のんべぇの街が消える?

各党地元候補者に訊く、「のんべえの聖地」再開発

下町商店街が高層ビルに!?

私が住む葛飾区には、京成立石駅周辺の再開発計画という、長年膠着状態となっている問題があります。

立石といえば「のんべえの聖地」「昼のみの聖地」として親しまれるモツ焼き屋街、昭和レトロな商店街で知られ、区内外から多くの人が訪れます。前述の計画は一言で言うと、この商店街を更地にして、高層ビルと広い駅前広場に変えてしまおうと言うもの。京成押上線の高架化に伴うもので、木密地域のリスク解消なども理由に挙げられています。

事業主体は都ですが、建設予定のビルに区が庁舎移転を計画するなど、都・区・京成電鉄・ゼネコンが一体となって計画を進めています。

残すべきものは…

私自身のこの計画に対する立場は、明確な反対です。立石のような人情溢れる商店街は、地域経済を支えると同時に地域社会をも支え、また、さまざまな人を受け容れる受容力を持っています。これを一方的な消費のための施設である商業ビルに変えてしまうのは、街をつまらなくすると同時に街から寛容さを奪う行為でもあります。

駅の高架化は再開発と関係ありませんし、防災性を高めるだけなら、一軒一軒に不燃化工事の補助金を出せばいい話です。20年以上前に出されながら合意形成ができていない計画を、五輪の機運に便乗して一気に決めてしまおうという姿勢も不誠実です。近頃「レガシー」という言葉をよく耳にしますが、将来の世代に残すべきは、人情溢れる商店街か、高層ビルかどちらでしょうか。

アンケート、とりました

この問題、直接の国政の課題ではありませんが、衆院選候補者の思想を測る上で、よいものさしとなるのではないでしょうか。また、選挙区選出議員の「地域代表」という側面を考えた場合、地域の問題をどれだけ理解しているかというのは、大事なポイントの1つです。さらに、前職の平沢勝栄氏は過去の衆院選でこの事業計画の推進を掲げてきたという現状もあります。

私が衆院選東京17区の各候補者に実施したアンケートを、以下に掲載いたします。これらのことを踏まえてお読みいただけると幸いです。

質問
① 京成立石駅周辺地区の再開発計画に関してどのように考えるか?
② 同計画に対して今後何かしらのアプローチをしていく予定は?(あるとすればその内容も)

平沢勝栄(自民・前職)

① 立石駅周辺地区では、防災性・利便性・快適性の向上を図り商業の活性化を推進するため、京成押上線の連続立体交差事業との連携のもと、引き続き再開発計画を進めていくことが必要です。

② 今後とも葛飾区、東京都と緊密に連携して取り組んでいきたいと思います。

新井杉生(共産・新人)(一部要約)

① 現在駅北口再開発が都市計画決定まで行われていますが、地権者内の再開発に反対する人たちが依然1/3以上を占めているので、事業計画案をつくることができないままです。

一方、再開発計画とセットで進められてきた京成押上線の連続立体事業は、国土交通省の事業認可が取り消される危惧のある期限が迫ってきたため都が再開発計画とは切り離す決断をし、隣接道路予定地は土地買収方式、応じない地権者には強制的収用を行ってでも、事業を進めようとしています。

再開発計画がスタートして20年余、このような状況である以上計画は一度白紙に戻し、立石らしい「身の丈に合ったまちづくり」の視点で話し合いをし、住民合意が図れるように計画を作り直すべきです。この視点からはバスターミナルを前提とした広い駅前広場は必要ないでしょう。既に行った都市計画決定は見直しが必要です。

② 区は北口再開発を助けるために区庁舎を駅前再開発による高層ビルに移転しようと、毎年莫大なカネを積み立てています。まだ決まるかどうかもわからない再開発事業がつくる予定のビルの床を買うというのですから、区行政の運営としても大変無責任です。一方では学校の建て替えは後回しにし、公共施設の見直しで鎌倉公園の子供用プールの廃止までしようとしています。

住民の反対が多い再開発を税金を使ってまで進めようとし、そのために子どもたちが使う公共施設を犠牲にするというのは、とんでもない区政の暴走です。区長選に幸い区庁舎移転反対を掲げて木原敬一氏が立候補するので、日本共産党は彼を支持して区政の転換をはかりたいと考えます。

西田ちから(希望・新人)

無回答

塔嶌麦太

塔嶌麦太

とうじまむぎた:東京都葛飾区在住。20代前半。男性。アルバイト。いつも立石を通って、近くの堀切の職場へ通っています。将来は都内の商店街に、自営業の店を出したいと思っています。