昨年の安保法制をめぐる動き、憲法改正を目指す安倍政権に対する賛否の議論。今、憲法をめぐる動きがメディアでも広く取り上げられ、一般の人の間に関心が高まっています。
そもそも憲法とは何なのか? なぜ改正の動きになっているのか。今さら人に聞けない基本的なことから最新の話題まで憲法についての今を解説します。
そもそも憲法って何?~憲法の目指すところ
憲法は国家の基本法ということは、中学校などで皆さん学んでこられたと思います。でも実際、憲法には具体的な実社会に適用できる条文はほとんどありません。では憲法とは国家の法律の中でどういった性格のものなのでしょうか。
端的に言うと「憲法とは権力者・政治の横暴から国民を守るためのもの」です。つまり、政治や権力者が好き勝手なことをして、国民の権利を侵害し不都合を 与えないように、政治や権力者の側に、制限をかけて国民を守ろうとしているのです。日本国憲法の前文では「日本国民は~確定する」などと国民が定めるという書き方がされていますが、文字通り「国民が定め、政府や政治にそれを守らせる」という内容なのです。つまり憲法に書かれたことを守るのは「国民」ではなく「政治」。そして私たち国民を守る憲法を、国民は守っていくことが必要なのです。
これは歴史的に権力者が好き勝手なことをやって国民を苦しめたことから来る反省の元になりたった考え方です。「権力者の横暴を防ぎ、国民の権利を守るためのもの」、それが憲法の意味。そしてこれが立憲主義の基本なのです。
なぜ憲法改正が議論されているの?
政治の世界では定期的に憲法改正の話が出ては消えていきます。その議論の中では改正を進めようとする改憲派と、改正はせず今ある憲法を守っていこうとする護憲派に分かれて議論が繰り広げられています。両者の意見は大きく分けて以下のようになります。
- <改憲派>
- ・憲法は時代に合うように適切に改正していくべき
- ・自衛隊の役割を明確に記載すべき
- ・今の憲法は米国に押し付けられたものであり、日本人が自らの憲法を定めるべき
- <護憲派>
- ・憲法とは不変の原理を書いたものでむやみに変えるべきではない
- ・憲法は変えず従来通り条文の解釈の変更で対応すべき
- ・日本国憲法の平和主義の精神を損なうような改正はすべきでない
簡単に説明すると改憲派の主張は「日本国憲法が作られた戦後すぐの頃とは、政界情勢や、その中での日本の役割は大きく変わっている。この変化に合わせて 憲法もフレキシブルに変えていくべきでは」というものです。
これに対して護憲派の主張は「日本国憲法に書かれていることは基本的人権や平和主義、国民主権といった時勢の影響とは関係なく不変でなくてはならないものだから、改正の必要はない。そして日本国憲法がうたっている平和の精神は絶対に守っていかなければならない日本の宝であり、特にそれがうたわれている9条は変更してはならない」という主張です。
改憲派、護憲派いずれの主張もある意味で理解できるものです。これはどちらが正しく、どちらが間違っているというものではなく、大いに議論し、国民にとってもっとも良い答えを見つけていくのが良いのではないでしょうか。
将来に向けてしっかりとした議論を!
憲法というのは国の基本法規と言われる重要なもので、すべての法律は憲法に従って制定されています。歴史的に、権力者がその力を背景に国民に対して横暴を繰り返してきた反省から、憲法には「権力者の力を抑制し、国民を守る」という意味を持ちます。これが立憲主義の精神です。
現在、憲法の改正が議論されていますが、憲法は国のかたちを決める基本法規です。改正の方向によって国の将来は大きく変わることでしょう。改正の内容によって国民は幸せにも不幸にもなります。
政治はしっかりとした議論を行って国民にとって、そして国にとってもっとも良い方向性を見つけていくべきです。