民進党東京都連は、7月2日投開票の東京都議会議員選挙に向け、離党届を提出した14人と、立候補を取りやめた1人の公認取り消しを決めました。36人の予定だった公認候補者は「離党ドミノ」で大幅に減り、イメージダウンはぬぐいようがありません。厳しい選挙結果を予想する見方もあり、党はじり貧状態からの脱出策が見えてきません。
現職、新人、元職合わせて14人の公認候補者が離党
離党したのは、都議会民進系会派「東京改革議員団」で4月まで団長を務めていた山下太郎氏(44)=北多摩第四選挙区=、幹事長を務めていた尾崎大介氏(43)=北多摩第三選挙区=、元大田区議の森愛氏(40)=大田区選挙区=ら現職、新人、元職合わせて14人。出馬を取りやめたのは大西智氏(55)=足立区選挙区。都連の説明では、大西氏の取りやめは一身上の都合によるもので、離党しない方針ということです。
民進党は都議選に当初、36人の公認を予定していました。しかし、相次ぐ離党と立候補取りやめで選挙態勢の見直しを余儀なくされました。
ともに元都議の泉谷剛氏(51)=豊島区選挙区、和田宗春氏(73)=北区選挙区=の2人を追加公認、公認候補数は5月23日現在で23人となっています。
選挙戦では小池百合子知事を支援する立場で、待機児童対策など子育て支援の充実や都政改革を目指した情報公開の徹底などを訴える構えですが、離党者の多くが1、2人区の激戦区だけに、党が受けたダメージは大きいとみられています。
事前の選挙予測では小池知事率いる「都民ファーストの会」と自民党の争いに埋没するとして、厳しい見方も出ています。
民進党系会派の東京改革議員団は半数が離党
東京改革議員団は旧民主党系の都議会民進党14人と旧維新の党系の民進党都議団4人が2月に合流してスタートしました。
18人の勢力は自民党の57人、公明党の22人に次ぐ都議会第3の会派で、2016年に旧民主党と旧維新の党が合併して民進党として再スタートを切ったあとも、都議会では別々の会派として存在していたのが、ようやく1つになったわけです。
当時から民進党は小池知事に秋波を送っていましたが、会派名に民進党の名前を残さず、小池知事のキャッチフレーズ「東京大改革」に似た名前をつけたことでも話題を集めました。
ところが、統一会派になったにもかかわらず、都議選が近づくにつれ、離党者が続出します。18人の所属議員のうち、9人が次々に離党しました。その中には、団長、団長代理、幹事長、幹事長代理という会派のトップも含まれています。
これで民進系会派として十分な活動ができるのか疑問に思えますが、離党者が会派に残っているのも有権者から見てよく分からないところです。
離党者の多くが小池知事率いる都民ファーストの会へ
民進党を離党した元公認候補の多くが、都民ファーストの会の公認、推薦候補になりました。
公認候補となったのは田之上郁子氏(47)=江戸川区選挙区=ら元都議3人と、昭島市議の内山真吾氏(37)=昭島市選挙区=ら現職、元職の区議、市議3人の合計6人。
推薦を受けたのは酒井大史氏(49)=立川市選挙区=ら現職7人と、元職の滝口学氏(46)=荒川区選挙区。民進党へ公認申請しなかった現職の石川良一氏(65)=南多摩選挙区=を加えると、計9人の民進党関係者が都民ファーストへ鞍替えした格好です。
都民ファーストの会の公認候補は5月19日現在で45人。党幹部は今後の追加公認を含め、公認候補50人、推薦候補40人程度で選挙戦に臨む考えを示していますが、かなりの部分を民進党出身者が占める形になりそうです。
巷では「ちょっと待て そのファーストは 元民進」という川柳が面白おかしく語られています。2012年の衆院選で流行した「ちょっと待て その候補者は 元民主」をもじったものですが、その通りの状況になりつつあるようです。
支持率低迷が続く民進党の看板では戦えないと判断か
どうして「離党ドミノ」が起きたのでしょうか。民進党の結党は旧民主党時代の悪いイメージを払拭し、新党として再び支持を拡大して自民党に対抗する一極を目指すはずでした。
知名度が高い蓮舫氏の代表就任にも期待をかけていましたが、NHKの政治意識月例調査では今年1~5月の支持率は6.4~8.7%で推移し、40%近い自民党に大きく水を開けられています。
安倍政権への明確な対案を示せない中、長島昭久元防衛副大臣(衆院比例東京)の除籍処分など党内のドタバタばかりが目につくことも影響しているでしょう。
都議会では高い人気を誇る小池知事にすり寄る一面が目立ち、独自性をほとんど発揮できていないように感じます。
その結果、ますます有権者の支持が遠のくわけで、多くの都議選立候補予定者が民進党の看板で戦えないと考えているのかもしれません。しかも、これだけの離党者を出したことでじり貧からの脱出が余計に遠のいたように見えます。
民進党はリベラルという言葉で統一し切れないほど、保守から旧社会党の流れをくむ左派まで幅広い層が集まっています。選挙目当てに集まった寄せ集め政党の限界を見ているような気がしてなりません。