今現在、またこれからの将来、天皇陛下の生前退位や女性天皇、女系天皇について長く国会で議論されてきました。天皇陛下もご高齢でありながら、肉体的にも精神的にも身を張りながら、日本のため、国民のために奮励努力しておられます。
女性天皇、女系天皇とは一体何か?
女子の天皇を指す「女性天皇」と皇統についての「女系天皇」とは、全く概念が異なります。その天皇自身が男か女かという性別を意味するのではなく、概念上は女系男性天皇と女系女性天皇の両方が存在しえます。
皇族の女性が天皇になって、その女性と一般男性と結婚して、その子供が天皇になるのが女系天皇または母系天皇といいます。
日本は、有史以来、科学的根拠はありませんが、紀元前660年に神武天皇が即位して、今現在に至るまで、ずっと男系天皇ではありました。つまり、男の天皇と一般の女性が結婚して、その子供が天皇になるというシステムです。
歴代にも推古天皇、皇極(斉明)天皇、称徳天皇など女性天皇はいましたが、彼女たちはすべて男系天皇であり、当時の天皇の座にふさわしい男子がいない時に、その天皇の座の穴埋めをするために、天皇の座に就いただけでした。もし、男系から女系に変わると、日本史上初の王朝交代が生じると私は考えています。
皇室典範は改正したほうがいいのか?
現行の皇室典範は、日本国憲法第2条及び第5条に基づき、皇位継承及び摂政に関する事項を中心に規律した皇室に関する法律です。摂政は皇室典範により、天皇が成年に達しない時、重患あるいは重大な事故といった事情によって国事行為を行うことができないと皇室会議で判断された時に設置される法定代理機関としておかれます。
天皇陛下が、憲法で定められた国事行為において、国会から提示された法律を承認するなどの事務的な体力をあまり必要としない御公務であれば、それほどお体に差し障りはないとは思いますし、摂政が代わりに御公務をしても、差し障りはないと思います。
しかし、全国各地で行われるいろいろな式典や全国各地にある福祉施設を訪問、国際親善のための外国訪問など、体力を必要される御公務は摂政と天皇陛下とでは、相手側に与える影響が異なると思いますので、私は皇室典範の改定が必要なのではないかと思います。
象徴天皇制の意味についての解釈
日本国憲法第1条では、天皇を日本国と日本国民統合の象徴と規定されています。その地位は、主権を持っている日本国民の総意に基づくものとされ、国会の議決する皇室典範に基づき、世襲によって受け継がれるとされています。
そもそも、天皇が象徴とは一体どういう意味なのでしょうか?私が初めて憲法をならったとき、天皇が象徴とは社会的にどのような立場なのだろうかと疑問に感じたことがしばしばありました。
戦前の大日本帝国憲法では、天皇は国家元首であり、様々な大権が与えられていました。しかし、その大権(立法、行政、司法、軍事など)は、それぞれ各機関に委ねられていたので、実質的には、天皇は立憲君主でした。
現在は、実質的な政治的権限がない点を強調し、象徴天皇制としているかもしれません。「象徴」自身は、法律の専門用語ではないと思いますが、天皇陛下のおことばにあったように、ご自身が「象徴天皇」とはどのような天皇なのかを模索しつつ御公務なされてきました。
しかし、私個人としては、「象徴」という曖昧な表現により、天皇という立場が理解できない人のために、天皇は国家元首として、明確な立場を表記すべきだと思っています。
天皇陛下に対する個人としてのおもい
天皇陛下自身、かなりのご高齢で、体を痛めているにもかかわらず、休む暇もなく、自由もほとんどなく、国や国民のために、陛下自身の身を切って御公務をされていることに対して、敬意があります。本来、天皇陛下と同じぐらいの年齢の人は、仕事を退職して、セカンドライフを満喫している人がたくさんいます。天皇陛下ほど激務をこなしている日本人は、あまりいないのではないかと思います。
天皇陛下は、国事行為だけでなく、古来からの宮中の伝統行事を守り、次世代に受け継がせていくという日本の伝統や文化を守り、さらに、外国とも友好関係を保つために、国際親善に努められております。私たち一般人ができないことを陛下がしてくださっているので、陛下に感謝をしなければならないと思います。