原発再稼働の賛成派と反対派の意見をまとめると見える原発の未来は？

2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所事故にともない、日本各地で原発の賛成派と反対派に分かれる大きな論争が繰り広げられています。
特に2015年は2年ぶりに原発が再稼働するにあたり、原発ゼロを掲げる再稼働反対派はデモ活動を再稼働する川内原原子力発電所前でおこないました。
中立的な視点に立ち客観的に原発賛成派と反対派の意見をまとめ比べてみます。

原発と原爆って同じものじゃないの？

原発の再稼働賛否意見を比較する前に、原発と原爆との違いについてだけ述べます。

原爆は原子力爆弾のことで、広島と長崎とでは原爆の種類が異なるのですが、広島に落とされた原爆の原料であるウラン235が原発に使用されています。
原爆も原発も、ウラン235へ中性子を当て発生する核分裂の連鎖反応をエネルギーとして利用します。
ここで気になるのが、原発に事故が起こると原爆のような大爆発が起きるのかという点です。

この点は、関西電力で説明されていたので引用をいたします。

原子爆弾は核分裂しやすいウラン235がほぼ100％の割合で構成されています。しかし発電所で使われるウラン燃料には、ウラン235は約4％しか含まれませんので、急激な反応は起こらず安全にウランの力を利用できます。
また、原子力発電では核分裂のきっかけとなる中性子を制御棒で吸収することにより、核分裂を止めたり、核分裂の量を調整することができます。

関西電力HPより

原発再稼働賛成派の意見

原発再稼働賛成派の意見を見ていきますと、賛成派の中にも様々な意見があることが分かります。

• ・中小企業の電力不足によって日本が傾くので再稼働に賛成。
• ・原発の代わりになる発電システムが出てくるまでのつなぎとして仕方がないので賛成。
• ・他の発電コストが高すぎるので、原発は必要なので賛成。
• ・さらに原発を発展させ原発の技術立国にする必要があるので賛成。

まとめてみるとこのような意見が、賛成派に多く見ることができます。
再稼働賛成であっても、原発に頼らないで電力供給ができるようになるまでは仕方なく使用するしかないとの意見があります。

太陽光発電パネル、水力発電、風力発電は発展途中の分野であり、発電コストの割に安定して電力を供給することは現在のところ難しいといえます。
また火力発電に関しても、情勢不安の中東から石油を輸入して使用するので、発電コストが高くなります。

賛成派の中には、世界の流れを見て低コストの原発は増えていくはずなので、日本の原発の技術力を高めて国益にしようとする意見もありました。

原発再稼働反対派の意見

原発再稼働反対派の意見を見ていきましょう。反対派の意見にも複数の意見を見ることができます。

• ・核のゴミ（放射性廃棄物）の処理方法が確立していないので反対。
• ・日本は地震が多く原発の立地としては向いていない、安全性の点から反対。
• ・節電をすることで、火力発電所から電力を十分に供給できるので反対。
• ・政府や電力会社へ不信があるので反対。

これらの意見が再稼働反対派に見受けられます。

核のゴミに関しては地中深くに保管し放射能が出なくなるまでに数万年はかかります。核のゴミを考えると原発は低コストなのか疑問になるようです。
また、福島第一原子力発電所事故にともない、放射能により原発の周辺住民が移住を余儀なくされたので、これが日本中で起こる可能性がある以上は認めないとの声もあります。

さらに、政府と電力会社への不信感です。
東日本大震災における政府の後手に回った対応、また電力会社が原発再稼働の必要性を説くものの、2年は原発ゼロで問題がなかったので、なぜ再稼働が必要なのか疑問ゆえに反対するという意見もあります。

賛成と反対を比べてみると見えてくる原発の未来

再稼働賛成派と再稼働反対派の意見を比べてみますと、賛成派は福島第一原子力発電所事故を教訓として技術力を向上させ原発を完全に制御下に置き、その間に新しいエネルギーを開発し、そのエネルギーが実用化されるまでは原発を使用するとの意見です。

再稼働反対派は日本の技術力を持っても制御下に置くことができなかった原発は危険であり、地震大国の日本に原発は不向きであり、高コストであっても別の発電方法を利用するというものです。

賛成派も反対派も基本的には、将来的には原発を利用しないという意見では一致しています。急進的に進めるか順次進めるかで、賛否が分かれているようです。