町おこし隊が町を壊す現実。みんなのための町づくりって何だろう?

地方都市の過疎と呼ばれる地域。その地域町起こし隊の活動が、私の住む集落をゆるやかに衰退を促進させる会になっています。地域を盛り上げるはずなのに、活動をすればするほど地域から人が逃げて行く現実。「町おこしとは?」一体なんなのでしょうか?

お金は余っている。使わなければ。

毎月開催される「地域を盛り上げる会」。実際の内容は毎回早朝に集まりおにぎりを握り、豚汁を振る舞うだけの行事です。「お客様」として呼ばれるのは地区の70代以上の高齢者。地域を盛り上げる会ではなく、老人をもてなす会が正しい表現のような気がします。

市から予算が毎年おりるのですが、中には予算は付いたけれど地域住民の反対にあい、企画倒れになった行事もありました。1つ企画が倒れても「お金が余っているから、このお金は使わなきゃ予算がつかないから。」という理由で行事が開催されます。本来の「地域を盛り上げる」という趣旨ではなく「お金を使うための行事」です。目的と手段が完全に入れ替わってしまい、私の住む地域では「お金を使うための行事」が毎月開催されています。

若者は労働力。それ以上でもそれ以下でもない現実。

行事のお手伝いとして集められるのは主に「子育て世代」。独身は免除。PTAから何人参加と決まっています。運営の中心は60~70代。若い世代から「地域を盛り上げる会」でしたら、地元の野菜などの特産物を一緒に販売した方がいいのではないだろうか?と提案してみたのですが、「それは運営委員で決めるから」と若い世代は聞き入れてはもらえませんでした。

結局、毎回地区行事に出店・参加するのは運営委員会の中心メンバーの知人・友人たち。地域の特産物は出店されず、地域住民が「運営委員の知人・友人から物を買う会」のような現状です。本来なら地区の特産物を地区外の多くの人に知ってもらう機会が「地域を盛り上げる」場であるべきだと感じます。若い世代は、その「運営委員会の知人・友人の即売会」を運営する労働力でしかない現実です。

「地域を盛り上げる会」が地域を衰退させる

意見を聞いてもらえない。労働に参加しなければ、地区の高齢者からよくない噂を立てられる…。昨年度、私の住む地域の小学校の保護者の半数が隣の小学校の学区域へと移ってしまいました。小規模校でしたので学校全体で20人しかいない児童数が10人に。いよいよ「廃校になる」という噂が現実へと加速しました。小規模校の良いところは先生たちと生徒との心の距離感が近いところでした。しかし「地域を盛り上げる会」の活動が勢いが増すほど「この地区には住みたくない」と出て行く人が増えてしまいました。とても悲しい出来事でした。私の地域の問題は、日本の町づくりの抱える問題なのではないかと思います。

まずは「話を聞く」それだけで未来はある

私の住む地域の問題点は運営委員会のメンバーが60代以上の高齢者で、さらに運営委員会が「若い人の話を聞かない」という傾向があります。そして「お金を使い切る」ことが目的となってしまっているお祭りや交流会を開いています。行事の趣旨や費用対効果など、若い世代の意見を取り入れ、地域の人口の流出や地元特産物を販売して、地域の経済を活性化させることができるはずです。人間同士の根本的なコミュニケーションが大きく不足しているのです。その1点を大きく改めることで、地域の行事の運営・企画も新しい風が吹くことでしょう。「若者・馬鹿者・よそ者」の三馬鹿が地域活性化には不可欠だと言われる今、地域の問題はその三馬鹿をいかに使えるかどうかが肝心なことなのではないでしょうか?

坂口今日子

坂口今日子

38歳の女性で大分県に住んでいます。事務職・接客業、工場生産管理を経て結婚を機に退職しました。その後、子育てをしながらワーキングマザーとしてアパレル業に従事しています。