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参議院の選挙制度を解説!メリットとデメリットは?

2016年の夏に行われる参議院選挙。3年ごとに選挙が行われる参議院ですが、この選挙制度、しっかり理解していますか? 今回は参議院の選挙制度を解説し、メリットとデメリットを考えてみたいと思います。衆議院の選挙制度とあわせて、新有権者の方も、ぜひ一緒に参議院の選挙の仕組みを確認してみましょう!

※編集部注:文中に比例代表の選挙区が全国11ブロックに分けられていると記載されていますが、参議院の比例代表は全国で1つの選挙区です。お詫びして訂正いたします。

1.参議院選挙制度の基本

参議院の選挙は、3年に1回行われます。これは、参議院議員の任期が6年と決まっており、任期の半分である3年ごとに議員の半数を改選するためです。参議院には、衆議院と違って解散というものがありません。そこで、改選というかたちで民意に反する議員かそうでないかを選定するという方法をとっているのです。

参議院の選挙方法は、選挙区制と比例代表制に分かれています。まず、選挙区制について解説します。選挙区は、1都道府県に1つ置かれています。東京都であれば、東京都がひとつの選挙区となります。この選挙区、つまり、都道府県ごとに当選できる人数がそれぞれ決まっています。東京都であれば定数10人の半分で5人(2016年の改数で6人)、大阪・愛知などは定数6人の半分で3人です。全体で146名の議員がおり、選挙の度に73人が改選となります。投票は候補者の名前を記入して行われ、得票の多い順に当選していきます。とてもシンプルな多数決です。

次に、比例代表制についてです。比例代表制にも選挙区のような区分けがあり、全国を11のブロックに分けています。参議院の比例代表選挙は全国区で、各政党は事前に候補者名簿を提出します。衆議院と異なり、選挙区の候補者を比例代表の候補者名簿に重複記載することはできません。投票は立候補者の名前か、政党の名前で行います。どの党がどれだけの議席を獲得するかは、候補者が獲得した票と政党が獲得した票を足した総得票数を、ドント方式(非拘束名簿式)と呼ばれる方法で決定されます。表にまとめてみましょう。

候補者が獲得した票+政党が獲得した票=政党の総得票数

政党名A党B党C党D党
総得票数15000票8000票6500票2500票
1で割る①15000②8000④65002500
2で割る③7500⑥4000⑧32501250
3で割る⑤5000⑩2666.72166.7833.3
4で割る⑦37502000
1625625
5で割る⑨300016001300
500
5議席獲得3議席獲得2議席獲得議席なし

この獲得した議席に、票を多く獲得した候補者の順に当選していくということになります。

2.参議院選挙制度のメリットとデメリット

参議院選挙の比例代表制では、政党だけでなく、候補者に直接投票することが可能です。そのため、民意を反映してくれると期待できる候補者を、国民がしっかり選ぶことができます。加えて、政党自体は支持していなくても、候補者単体として支持するという意思を表明することもできます。

その反面、議席を獲得できる見込みのない小政党が、芸能人や知識人を候補者に立て、総得票数を上げようとするという動きが見られます。これはこの制度のデメリットで、政治の知識がない人が当選したり、選挙の票が人気票になってしまうということが起こり得るのです。
実際に、各政党が知名度の高い人物を候補者に乱立するという事態も起きています。

また、立候補者個人の得票数が少なくても、個人と政党の票を合計した総得票数が多ければ、その候補者が当選するという状況も起こり得ます。これとは逆に、個人の得票数が多くても、政党として得票数が少ないため、議席を獲得できず落選してしまうということもあります。

参議院とは、衆議院で議論している法案について更に審議を重ね、より国民にとってプラスになる法案へと導くために設置されているものです。
そこに集う参議院議員は、衆議院議員よりも、より国民の生活に密着して物事を考えられる人を選ぶべきという側面をもっています。実際に、主婦の方が参議院議員として活躍しているということは、珍しくありません。その参議院の選挙制度において、知名度があるだけで議員に当選したり、逆に国民の支持を得ていても大政党からの立候補でないというだけで当選できなかったり、参議院選挙の制度には、まだまだ穴があるように感じます。

このように、選挙の仕組みを理解していくと、わたしたち国民が選挙に対してもつ一票は、国政を動かす一票だということが実感できると思います。その重要な一票をもつ有権者として、現行の参議院選挙制度の穴を、あなたならどうやってカバーしますか?ぜひ、身近な人と考えてみてください。

丹波凛

丹波凛

20代女性、フリーライター兼デコラティブアーティスト、北海道在住。コラムやブログ記事を執筆しながらデコアイテムの作成に励む日々。子供や高齢者に関わる政治テーマに関心が強い。