衆議院

衆議院の選挙制度を徹底解説!次の選挙に備えよう!

衆議院が解散される度に行われる解散総選挙。衆議院にも参議院と同じように4年の任期がありますが、任期満了前に解散されることがほとんどなので、平均すると2年半に1回の割合で解散総選挙が行われます。今の安倍政権はしばらく解散はなさそうですが、今一度、衆議院の選挙制度をおさらいしておきましょう!

1.小選挙区制度

小選挙区とは、各都道府県が割り当てられている区分で、1つの都道府県が1つの選挙区となります。
それぞれの選挙区からは、得票が多い順に決められた人数が当選するという、とてもシンプルな多数決です。投票は候補者の名前を書いて行います。

なぜこの小選挙区制が取り入れられているかと言うと、政権交代がスムーズに行えるからです。小選挙区制の選挙では、国民が多く投票した人が当選するので、批判などが少ないと考えられます。政権交代は、国民の批判が多ければすぐに解散という事態にもなってしまうので、多数決の民意がそのまま反映されている小選挙区制が一番政権交代をしやすいのです。この小選挙区制選挙では、300人の候補者が当選します。

2.比例代表制

比例代表制とは、候補者名か政党名で投票し、獲得した票の割合に応じてブロックという区分けで何人投票できるかが決まります。ブロックは、全国を11に区切ったもので、得票の割合はドント方式という計算方法で計算されます。
また、獲得した票は総得票数と呼ばれ、候補者が獲得した票と政党が獲得した票を足したものになります。

候補者が獲得した票+政党が獲得した票=政党の総得票数
↓ドント方式で計算※定数10のブロックの場合

政党名A党B党C党D党
総得票数15000票8000票6500票2500票
1で割る①15000②8000④65002500
2で割る③7500⑥4000⑧32501250
3で割る⑤5000⑩2666.72166.7833.3
4で割る⑦37502000
1625625
5で割る⑨300016001300
500
5議席獲得3議席獲得2議席獲得議席なし

また、衆議院の比例代表制には拘束名簿式という方式が取り入れられています。これは、比例代表選挙に立候補した候補者の名簿で、獲得した議席に誰が入るかを、政党が予め決めているものになります。つまり、名簿の上から獲得した議席に議員がはまっていくというようなイメージです。

候補者名簿 獲得した議席(3議席獲得)
①候補者A1つ目の議席に候補者A
②候補者B2つ目の議席に候補者B
③候補者C3つ目の議席に候補者C
④候補者D議席がないので落選

この比例代表選挙では、180人の候補者が当選します。

3.小選挙区比例代表並立制

衆議院選挙の一番の特色は、1の小選挙区制と、2の比例代表制が並立しているという点です。なぜ「並立制」かというと、衆議院の選挙では、重複立候補ができるからです。
重複立候補とは、小選挙区と比例代表のどちらにも立候補できるという制度で、参議院選挙にはない制度です。小選挙区で落選しても、比例代表で当選できる可能性が残っている、という状態になります。

この「並立制」である意味は、小選挙区と比例代表制のそれぞれの欠点を補うという点にあります。
小選挙区制では、知名度が低い小政党の候補者は当選の確率がぐっと低くなります。ですが比例代表に重複立候補していれば、政党が議席を複数獲得しさえすれば当選できるということになるのです。

また、小選挙区制では、落選者に投票された票である死票が多く出ます。それに対して比例代表制では得票の割合がそのまま議席に反映されるので、死票の数が少なくて済むのです。

4.選挙制度のメッリトとデメリット

その他のメリットとしては、小選挙区比例代表並立制であることによって、特定の候補者を支持していなくても、大まかに政党を支持している人が投票に困らないという点があります。現在は無党派層といって、特定の政党や政治家を支持していないという人が多くいます。そのような人が、テレビなどのメディアからの情報を頼りに指示する「人」は決められなくても、指示する「団体」を決めることができるようになるのです。

ですが、もちろんデメリットもあります。よく話題になるのは、一票の格差という問題です。

一票の格差とは、例えば、有権者が100いる地区から1人当選するのと、有権者が20人の地区から1人当選するのでは、一票に対しての価値の重さが異なってしまうということです。この例で考えると、有権者20人の地区の一票は、有権者100人の地区の一票に対して5倍の重さをもつことになります。このデメリットの解消には、まだまだ時間がかかりそうです。

衆議院の選挙制度、理解していただけたでしょうか。
選挙によって選ばれた候補者は、わたしたち国民に代わって国を運営するという重要な役割を担っている人たちです。なぜ選挙に行こうという呼びかけが止まないのか。それは、選挙に行かなければ、わたしたち国民が感じるべき「幸福」が国政に反映されないから。選挙とは、時々行われるお祭りのようなものではなく、本当は、もっと身近にわたしたちの生活に密着しているものなのです。

丹波凛

丹波凛

20代女性、フリーライター兼デコラティブアーティスト、北海道在住。コラムやブログ記事を執筆しながらデコアイテムの作成に励む日々。子供や高齢者に関わる政治テーマに関心が強い。