「働き方改革」で国民のライフスタイルはどう変わる?

安倍政権が推進する「働き方改革」とは?

日本国内では少子化による総人口の減少に歯止めが止まらない状況です。日本の将来推計人口は、国立社会保障・人口問題研究所によると2053年に1億人を割り込み、2065年には8,800万人になるという予測がなされています(平成29年推計)。

そんな予測がなされているなか、50年後も人口1億人を維持しつつ、すべての人が会社や地域、家庭で活躍できる社会を作るために、政府・与党が打ち出したのが「働き方改革」です。現在の労働制度を抜本的に改めて、一人一人がよりよい将来の展望を持てる社会にすることを目的として厚生労働省や安倍内閣が推進している政策です。

本来、政府・与党は、2017年秋の臨時国会で法案を成立させる目論見だったのですが、衆議院解散総選挙のため先送りとなってしまいました。安倍晋三首相は2018年1月4日の年頭会見で「通常国会は働き方改革国会だ」と述べ、関連法案の成立に全力を挙げる意向を示しましたが、1月22日から招集される通常国会では、予算案などの審議が優先されるため、法案の成立は早くても5月以降となる見通しです。そのため、厚労省は、関連法案の施工日を2019年4月から1年程度延期する検討に入っています。

参考:国立社会保障・人口問題研究所HP

高プロ制度は是か非か

働き方改革は、労働基準法改正を含む法律を制定することによって、時間外労働(残業)の上限の法定化、非正規労働者の処遇を改善し正社員との不合理な格差をなくす「同一労働同一賃金」が実現します。

これによって、非正規労働者でも無理なく働けるようになり、誰もが結婚して家庭を持ちやすくなり、出生率が増して働き手が増え、将来への展望を持てる社会になっていくというのが政府・与党の描く未来図です。

しかしながら、安倍内閣が提言した働き方改革に対して、主に野党から反対意見が多く出されました。

野党は、働き方改革を実行するとデメリットのが大きいと主張します。その理由は、関連法案の中に盛り込まれる「高度プロフェッショナル制度」(高プロ制度)です。

「高度プロフェッショナル制度」は、現行の労基法でも認められている裁量労働制を発展させ、時間に縛られない働き方を可能にするとした制度です。この制度に関して、異を唱えているのが労働組合を束ねる連合やその支援を受けている野党です。民進党や立憲民主党、共産党、社民党などは、高プロ制度を盛り込んだ働き方改革関連法案を、「残業代ゼロ法案」と呼び、反対しているのです。

「高度プロフェッショナル制度」は、適用年収を1,075万円以上としています。年収が1,075万円もあれば、成果重視の仕事であれば残業代ゼロであっても納得する方も多いかもしれません。しかし、法案が成立した後に、社会情勢などによってこの適用年収が下げられる可能性があります。もし、年収400万円や500万円で高プロ制度が適用されれば、まさに「残業代ゼロ」になりかねません。

安倍内閣は高プロ制度は一部の高い技能を持ち、高収入を得ている人のみに適用されると主張しています。しかし、野党は実際の労働現場では一般的な技能を有する社員であっても「高度プロフェッショナル制度」が適用されて無給での時間外労働を強要される恐れがあるとしています。

「高度プロフェッショナル制度」の本来の目的は、労働の対価を測る尺度に「成果」という目盛りを持ち込むことです。「高度プロフェッショナル制度」によって時間に縛られず柔軟に働くことができれば、仕事が早く終われば、自分の時間を自由に使うことができます。

仕事を早く終わらせて、家族と過ごす、趣味を楽しむというのもよいでしょう。自由な時間を活用して自分のスキルアップに費やす、別の仕事でさらに成果を上げるという人もいるかもしれません。成果を上げられる人が、高プロ制度を活用してさらに高い成果を企業や社会にもたらす。これこそが高プロ制度の真の狙いです。

だらだらと仕事をして残業代をもらったり、仕事が遅いので結果として残業代がもらえてしまうという社員を抱えるよりも、短い時間で高い成果を上げる人に多くの年収を支払いたいというのが、高プロ制度を推す経団連、すなわち経営層の考えなのです。

2017年の衆議院選挙は、「働き方改革」を推進する安倍自民党が勝利しました。この結果を受けて、「高度プロフェッショナル制度」を含めた働き方改革は間違いなく進められます。しかし、野党が危惧する事態にならないように、国会でしっかりと議論をし、法案の穴を埋め、整備してもらわなければなりません。そのためにも私たち国民は国会の議論を高い関心を持って見守る必要があります。

サラリーマンの生活への影響は?

働き方改革が進むと、社会で働いている多くのサラリーマンにはどのような影響があるのでしょうか?

少子化が進む現在、どの分野でも企業は若い人たちの雇用に頭を悩ませています。いわゆる人手不足です。

企業はより優秀な人材を雇用するために、コンプライアンス重視の経営を行うことが当たり前になっています。

つまり、多くの企業で法改正に準じた就業規則の改訂が行われます。従来は規定そのものがなかったテレワークや短時間勤務に関する内容が新たに追加されるはずです。するとサラリーマンという立場でありながらも在宅で仕事をしたり週5日勤務ではなく週3日の勤務ができるなど柔軟な働き方を選択できるようになる可能性があります。

また、労務管理も各企業で整備され、サービス残業がなくなったり、賃金の適正化も期待することができます。

働き方改革によって、仕事のできる人、成果を出せる人がより多くの収入を得るといった欧米型の働き方が進んでいくことになるでしょう。

政くらべ編集部

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