道徳教育が教科化。これからどうなる?

2018年以降道徳教育が教科化?その基本は教育勅語?

学校法人「森友学園」の園児に教育勅語を暗唱させていたことが問題視され話題になっています。今まで何度も思案されながらも見送りになっていた教育勅語を用いた道徳教育の教科化もあり、今後の子どもの教育に対してどのような方針で取り入れられるようになるのかに注目が集まっています。子どもの教育にとって教育勅語は必要なものなのでしょうか。

教育勅語ってなに?現代に必要なもの?

教育勅語は明治23年に発布された日本人にとって大切なことは何かを示した生き方の手本のようなものでもあり、人生の道標を示したものです。現在の歴史や公民の教科書には全文や一文が抜粋されて掲載していて、現代の史料として使われています。

道徳的に必要な考え方もあるなかで、「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身をささげて皇室国家のためにつくせ」(旧文部省の通釈)などの過激な発言も含まれており現代の道徳的な考え方とはそぐわない点も多く存在しています。

安倍首相も名を連ねる日本会議では、1997年に結成されて以降、道徳の教科化を運動方針に掲げ、2002年には副読本「心のノート」を全国的に配布しました。第一次安倍政権では教育勅語が教科にはなじまないことで道徳の教科化は見送られましたが、第二次安倍政権で近年頻出しているいじめ問題を解決する為にも道徳教育を教科とすることを打ち出しました。

実際にこれが施行されたのが大津市のいじめ自殺によるものが影響していますが、実際その生徒の通っていた学校は指定校として認定されており心のノートをもとに道徳教育を熱心に受けていたともいいます。

安倍総理をはじめ自民党やその背後にいる日本会議などの保守派は、現代の教育ではなく戦前に近い道徳教育を望みそれを実現しようとしています。

道徳教育が教科になる

2018年には小学校で、2019年には中学校で道徳が教科として認められるようになりました。今までの道徳教育はあくまでも副読本などを用いて“答え”追求し読み解くものでした。学習指導要領などもあり「考え、議論する道徳」に代わりつつあります。

道徳科においては評価の対象にもなり、「心の中」が評価対象となり5段階評価ではなく記述式で表されるようになります。教師の中には人間の心を覗き込むような評価に対して教育とはいえないのでは?とする反対の考え方も存在しています。今後は特別の教科としての位置付けになりどんな内容の道徳教育が行われるのかに注目が集まっています。

日本人は自己肯定感が弱い?

世界の若者意識調査(子供・若者白書)によると「自分の将来に明るい希望を持っているか」という質問に対して“61.6%”と低い数字になり、「40歳になったとき、幸せになっているか」という問にも66.2%と調査を行った国(日本・韓国・米国・英国・ドイツ・フランス・スウェーデン)の中で最低の割合となりました。

この数字からもわかるように未来に対して希望を持てない子どもが増えています。今後の日本に対しての期待もなければ夢も持てずに自分の未来を信じられなくなっているのです。なかには大人になる迄に日本ではなく、海外に住んで豊かな生活を考えている人も少なくないでしょう。

子どもの教育に対して教育勅語を用いて道徳教育を行うことは、日本を担っていく子どもたちにとって悪影響にならないのか?が気になるところです。

今までは教科に対して理論の蓄積や学術的な面からの検証が行われてきたにも関わらず、道徳教育においては学問体形などもなく、実際にどんな影響があるのかわからないのが現状です。考え方の多様化を生み出す上では必要なことかもしれませんが、それを教科化してしまうことは子どもの人権侵害にならないのでしょうか。

春山もも

春山もも

東京都在住、30代の主婦。特に支持する政党はないが、「子育て」「教育」「働き方」などに関心を持っている。