今、日本は「ほぼほぼ脱原発」状態
今、日本全国でどれくらの原発が動いているか、ご存知ですか?
—答えは、3基。四国電力の伊方原発3号機と、九州電力の川内原発1、2号機です。
このうち、鹿児島県にある川内原発については、7月に川内原発の停止を公約した三反園訓知事が誕生し、今月中から9月上旬にも九州電力に停止を要請すると報道されており、まもなく停止するかもしれません。
実は2011年の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故以降、日本で稼動していた原発は限られています。稼働原発ゼロの時期も2年近くありました。事故のあと現在まで、全電源のうち原発の占める比率は、多くても数%にとどまっています。
再稼働までこぎつけた原発も、関西電力の高浜原発3、4号機のように、安全上の問題を訴えて再稼働停止を求める住民が起こした裁判で、裁判所から運転停止を命じられた例もあります。
今、事実を見れば、脱原発を決断したドイツよりも、日本は進んでいるのです。
世論と裏腹の中央政府の原発推進政策
東京電力福島第一原発事故を経験した私たち。16万人が避難生活を強いられ、いまだに9万人もの人々が故郷に帰ることができません。放射能の被害は、人々の暮らしに加え、農業・漁業・林業のような第一次産業など、あらゆる産業に広がりました。
そんな現実を見て、多くの人々が、原発に疑問を持ち始めました。各種世論調査を見ても、将来的に原発をゼロにすることを支持する人が過半数を超えています。
こうした世論を背景に、たとえば、東京電力の柏崎刈羽原発7基を抱える新潟県の泉田裕彦知事も、これまで「東電福島第一原発事故の検証と総括がされないかぎり、再稼働は議論しない」と明言しています。
しかし、政府は、こうした声を聞くことなく、「原発は基幹電源」と位置づけ、再稼働を推進しています。
伊方原発3号機など比較的新しい原発だけでなく、関西電力高浜1、2号機など運転期間が40年を超えた老朽原発にも、原子力規制委員会は運転期間の延長を認可しました。実は、老朽原発でもあった東電福島原発の事故を受けて、「原発は40年で廃炉」というルールが作られたのですが、そんなことはなかったかのように、粛々と運転期間延長の審査が進んでいます。
国民の世論と、中央政府の政策が乖離しているとき、わたしたちに何ができるでしょうか。
選挙で脱原発の意志表示
一つには、鹿児島県で原発停止を公約とした三反園知事を誕生させたように、選挙で、原発を止めるという候補者に投票するということができます。また、選挙期間が終わっても、新潟県民が再稼働を許さない泉田知事を応援しているように、世論でそうした知事を支えることもできます。
消費者のちからで、クリーンなエネルギーを
そして、もう一つ、原発を使う会社から、原発を使っていない会社へと、電力会社を乗り換えることで、消費者として意思表明するという方法があります。
今年の4月1日から、一般家庭も自由に電力会社を選べるようになりました。すでに120万世帯以上が、電力会社を切り替えています(6月24日現在、注1)。これは、100世帯に2世帯の割合です。
もし、原発や石炭火力の電気を使わない、クリーンな電力会社に乗り替えができたら、自分が「気持ちがいい」だけではありません。たくさんの人が切り替えたら、原発を使っている電力会社が「うーん、我が社も脱原発したほうがビジネスにいいのかも」と思ってくれるかもしれません。
電力会社をスイッチすると変わるもの–それは、わたしたちの未来です。
※注1:出典SankeiBiz