日本の皇室は、世界に類を見ない長い歴史を積み重ねてきています。そして今では、皇室が日本の歴史であり国体そのものであると言っていいでしょう。陛下のお言葉から譲位についての議論が始まっていますが、まずは皇室の正しい知識を得てから考えたいものです。
日本の皇室を世界中が羨ましく思っている
平成28年8月に天皇陛下のお言葉が有り、生前退位と言われている『譲位』について議論が始まっています。普段は『日本には有ってあたり前』と思われている皇室ですからあまり意識はしませんが、流石に今回はすべての国民が注目しているようですね。そしてその注目は、海外からもあるようです。いやむしろ外国人の方が、日本人よりも注目しているのではないでしょうか。
その理由が、日本の皇室を中心とした国体に対して脅威を感じていることです。単純に考えてください。他国では王朝がコロコロと入れ替わっているのに、日本では一切入れ替わっていません。普通に考えてこれはあり得ないことです。人はなんだかんだと欲があり、私利私欲でその立場を奪おうとする人が必ずいます。それなのに日本ではその立場を奪おうとする人がほとんど現れず、無くそうとする人もおらず、その歴史が続いているのです。
皇室が素晴らしいのか、皇室の在り方が理に適っているのか、或いは日本の文化伝統といった所からくる人々の心が素晴らしいのかは分かりませんが、外国人にしてみれば日本は奇跡の国に見えます。日本人にしてみればあたり前のことですが、世界から見れば日本の皇室はとても興味深いものとなるのです。
そしてその凄さを知り、皇室の方々の立ち居振る舞いを見た時に、多くの人が皇室のある日本を羨ましく思うようです。インターネットで探せば、日本の皇室に対しての発言を英語で見つけることができます。その内容は『羨ましい』と『続けてほしい』という所に集約されるようです。
日本の皇室が本当に凄いのはその在り方
そんな皇室ですが、実際に凄いものだということを日本人は理解しておく必要があると私は思います。近年では軽く考えてしまう人もいますが、知るとその重さが分かるでしょう。そういう私も昔は皇室に興味は無く、無くしても問題がないとさえ思っていました。しかし知れば知るほど、その重要性が分かってきます。
長く続くには当然理由があります。世界からは古事記が書かれてから1300年程度の歴史と見られていますが、後醍醐天皇の子孫である竹内睦泰氏の話によれば、ほぼ西暦と同じくらいの歴史が日本にはあるということです。つまり2000年の歴史ですね。それだけ続けるのに力の支配だけでは到底無理というものでしょう。そこに何か素晴らしいものがあったと言わざるを得ません。
その一つが、国体と政体を分けてきた皇室の在り方ではないでしょうか。権力を揮った天皇が過去にいなかったわけではないですが、概ね時が経つにつれて権力の座につく人は減ってきました。天皇がいて国民がいるという国家体制が有り、政治指導者は国民を幸せにするために天皇陛下から権力を預かるという政治体制に自然となっていったのです。
この体制を見て、某アメリカ大統領は言ったそうです。
『天皇陛下を星条旗にすれば、アメリカの国体と似ている』
近代的な国家体制を、日本は遠い昔からずっと続けていたというわけです。そこが凄いですね。
譲位についてはしっかり勉強してから結論を
さて、そんな凄い日本の国家体制の基礎である皇室について、議論が始まっています。と言っても、実は過去に同じ議論が3度行われているのですよね。大日本帝国憲法を決める時、終戦直後、そして昭和天皇が80歳を超えた時です。そしていずれも同じ結論が出ています。
皇室の制度を悪用されてはいけないので、譲位は制度化できないということです。だからおそらく譲位は、特別法という形で行われることになるでしょう。個人的には制度化しても良いとは思っていますが、今まで上手くいっていたものをわざわざ変える必要はありません。
天皇陛下の重要性は語り出したらきりがありませんが、日本人が2000年間宝物のように大切に守ってきたのです。それだけでそうやすやすと変更できないことは誰もが理解できるでしょう。
皇室はあくまで国体にあるものであって、政体にはありません。もしも政治の道具として使われるようなことがあっては、長い歴史の中で汚点となるでしょう。そんな不名誉を受け入れられる人など、日本人の中にはおそらくいません。ただ、皇室を全く知らなければ、そういう普通の考えにも至らない可能性があります。だからまずは皇室を中心とした、日本の歴史をしっかり勉強してから、結論を出してほしいですね。
最後に女系天皇にも少し触れておきます。女性天皇はルールに基づいて過去に何人も存在していますが、女系天皇はいません。これも日本が凄い国である理由の一つです。だから女系天皇の議論は論外であるということだけ伝えておきます。