4氏が立候補した千葉県知事選挙、問われる森田県政の2期8年

任期満了に伴う千葉県知事選挙が告示されました。立候補したのは、新人の元高校教諭角谷信一氏(62)、新人の元会社員竹浪永和氏(42)、3選を目指す現職の森田健作氏(67)、新人の前浦安市長松崎秀樹氏(67)の4人(いずれも無所属、届け出順)。26日の投開票日に向けて激しい舌戦が繰り広げられていますが、最大の争点は森田県政の評価です。2期8年を振り返ってみましょう。

特集:千葉県知事選挙

往年の青春スター、明るいキャラクターは健在

森田氏は2009年、5新人の争いとなった千葉県知事選挙で得票率45.11%を集め、初当選しました。映画、テレビで活躍し、歌手としてもヒット曲を飛ばした往年の青春スター。60代になっても明るく快活なキャラクターは健在で、張りのある声は年齢を感じさせません。40代で政界へ転身し、参議院議員、衆議院議員を務めました。新米議員として雑巾がけからのスタートです。もともと気さくな人柄。下積み時代の苦労もあり、公明、民進両党などかつての敵とも良好な関係を築くしたたかさも身に着けました。

国会議員時代に質問中、たびたび「青春の巨匠」などとヤジを飛ばされましたが、知名度だけのタレント政治家とは一線を画そうとする姿勢がうかがえます。それが現れたのが行動力。2011年の福島第一原子力発電所事故直後、台湾やマレーシア、タイを何度も訪問し、風評被害の払しょくに力を尽くしました。県産のサツマイモやナシの輸出が始まったのも、こうしたトップセールスの成果といえるでしょう。支持者は明るいキャラクター以外の部分でも評価しているようです。

アクアライン普通車料金800円を実現

2009年の知事選出馬の際に公約に掲げたのが、東京湾アクアラインの普通車料金800円の実現です。東京湾を横断して千葉県木更津市と神奈川県川崎市を結ぶ高速道路で、房総エリアの経済発展と首都圏の物流効率向上を目指して建設されました。しかし、1997年の開通当時の利用は当初予測を大幅に下回っていました。通行料金が全国の高速道路プール制に組み込まれず、非常に高額となっていたからです。数回の料金改定で開通当時の4,000円が3,000円まで下げられましたが、それでも高額に変わりありません。

そこで当時の麻生太郎首相と直談判し、料金800円を実現しました。通行料収入が減少すれば、負債返済が遅れます。このため、国土交通省の抵抗が予想されましたが、これを説得するために用意したのが、県負担15億円です。国は2013年、県負担を5億円にして当面、料金引き下げを続けることを決めています。その結果、値下げからの8年間で交通量が約2倍に拡大しました。木更津市は東京のベッドタウンとなり、人口が8%、税収が6%も伸びています。

国会議員時代に培った国とのパイプは東京五輪の競技誘致でも生きました。レスリング、フェンシング、テコンドーが千葉市の幕張メッセ、サーフィンが一宮町開催に決まっています。

今も残る県内自治体の「南北格差」

こうした実績がある一方で、千葉県内には大きな課題が残っています。東京に隣接した県西北部が急発展する一方で、県南部や東部が人口減少や産業の停滞に苦しんでいることです。房総半島の人たちは「千葉の南北格差」と呼んでいます。千葉市などは東京一極集中の影響を受け、まだ人口増加が続いています。しかし、県南部や東部は人口の流出に悩んでいるのです。

2015年の国勢調査を見ても、千葉市は97万人に達し、前回2010年の調査に比べて1.13%の伸びを示しました。船橋市は2.26%、柏市は2.49%、市川市は1.6%の増加です。これに対し、県南部の勝浦市は7.36%、富津市は5.11%、大多喜町は7.69%の減。県東部も銚子市8.23%、旭市3.56%、東庄町6.61%と人口減少が深刻さを増しつつあります。

森田氏は県内道路網の整備に力を入れ、2016年11月には国から北千葉道路の一部区間を有料道路として整備する方針を引き出しました。しかし、県南部や東部に十分な波及効果を生み出すことはできていません。

医療、福祉部門は軒並み全国最低水準

もう1つの課題といえるのが医療、福祉面の遅れです。県内は75歳以上の後期高齢者が2015年に71万人いました。2025年には107.4万人、2035年には111.6万人に増えると予想されています。全国約800万人とされる団塊の世代が後期高齢者を迎え、介護、医療費など社会保障費が急増する「自治体の2025年問題」が最も深刻になる場所と指摘されているのです。

人口10万人当たりの病院数、医師数、看護師数はすべて全国最低に近い水準。介護老人保健施設、介護老人福祉施設の各定員、訪問看護ステーション数も全国平均を大きく下回っています。現在は県民の平均年齢が比較的若く、勤め先の東京都内で病院に通う人もいますが、後期高齢者となれば地元で病院や福祉施設を探さないといけません。現状を医療崩壊寸前と指摘する声もあり、選挙戦で森田県政の医療、福祉面への取り組みが不十分と批判する声も出ています。

有権者は三度、森田県政を選ぶのか、620万県民の将来を別の知事に託すのか、選択のときが迫っています。

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高田泰

高田泰

50代男。徳島県在住。地方紙記者、編集委員を経て現在、フリーライター。ウェブニュースサイトで連載記事を執筆中。地方自治や地方創生に関心あり。

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