衆議院も参議院も、選挙制度を変えたほうが良いと思います

現在、衆議院は小選挙区比例代表並立制となっており、参議院は一部を除いて都道府県ごとに議員を選出し、さらに比例代表からも議員を選出しています。しかし現状の選挙制度は、幅広い民意を汲み取る制度になっているのか疑問を感じます。ついては改善したほうが良い点を列挙していきたいと思います。

参議院の選挙制度は抜本的に変えた方が良いと思います

現在の参議院選挙の選挙制度は、基本的には都道府県から代表を選出するという基本概念があるため、東京都では定数が6名となっており、事実上東京だけ大選挙区制になっています。定数6ですから、組織票を持つ政党は必ず1名を当選させることができてしまいます。実際、2016年に実施された参議院選挙の東京選挙区では、組織票を持つ自民党、民進党、公明党、共産党が当選者を出しています。また、2013年の参議院選挙では定数は5名でしたが、ほとんど政治の知識を持たない候補者が、無党派層からの支持を受けて当選してしまうという珍事が発生しました。

組織票を持った候補者が安定的に当選するのと同時に、無党派層の有権者から人気を得ただけで当選してしまうリスクを抱えているのが東京選挙区です。現状の東京選挙区のあり方には問題があると思います。組織票プラス無党派の票を獲得することによって、やっと当選できるという選挙制度に変更する必要があると思われます。つまり、最低でも東京選挙区を2つに分割して、それぞれの議員定数を3名にした方が緊張感の高い選挙戦が実施されやすいと思います。定数3であれば、組織票だけを頼りにした選挙戦を戦うことは不可能だと思われます。

また、逆に2016年の参議院選挙からは、有権者の人数が少なすぎるということで、鳥取県選挙区と島根県選挙区が合区され、高知県選挙区と徳島県選挙区が合区されて、それぞれの定数が1名となりました。1票の価値をできるだけ平等にするという考え方の点では、合区は正しい考え方です。

しかし、そもそも都道府県単位で代表を選ぶという考え方が時代遅れではないかと思います。例えば、四国地方全体をひとつの選挙区とした方が、各政党が地域振興を真剣に考えて、切磋琢磨して選挙戦を戦うことができると思います。四国地方をひとつの選挙区にしても、おそらく定数は3名程度だと思います。

私が提案したいことの基礎にある考え方は、道州制の導入です。都道府県単位で行政を執行したり、議員を選ぶ発想が時代遅れだと思います。もっと行政単位や選挙区の範囲を拡大して検討する必要があると思われます。ただし、首都東京については、緊張感のある選挙が実施されることが望ましいという観点にたって、選挙区分割を提案したいと思います。

衆議院は、小選挙区制を廃止して、定数3の中選挙区制を導入したほうが良いと思います

衆議院選挙は、政権を選択する選挙であり、総理大臣を選ぶ選挙でもあります。したがって、一見、選挙区につき1名しか当選させない小選挙区という制度は理にかなっていると思えてしまいますが、実情は理にかなっていないと思える点があります。

ひとつは比例代表並立制を導入している点です。そして重複立候補が可能となっている点にあります。つまり相手が強敵であっても、接戦に持ち込めば比例で復活当選できるという安易な考えを候補者が持っていると思われてしまうのです。具体的には、埼玉5区が挙げられます。埼玉5区は民進党の枝野幸男氏が過去10年以上小選挙で勝利し続けている選挙区です。一方、対立候補である自民党の牧原氏は現在当選3回ですが、3回とも小選挙区で枝野氏に敗れて、比例で復活当選しているのです。

これでは有権者側からすると、落選させたはずなのになぜ当選3回もしているのかと疑問に思ってしまいます。少なくとも重複立候補できる制度については改善が必要だと思われます。

そして、政権を選択する選挙という観点では、はたして現行の選挙制度で幅広い民意を汲み取ることができているのか疑問に思えてしまいます。小選挙区で議席を獲得できている政党は、自民党、民進党、日本維新の会、公明党などの主要な政党に限定されると思います。残りの政党は、比例代表で議席を得ています。つまり少数派の民意を、比例代表で汲み取っているのです。

以前、施行されていた中選挙区制では定数5の選挙区も多くあったため、緊張感のない選挙戦が展開されていて、有権者が緊張感のある政治を求めた結果、小選挙区制度が導入されたのだと認識しています。しかし現行の小選挙制度では民意の切り捨ても行われていると思えます。前回の中選挙区制の反省と、現在の小選挙区制のデメリットを勘案して、緊張感のある選挙戦を展開し、なおかつ幅広い民意を汲み取る観点から、定数3の中選挙区制度を導入することを提案したいと思うのです。

岸田五郎

岸田五郎

40歳の既婚男性。東京都港区在住の会社員です。選挙活動にボランティアとして参加したり、政治家が開催するミーティングに参加しています。とくに国防、外交、マクロ経済、金融政策に関心があります。