法律として不備のある障がい者差別解消法

障がい者差別解消法が作られた背景

皆さん多分ご存じない方がほとんどだと思いますが、今年度から障がい者差別解消法が施行されました。まずは障がい者差別解消法が出来るまでを紹介します。
この障がい者差別解消法が出来るまではバリアフリー法とかで対応していましたが、民主党が政権をとったときに自民党政権では批准してこなかった、国連の障がい者権利条約を批准しました(先進国では凄く遅いですが)。

世界の考え方は、障がい者に対して合理的配慮をする事が社会の義務で、日本では合理的配慮が社会の義務になっていなくて、それぐらい世界と日本の障がい者に対する考え方には違いがあました。だから自民党政権では批准してこなかったのです。
批准した結果、今までのバリアフリー法とかの既存の法律では国連の障がい者権利条約に対応が出来ないので障がい者差別解消法という法律ができたのです。

義務化されたけど無意味、努力目標の合理的配慮

障がい者差別解消法が施行されて、何が変わったのかと言うと、一番大きな点が、合理的配慮が社会の義務になったことです。合理的配慮とは、日常生活や社会生活を営む中で、障がいの種類やその程度において社会が障がい者に対して配慮することを言います。
難しいから例をあげると、市役所の窓口に耳が聞こえない障がい者が来て、この人は会話するのに手話通訳がどうしても必要です。窓口で手話通訳をできるようにすることが合理的配慮にあたります。

この合理的配慮が障がい者差別解消法によって社会の義務になったことはいいのですが、障がい者差別解消法には問題も多くて、配慮する側の負担が大きい場合は合理的配慮を行わなくても良いと書かれているのです。合理的配慮は義務になったと言いますが、民間企業は努力義務なので、違反しても何の罰則もないのです。

今のところ意味のない障がい者差別解消法ですが、厚生労働省の話では3年後に障がい者差別解消法を見直すので今はしょうがないと言いますが、どうせ見直すなら今直して欲しいです。

法律に基づいた条例の整備を!

障がい者差別解消法が意味のない理由がもうひとつあります。障がい者差別解消法は国の法律で、この障がい者差別解消法に基づいた県や市町村の条例がまだあまり整備されていないのです。私は三重県在住なので三重県で条例を作るために、障がい当事者やその関係者が条例をつくる会を立ち上げたので私もメンバーに入れてもらって活動しています。

障がい者差別解消法施行される前の2016年3月31日に、全国の障がい者団体の代表が集まり、厚生労働省で障がい者差別解消法の見直しを求めました。私の活動する「条例をつくる会」のメンバーの一人も東京まで行って参加しました。全国から集まった障がい者100人くらいが国会でデモをしました。

日本は国連の障がい者権利条約を批准したものの、福祉制度が世界の水準に達していないので、障がい者差別解消法を作ったため、3年かけて変えていくというのが厚生労働省の考え方です。しかし3年後に必ず変わるという保証はないので、デモをしたのです。
このときに3年後の見直しに役立ててもらおうと差別事例を渡してきたので紹介します。

介助はいるけど、自分の意思は伝えられるという障がい者は多いです。役所などの窓口での対応で、ヘルパーさんに話をして本人を無視して、自分の意志がわかってもらえないことがよくあります。
一番多かったのがJRの事例です。まず乗車2日前に予約しないと乗れない可能性があり、私鉄ではありえないけど予約しても都会では30分以上、私が住んでいる亀山市では電車が少ないから1時間以上駅員がいないと平気で待たされます。田舎の駅だとバリアフリーになっていないから、介助がいるので自分で介助者を手配しても、駅員がいないため乗車拒否されたということもあります(これは私ですが)。ガラパゴスのようなJRですが、障がい者差別解消法で合理的配慮は義務になったと言いますが、民間企業は努力義務なので、今は何も変わりません。

でも、障がい者差別解消法に基づいた市町村や都道府県条例があれば何かが変わると思います。ですから私は活動を続けようと思います。

このコラムで一番伝えたい事は、障がい者差別解消法や今の障がい者のことをきちんと理解している地方議員が少ないということです。このコラムを多くの地方議員の方に読んでいただき、障がい者差別解消法に基づいた条例を作っていただきたいと切に願います。

亀山孝博

亀山孝博

男性、三重県亀山市在住。無職、私は重度障がい者で生まれつきの脳性まひで、脳性まひも色んな種類があり、アテトウゼ型と言いまして手足が勝手に動いてしまう。

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