若者の政治参加を促す一環として「主権者教育」が注目されるようになりました。ことの発端は2016年7月に導入された「18歳選挙権」にあります。それまで選挙で投票できる年齢は20歳以上となっていましたが、18歳・19歳の未成年でも政治に参加することができるようになったのです。
学校や地域で実施されれる主権者教育について、ただ導入された内容に従うのではなく、家庭でも話し合いの機会を設け、今後について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
そもそも主権者教育とは?
主権者教育の発端となったのが18歳選挙権でもあるので、若者を選挙に参加させるための教育だと勘違いしている人もいるかもしれません。確かに選挙に行かない大人が増えて選挙の投票率が低いことが問題になっています。若いうちから、政治や選挙の仕組みを学び、投票率を上げることも目的の一つではありますが、それだけが目的ではありません。
主権者教育とは、選挙や政治にとどまらず、社会の課題について、これからの社会を作るために意思決定のプロセスを用いて、若者自身が知り・考え・決めるなどの自主的な行動を学び成長するためのものです。
主権者教育を総務省が定義づけたきっかけに欧米などで1990年以降にシティズンシップ教育(市民としての資質・能力を育成するための教育)が定着したことにあります。日本も時代の変化に伴い教育のあり方に変化を付けていかなくてはいけないと考えられるようになったのです。
以前から主権者教育についての必要性は求められてきましたが、それを実現するのは容易なことではありませんでした。教育現場でもさまざまな取り組みが行われていますが、日常生活や家庭でも主権者教育は取り入れることができるのです。
家庭でできる主権者教育とは?
主権者教育とはただ政治や選挙のことを考えることではありません。主権者教育の考え方として自分自身の生活を見直す機会とすること、その上で理想とのギャップや課題を見つけ、それが政治とどう関係があるのかを知り・考えることにあります。
そのうえで政治に関わる必要があれば主権者として参画することもできるのです。主権者教育は今や学校では8割以上で何かしら副本などを用いて教育が行われていますが、それをすべて家庭に託してしまうとどのようなことが起きるでしょうか。
そもそも親がきちんと主権者として子どもに指導できるのかという問題があります。家庭の事情などによって環境なども異なるので、家庭によって主権者教育を行うことができる場合もあれば、実施しない、実施できない家庭もあり同じ年代の子供でも差ができてしまいます。
それゆえに、学校などの教育現場での主権者教育は必要です。でも、学校に任せきりではいけないでしょう。
家庭でできる主権者教育は「今話題になっている政治」について家族で話し合うことではないでしょうか? 子どもだけでなく、親も政治や社会の問題について興味を持ち、まずはそれぞれの考えを否定することなく話していくのがよいでしょう。社会的な課題や問題についてどうすれば克服できるのか、よりよい社会をどうすれば実現することができるのかを話す時間を作ることが大切なのです。
社会全体で意識を高めることが大切
主権者教育は学校で教えているだけではどうしても不十分になってしまいがちで、十分に理解するためにも社会全体で取り組む必要があります。教育現場はもちろん、家庭、地域、ボランティアなどさまざまな人達が協力しあい、主権者教育の大切さを伝えていくことが重要なのです。
ただ選挙権を持っているから選挙に行くのではなく政治に興味を持ち自ら政治家を選ぶことが大切です。
特にこれからの日本は課題が山積みです。今の日本は起きている問題を先送りにすることしかできていません。そのため今若い世代や子どもたちが社会を背負って行く時に社会に参加して自分たちの手で作り出して行くことが重要なのです。
ただ決められたレールを進んでいくのではなく、自分の頭で考え行動していくことが主権者教育の醍醐味でもあります。学校教育ではできない家庭だからこそできる主権者教育を実践してみてはいかがでしょうか。将来を担う若者達にとって強く生き抜くきっかけにもなります。