー!? 経済省の狙いとは

7月30日、経済産業省が失敗と名高い「プレミアムフライデー」の“曜日を変えただけの”「シャイニングマンデー」の導入を検討していることが報道されました。

7月27日の振替として、30日に経済産業省の職員の3割が午前休をとるなどの積極的な姿勢を見せていますが、プレミアムフライデーの失敗をまた繰り返すのではないかと、ネットを中心に早くも批判が殺到しています。

この制度の背景には、一体何があるのでしょうか。

プレミアムフライデーの失敗とは!?なぜ月曜日に移すのか

まず、育児休業とは何か?という疑問があると思いますので、定義から説明させていただきます。

「プレミアムフライデー」は、月末の金曜日は仕事を早く切り上げるなど豊かな時間を過ごすための取り組みとして昨年2月に開始。経済産業省の今年2月の調査によると、認知度は約9割に及んだが実際に早期退社した率は平均で1割強。来客が増えた企業は約2割に留まっている。

引用:経産省検討の「シャイニングマンデー」ネットで早くも批判

早い話、大失敗に終わったプレミアムフライデー。

ですが、経済省消費・流通政策課の永井岳彦課長が、「観光地に行って月曜日の朝に帰ってくる、または子供たちと夜遅くまでテレビを見たうえで月曜日はゆっくり過ごしてから会社に来るといったような働き方ができる」
というコメントを残しました。

プレミアムフライデーの失敗を受けて、実施予定のシャイニングマンデー。その背景には、一体どんな思惑があるのでしょうか。また、予想される問題点は、どんなものが挙げられるのでしょうか。

シャイニングマンデー実施の背景とは!?

シャイニングマンデーの実施の背景には、2つの狙いがあります。

  • ① 個人消費の増加
  • ② 働き方改革

アベノミクスの新3本の矢の一つ、名目GDP600兆円実現のためにシャイニングマンデーを実施して、消費を増やそうという考えと、働き方改革の一環で、ワークライフバランスの向上のために早帰りを奨励するという考えが、このシャイニングマンデー実施の背景にあるわけです。

しかし、先述した通り、早退した会社員は全体の1割にしかなりませんでした。

なぜ、制度が普及しなかったのか、それには2つの大きな理由があります。

  • ① 供給サイドが休めないこと
  • ② 月末が忙しい企業が多いこと

サービスを供給する側の労働者。(旅行施設や、飲食店等)は、プレ金のイベントに備えて、仕事がむしろ忙しくなり、残業が増えます。この点で、労働者に公平に休みが享受されることにはなりません。誰かが早退すると、誰かが遅くまで働く羽目になります。

また、月末は月次決算等の関係から、請求書等の事務業務が増える期間でもあります。一番忙しい時期に、早帰りを奨励されても、企業サイドも、労働者にも“余計なお世話”感が否めなかったのでしょう。

以上の2点から、失敗に終わったプレミアムフライデー。これらの点を見ると、月末金曜日を、月曜日に変えるという、“ただの曜日変更”では、シャイニングマンデーは成功するとは言い難いのではないでしょうか。

シャイニングマンデーへの懸念点

シャイニングマンデーが実施されても、前述した供給サイドの労働者への負荷や、早帰りできるほどの余裕がある企業はまれな点から、失敗する可能性は高いと言えるでしょう。そもそも、個人消費の増加と、働き方改革は話が全く別物です。

個人消費だけを狙うのであれば、早帰りによって消費は増えますが、サービスを供給する側の負担が大きくなり、労働者の公平性は保てません。

また、どんなに政府が企業に働き方改革を行うように奨励しても、現場レベルまで行き届くことは困難です。

そもそも、マネジメントがうまくいっていれば、業務過多による過労死やうつ病は発生しないのではないでしょうか。

どんなに働き方改革を推進し、時間を短縮したところで、金太郎飴のように仕事が次の日に持ち越されるような職場環境や、仕事の仕組みが改善されない以上、シャイニングマンデーを実施したところで、プレミアムフライデーの二の舞になる可能性が高いのではないでしょうか。

せめて、次の点を政治家が意識すれば、早退する社員が1割という、燦々たる結果は産まないと思います。

それは、働き方改革と個人消費の増大を分けて考えることです。働き方改革は、時間の短縮だけでは解決せず、企業のマネジメントサイドへの介入も必要だと考えます。

例えば、働き方改革を狙って、早帰りを奨励することで、サービス供給側の仕事が忙しくなってしまった。これは、働き方改革と、個人消費という二つの考え方が混ざり合って起こってしまったことです。

働き改革と、個人消費の増加を分けて、一つずつ制度を整えていくことが、今の政治家に求められていることではないのでしょうか。

まとめ

プレミアムフライデーの“曜日を変更しただけ”のシャイニングマンデー。個人消費の増加と、働き方改革という2つのレイヤーが織り込まれているこの制度ですが、以前の結果は、早退する社員が1割にも満たなかっただけではなく、サービス供給側への負担が問題になるという、燦々たる結果でした。この結果が起きてしまった原因として、働き方改革と、個人消費の増加が両立できなかったことが挙げられます。

政治家は、数字の上でものを見るのをやめ、現場について知ることから始める方が、良いのではないでしょうか。現場で働く人は、仕事が残った状態で早退させられたところで、働き方が改革されたとは考えないでしょう。

過労死やうつ病の増加を受けて、働き方改革を進めるのであれば、企業側のマネジメントに手を入れる必要があるのではないでしょうか。

全てのバランスを整えることは難しいです。しかし、前回の失敗を受けて“曜日を変更するだけ”の制度を実施しようとしているのには、残念な気持ちがします。

Google流 疲れない働き方

村田ニッキー

村田ニッキー

東京都在住。IT企業、広告代理店を経て、20代でフリーランスクリエイターとして独立。サラリーマン時代よりも高い税金や保険料、ベンチャー支援制度などに疑問を抱いている20代男性。クリエイターのためのメディアを運営し、セミナーも行う中で、特に若者の、政治に対する関心が低いことを懸念している。