国の借金、これは嘆きなのか脅しなのか、ともかく嘘には相違ない

日本は借金大国だという言葉を時々見聞きします。年間で1,000兆円以上の借金があるそうです。そのため、あちらこちら日本は大変なことになっている、日本は貧しい国なんだ。この借金をどうやって返済するんだ、という声を散見します。

国の借金といわれているもの

国の借金が国債、政府短期証券等、2015年に1,057兆円あるそうです。国民1人1人に換算しますと各々833万円の借金だそうです。だいぶ前から言われていて、この数字、1人頭833万円というのは年々膨れ上がって来た数字です。

「国の借金」という言葉には、誰が(主語)誰に借金している(述語)という主語と述語がありません。これは「政府が日本国民に対して」借金しているのです。日本国民は年金、預金、保険等から政府に又貸ししています。従って日本国民は政府の負債の債権者なのです。政府に銀行を介してお金を貸している、これが国の借金です。国内での貸し借りなので財政破綻はあり得ません。

国はこれだけ借金があるのだから、子々孫々につけを廻さないために増税する必要があると、財務省が偽って国民を煽っているとしか思えません(実際そうなのです)。誰が借りている誰への借金かといいますと、事実は、国の借金ではなく政府の借金なのです。財務省によって「政府の負債が国の借金」になってしまったのです。本当は国民1人1人は833万円の貸し付けが政府に対してあるのです。

国の借金というのは国民の皆さんに政府が借りているお金です。日本は裕福な国家です。

麻生太郎財務大臣が数年前に「国の借金」を明確に説明しました。国の借金というのは国民の皆さんに政府が借りているお金だ、と。

日本は外国からお金を借りています、600兆円(対外負債)です。しかし外国に貸してもいます。960兆円(対外資産)です。ですから対外純資産は360兆円で日本は裕福な国家なのです。その富裕国家の内部で政府が借りているのが国の借金というわけです。ですから何が借金で、誰が誰に借金しているのかと言いますと、国民の年金、預金、保険などを政府が借りているのです。

国民は政府の負債の「債権者」です。国民は政府に1,057兆円を貸しているのです。1,057兆円は使い込んでしまった、だからもう一度消費税増税によって国民からお金を得たい。消費税を上げる理由は国債を減らすためです。これからも国民から前借したい、税金を使うには様々な問題があるので、最初に赤字国債を発行します。それから「お金がない、だから増税だ」というトリックを見せます。この事実を何故、国の借金だ借金だと、新聞・テレビを使い国民に向かって煽り立てるのでしょう。

日銀と政府は一心同体

日銀は政府の一部です。会計も政府と一緒なので日銀と政府は一体です。日銀券(お金)は日銀の借金です。国債は政府の借金です。どちらも政府と日銀が認知して価値が生まれる紙切れです。

政府は国債を日銀に買い取らせてお金を受け取ることができます。毎年、10兆円以上を買い取らせています。政府はお金を発行してお金を返せるのですから財政破綻はしません。正しい姿は「政府は国民の皆さんに1,057兆円の借金をしています」と公表することでしょう。マスコミも本来は政府を正しく批判する、政権に阿ねず、国民に正しく報道することが最重要なのですが、残念ながら都知事選挙でもお気づきのように(21人中3人の紹介のみをしただけですね)、正しい報道はなされていません。

増税をするための「言い訳」

恐らく財務省が消費増税をするためなのでしょうが、逆効果です。消費増税をすると国民は怖がって余計に生活を切り詰めます。消費縮小、需要縮小で市場縮小、デフレ脱却は一段と遠のきます。このデフレが一番の問題なのです。デフレのため銀行が民間にお金を貸し出さない。お金が貸し出されないと需要が増えずに、デフレから脱却できません。政府が支出を抑えて増税して、国民の需要を減らします。すると企業への投資が落ち、銀行はお金を貸さなくなり、国民や企業が国への貸付金である預金を増やすので、国債が買われ、税収が減る、これの繰り返しとなります。

国の借金(政府の負債)は消費税、法人税減税、軽減税率、インフラ投資、貨幣流通にも繋がります。さらにタックスヘイブン、移民受け入れ政策にも繋がって行きます。女性雇用を拡大して女性が輝く社会にしよう、というよりも正規社員を増やして安定した家庭生活、社会生活が送れるようにして、女性が家庭で子供を温かく育てられる社会を作る方が先決で、少子化問題の解決にもなると思います。政府の借金(負債)を軽減するには、国民が気持ちよく生活できる環境を作ることではないでしょうか。

田中美智子

田中美智子

女性、60代。イタリアのペルージャに住んでいる翻訳フリーランサーです。