現在、現役世代と年金受給世代の世代間格差が問題になっています。どのような世代間格差があるか年金制度と年金受給者世代に注目し、事例に基づき政治はどのような行動をしたかを知ってもらえればと思います。
また、どのような変遷を経て非正規社員が約50%占めるように至ったのか、政治が動いたかを検証しました。
年金世代に厚い政治
現在の年金制度により現役世代、若者世代に不信感が募っている、その原因はなんなのかを考えてみたいと思います。
全国民が対象になる国民年金は昭和36年4月に施行された。当初は年金を支払う対象が少なかったため保険料を積み立てる方式の財政運用がとられ、その後急激な少子高齢化が進み修正積立方式(事実上の賦課方式:現役世代が支払った保険料を年金世代へ仕送りすること)へ変化していった。
この事から、年金世代の方は年金は自分で支払ったもので減額されることが理解できないという方もいらっしゃるようです。
このような状況で政治の動きはあまり機敏だったとは言えず、デフレ時代のときでも物価スライドを凍結し年金額の減額は見送られてきました。
やはり政治家としては有力な有権者であり、投票率も高く、選挙への投票意欲の強い高齢世代(年金世代)を敵に回したくなかったのではないかと思います。
確かに、日本の少子高齢化のスピ-ドが早かったことや、失われた20年といわれる経済的に不遇な状況で高齢世代の生活の柱とも言える年金額を減額するのは躊躇するのかもしれませんが、負担が後々若年世代に回っていくことが分かっている状況であったので法律に根拠がある物価スライドの適用はしていても良かったのではないか、そのほうが若年世代だけが重荷を背負っているのではなく年金受給世代も将来のために痛みを分かち合っていることになったのではないかと思います。
事実、年金世代は貯蓄額も多く経済的に余裕があるといいますので、物価スライドを適用したからといって日本の財政事情をまるで考えず政治家を恨むということはなかったと思います。嫌われるのを覚悟で決断してもらいたかったと思います。
また、厚生労働省のホ-ムペ-ジによると「一億総活躍社会」の実現に向け、賃金引上げの恩恵が及びにくい低年金受給者への支援によるアベノミクスの成果の均てんの観点や、高齢者世帯の年金も含めた所得全体の底上げを図る観点に立ち、社会保障・税一体改革の一環として平成29年度から実施される年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけになることも踏まえ、また、平成28年前半の個人消費の下支えにも資するよう、所得の少ない高齢者等を対象に年金生活者等支援臨時福祉給付金を実施します。金額は3万円だそうです。
なんで年金受給者だけが対象なのでしょうか、賃上げが及びにくい方への配慮ということだそうですがテレビのインタビュ-を見ていてもアベノミクスノの恩恵を受けていますという方は多くないように思え、一部の大企業の従業員がもともと所得が高いのに恩恵を受けているという印象が強いです。
非正規採用が約50%という時代、非正規で就労している若年者・子育て世代・障がいがあり満足に労働できない方などいろいろいるのに。
これでは、選挙に向けたバラマキ政策と言われても仕方ないと思います。党利党略ではなく、スロ-ガンではなく、本当に「一億総活躍社会」の実現に向けて政治を行っていただくと共に若い世代にも政治家へ圧力をかけるという意気込みで選挙に積極的に参加してもらいたいです。
非正規社員はなぜ主流になったか
現在の労働環境は20年前とは比べ物にならないくらい状況が変化しています。
20年前は年功序列・終身雇用が大企業だろうと中小企業だろうと当たり前で30代で会社員(正社員)でいない人は珍しかった。
今はアルバイト・契約社員と言った非正規社員が約50%と言う状況になりました。
そもそも非正規社員が増加した原因は労働者派遣法の度重なる改正にあると思います。
労働者派遣法は1986年施行されていますが、派遣労働者が一般的になったのは2000年代に入ってからではないかと思います。
そしてこの度の改正派遣法で恒常派遣が合法化されたとの事。
現在まで、政治は企業が強くなれば労働者も恩恵が受けられると言うスタンスで企業に都合のよい改正を行ってきた感があります。けれどしかし現実は必ずしもそうはなっていません。
正社員と非正規社員との格差は確実に広がっている感じがします。
これからの政治では、これまでの企業側のスタンスではなく、労働者側にも目を向けて所得の再分配を行い、格差是正に取り組んでもらいたい。
今年から18歳以上にも選挙権が与えられることになりました。これからの世代の方にこそ、現在の労働環境を理解してもらい政治に注文をつけてもらいたいと思います。