他の当選ラインの議員に比べて、たくさん票を集めても落選することのある現在の参議院選挙(比例区)の問題点を指摘しています。それならいっそのこと、参議院選挙の比例区は、政党票を無視した個人票だけの選挙にしてしまった方がいいのではないか、その方が風変わりな議員が生まれていいのではないかと提案しています。
現在、参議院の選挙制度には、大きな問題点があります。
たくさん票を集められた人が当選し、少ししか票を集められなかった人が落選する、それが選挙というものの道理です。しかし、参議院選挙の比例区に関して言えば、必ずしもこの通りになっているわけではありません。例を上げると、2016年の参議院選挙比例区で、新党改革の山田氏は29万以上の票を獲得しました。これは、自民党や民進党の基準で言えば、上位当選が確定するほどの票数です。しかし、山田氏は選挙で落選してしまいました。それは、彼の所属する新党改革が、今回の選挙で議席を獲得できなかったからです。
なぜこういうことになるのか、それは現在の選挙制度に問題点があるからです。現在の選挙制度のどこに問題点があるのか、それを具体的にご説明しましょう。
得票数の多い人間が落選し、少ない人間が当選する、これはおかしなことです。
現在の参議院選挙には、選挙区と比例区があります。このうち選挙区にも一票の格差などの問題がありますが、今回はそこにはふれません。今回問題点を指摘するのは、選挙区ではなく比例区の方です。
この比例区は、48(2016年現在です)の議席を、全ての政党の比例候補者が奪い合う争奪戦です。この比例候補者の中で、得票数が上位の人間から当選していきますが、これは、「得票数の多い人間が議席を確保する」という意味ではありません。なので、得票数の多い人間が落選し、少ない人間が当選する事が起こりえます。
なぜこうなるのか、それは「まず政党に議席が割り振られ」、その後、政党候補者のなかで得票数が多い人間から当選が決まっていくからです。これはどういうことかと言いますと、A党が3議席を確保、B党が1議席を確保、C党が議席なしと仮定すると、A党は、得票数が多い順から3人当選、B党が同様の基準で1人当選、C党は、例え候補者がどれだけ得票を得ても議席がゼロとなるわけです。現在の選挙制度では、比例区での候補者個人への得票は、その政党の票数に上乗せされるので、理論上はA氏に150万票入れば、A氏の属する政党への投票総数がゼロであってもA氏は当選するのですが、こういうことは、現実的にはまずありません。
だから、自民党や民進党から出ていれば上位当選者であった山田氏が、落選してしまうのです。この山田氏のほかにも、自民党や民進党の当選ライン以上の票を得ているにもかかわらず、少数政党から出馬していたせいで当選できなかった人がいます。そういう例は、全体的に見れば少ないのですが、それでも、30万票近くとっている人が当選できないというのは、やはりおかしなことであると思います。
では、選挙制度をいったいどうしたらいいのでしょうか。
いっそ、比例区から政党票を廃止してみてはどうでしょうか
結論から言えば、私は参議院選挙の比例区から、政党票をなくすべきだと思います。つまり、比例区では全てを個人への投票にしてしまうのです。そして、政党に関係なく、全ての候補者の中から得票率が高い順に48名を選び、その方たちを参議院議員にするのです。そうすれば山田氏の例のように、たくさん票を集めたのに落選するという、選挙の道理から考えておかしなこともなくなります。政党の看板にのっかっているだけの、魅力のない議員もいなくなり、本当の意味で国民に選ばれた、「選良」を議員にする事ができます。もちろん、ただの人気者が議員に選ばれてしまう可能性もあります。
ですが、政党の力が非常に強い現在、参議院の比例区くらいは、個人の力を売りにしている人たちが戦う、変わった選挙区にしてもいいのではないでしょうか。そういったところから出てくる、普通の選挙区ではまず当選しないような風変わりな議員が、将来の日本を救ってくれるかもしれません。そういう議員ばかりでも困るでしょうが、そんな議員が少しくらいいてもいいと私は思います。皆さんは、どう思われるでしょうか。