学習指導要領改訂で小3年から英語導入! グローバル化に何が必要か

平成29年3月に文部科学省が、ITによるグローバル社会の中で起こる「第4次産業革命」を見据え、「生き抜く力」を育て、「主体性・対話的な学びの実現」をテーマに掲げた。

これにより、実施される新学習指導要領は、小学校は平成32年、中学校が平成33年、高校で平成34年から実施される見通し。とくに、注目が集まるのは小学校3年生からの英語教育だ。教育現場では、何が変わり、どういった人材が必要になってくるのだろうか。

学習指導要領とは

文部科学省が定める学習指導要領とは、1947年から行われてきた幼小中高の学習要領である。大きく変遷したきっかけは、現在、50歳代が受けていた教育内容(1971年改訂)が「詰め込み式」と批判されたことだろう。その中で、授業についてこられない「落ちこぼれ」も大きな問題となった。

当時の文部省は、1980年の改定から学習量を減らしていった。ピークから2002年の改定まで学習量を削減。しかし、「ゆとりによる学力の低下」が社会問題となった。「英語の文法すら分からない大学生」、「社会で通用しないゆとり世代」などだ。

そこで、ゆとりを目指した文部科学省は、方針を一新。学習量を増やす舵をふたたび切ることになる。

目玉は小学3年生からの英語教育

ITの発展、普及で世界中どこにいても瞬時でビジネスが展開できる昨今。国の垣根を超えた有機的な交流ができるかどうかが重要。そのグローバルな社会の中で、世界言語と言われる「英語」の必要性、重要性は高まるばかりだ。

安倍政権では、先立って平成25年から一部の小学校で5年生からを対象とした英語教育を実施していたが、これが平成32年度から全国に広がる。

改訂後の英語の授業時間は、小学校3、4年生で35コマ(※1コマ45分)、5、6年生は70コマ(現行の2倍)に増える。

3、4年生は英語を「話す」・「聞く」ことをメーンにコミュニケーションの基礎を作る。5、6年生では「読む」・「書く」力をつけていく。この4年間で約700程度の語彙を覚える。これに合わせて、中学校では平成30年度から英語学習の時間を増やす対策が行われている。

英語教育の遅れをどう取り戻すのか

これだけグローバルに活躍できる人材を育てるためには、英語教育が必要だと言われてきて、やっと重い腰を上げた文部科学省だが、国際的には大きな遅れを取っている。

近隣の韓国では1997年に小学校3年生、中国は2001年には大都市圏の小学校1年生、台湾も2001年から小学生の英語教育を実施。日本は、20年ほどの遅れを取ることになる。

日本語と英語は全く違う言語(極めて困難な言語)である。アメリカ国務省・外務職員局(FSI:https://www.state.gov/m/fsi/)によると、英語のネイティブが日本語を話せるまでに必要な学習時間は2,200時間とされている。これは、日本語のネイティブが英語を話せるまでに必要な時間と同じことが言える。

現行の小中高で約800時間から約1,000時間に増やしたところで、国際社会で通用するしない以前に、話すことができないのである。

英語には「臨界期」と呼ばれるものがある。学習開始の時期で修得度が低下していくとう臨界期仮説だ。アヒルやにわとりが孵化した後、16~20時間までにエサをついばむことを学習しなければ、その後、修得不可になってしまうというもの。これは、大石晴美さんの論文によると、英語学習にもあてはまる。

3~8歳までに学習を開始すると、英語の修得度に差はないが、この年を超えるごとに低下していく。

このことから分かるように、英語を身に付けるためには、早期教育が重要だ。成長していくら英語を学習しても頭の中で、英語にならないのだ。英語が日本語として入ってくるイメージだ。しかし、幼少期より英語が身近にあることで、英語がネイティブのようにそのまま英語で入ってくる。だから、聞き取り、話すことが簡単にできる。

英語を活かし、子どもに活躍の場を増やすためには、義務教育だけに頼るべきではない。
英語教育は、自衛とも言えるのではないか。

英会話スクール、英会話教育など民間の教育機関を利用し、子ども向けに早い段階で学習させなければ英語を聞き取り、話すことが困難になってくるのだ。

ペッピーキッズクラブ

リズム感をベースに手の動きや指を使って発音のイメージを覚えたり、舌の動かし方を身に付ける発音習得方法が特徴的。全国1300教室、9万人の子どもたちが楽しく通う教室。

英語教育が子どもの将来を変える

現在、行われている大学入試などの英語試験では読み書きが中心だ。これは、思春期を迎えても努力すれば、クリアできるだろう。

しかし、学習指導要領改訂で平成36年度から大学入試(大学入学共通テスト)の英語試験が変わる。平成30年の小学校6年生以降から英語4技能(聞く・話す・読む・書く「Reading、Listening、Speaking、Writing」)をバランスよく評価され試されるようになるのだ。TOEFL、TOEIC、留学・ビジネス試験に近い試験に変わる。今までの、マークシート形式の読み書きでは通用しなくなる。

今回の改訂は、単なる英語教育が小学校学習指導要領に加えられたのではない。幼少期の英語学習が、その後の子ども人生を大きく左右するのだ。

英語を「聞き取り、話せる」人材が、これからのグローバル社会の中での最も重要視される人材になるだろう。最強の資格とも言えるだろう。

グローバルに展開する大企業はもちろん、国家公務員もそうだ。
大学入試が変われば、企業や公務員などの試験も合わせて変わってくる。

英語の早期教育は、学校に任せることができない。子どもの将来への道は、親が支え、可能性を広げたい。

たった35日でウチの子も英語が話せる!? 七田式英語脳プログラムのひみつとは?

日比野護

日比野護

神奈川県在住。30代男性の平凡な会社員です。IT関連やFXなどに興味があり、日々情報収集しています。また、未来を担う子供たちの教育分野については、ことさら関心を寄せています。