2013年、いわゆる「ネット選挙」が解禁になり、衆参それぞれ1回ずつ選挙が行なわれました。しかし、ネット選挙を解禁した狙いの1つは、主に20~30歳代の若者を中心とした投票率の向上にあったはずですが、結果はどちらの選挙も歴史的な低投票率を記録。肝心の若者の投票率も下がってしまいました。
そもそも、選挙が行なわれるからと言って、突然ブログやSNSをはじめたり、頻繁に更新を行なうようになったりしたとしても、有権者の関心を集めることも支援に繋がることも期待はできません。平時から有権者の興味を惹くような情報を発信し、自分のコミュニティを育ててこそ、インターネットをうまく活用した政治活動を行なっていると言えるのです。
そこで今回は「発表! 各党党首のインターネット情報発信力」と題し、ネット媒体の利活用の状況、SNSのフォロワーの数、更新頻度&内容などから各政党の党首の情報発信力を採点し、発表していきます。
集計:政くらべ編集部2015年12月10日現在
トップ3発表! 第2位には意外?な人がランクイン
第1位 安倍晋三(自民党総裁)
自民党の安倍総裁はホームページとTwitter、Facebookを利用。
現・内閣総理大臣ということもあり、SNSにおいてはTwitterのフォロワーが約55万人で2位、Facebookのフォロワーも約50万人で1位と、情報発信力の強さがうかがえます。また、書き込みの内容も外遊先の風景や他国の首脳とのオフショット、流行のラグビーにちなんだお土産など、政治や政策とは直接の関係がない話題が豊富。SNSを自身のイメージアップのために、うまく活用できていると感じました。
第2位 山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち代表)
生活の党と山本太郎となかまたちは、小沢一郎氏と山本太郎氏が代表を務めていますが、今回はより得点の高かった山本太郎氏を採用します。
山本代表はホームページ、ブログ、Twitter、Facebookを利用。Twitterのフォロワーが約23万人で3位、FBページのいいね!が約5万5000で2位と、過激な言動と元芸能人の知名度からか、ネット上でも注目が集まっています。ただ、ブログの更新が遅いこと、またSNSの書き込みの多くが他者の書き込みのシェアや動画への誘導であることがマイナスポイントとして挙げられます。
第3位 山口那津男(公明党代表)
公明党の山口代表は、ホームページ、ブログ、Twitter、Facebookと情報発信に効果の高いツールをきっちり利用していること、SNSの更新頻度、そしてFBページのいいね!が約1万8000で第3位に挙げられたことから、全体でも第3位になりました。
しかし、ブログは2年以上更新されておらず、SNSも新聞連載記事の紹介と公明党アカウントからのシェアがほとんど。一定以上の情報発信力を持っているからこそ、ネット媒体をさらに活用されることが望まれます。
橋下徹氏、ほぼTwitterのみの情報発信でまさかの第5位
4位以下では、おおさか維新の会の橋下徹氏が第5位にランクインしています。
Twitterでは約140万人のフォロワーを持ち、テレビや雑誌でも毎日のように発言されています。その情報発信力は凄まじいものがありますが、インターネットの利活用という視点から見ると、点数は伸び悩みました。
これは、第8位・日本共産党の志位委員長にも言えることですが、文字数制限のあるTwitterだけではなく、ブログやFacebookなどの様々なサービスを利用し、その特徴を活かして自身の政策や意見を発信していくと、ネットでの情報発信力はさらに大きくなると思われます。
一方、SNSを利用していない新党改革・荒井代表や、Facebookを半年以上更新していない維新の党・松野代表は、厳しい採点となりました。また、順位こそ第4位の民主党・岡田代表ですが、SNSがブログへの誘導に終始しているため、Twitterのフォロワー数が約5700、FBページが約3300と伸び悩んでいます。フォロワー数は情報発信力に直結する要素であるからこそ、SNSでの情報発信にもう少し力を入れたいところでしょう。
4位以下の党首の情報ページはこちら
- 4位岡田克也氏(民主党)
- 5位橋下徹(おおさか維新の会)
- 6位松田公太(日本を元気にする会)
- 7位吉田忠智(社民党)
- 8位志位和夫(日本共産党)
- 9位中山恭子(次世代の党)
- 10位松野頼久(維新の党)
- 11位荒井広幸(新党改革)
政治のネット利活用には、有権者の参加が不可欠
この調査では、インターネットの利活用に重点を置いて情報発信力を採点しているため、意外に思われる方や反対の意見を持たれる方も多いでしょう。しかし、得点が総じて低くなっているのは、政治におけるインターネット活用が、まだ十分でないことを示していると思います。
しかし、インターネットを政治にうまく活用できていないのは、私たち有権者も同じこと。政治家や候補者の発信を一方的に受けとめるだけでなく、賛同・反対の意を示してさらなる情報を引き出す、コミュニティを議論の場にするなど、双方向の情報発信をもっと積極的に行なっていくべきでしょう。そうすれば自ずと政治家や候補者も、もっと積極的にインターネットを活用するようになり、若者を中心とした低投票率の状況も改善されていくことになるはずです。