政治家先生! ファーストクラスやスイートルームに払うお金を情報発信に使いませんか?

舛添要一東京都知事の政治資金公私混同疑惑が連日メディアを賑わせています。海外視察時のファーストクラス、スイートルームを使用問題にはじまり、公用車での別荘通い、ヤフオク、美術館通い、etc. 知事のデタラメなお金の使い方がとめどなく湧き出てきています。
そもそも舛添氏は、知事になる前の参議院議員時代からのお金の使い方が問題であり、その原因は、政治資金規正法が不動産や株式運用等以外ならば、私的に使ってもかまわない「ザル法」であることです。ひとさまのお金(税金)をいくら私的に使っても法律違反にならないのですから、感覚も麻痺するというものです。
これは舛添氏に限ったことではなく、政治家のお金の使い方そのものに、国民との乖離があるのではないでしょうか?

「知事」のお金の使い方については、他に任せることにして、ここでは、「議員」の収入と支出について考えてみたいと思います。

地方議員に比べて圧倒的な収入の国会議員

まずは、収入を見てみましょう。

国会議員と地方議員の収入

国会議員のいわゆるお給料(ボーナス含む)は「歳費」と呼ばれ、都道府県議会議員や市区町村議員は「議員報酬」と呼ばれます。

国会議員は、「歳費」がおよそ2200万円。それに加え、経費として使える「文書通信交通滞在費」、「立法事務費」を受け取ります。また、政党から政党交付金の一部が渡されます。これに加え、第一秘書、第二秘書、政策担当秘書の人件費も国が負担してくれます。そのほか、JRの無料パス(あるいは航空機のクーポン)や議員宿舎を格安で借りられると言った優遇もあります。

地方議員に関しては、都道府県や政令市の議員の報酬が高く、市区町村議員の収入は、地域によっては民間よりもはるかに低い場合もあり、地域差がかなり大きくなっています。
政務活動費も月に数十万円使えるところから、数万円しか認められないところもあります。

そのほか国、地方に関わらず、寄付金やパーティ券による収入があります。また、議員以外に仕事を持っている方はそこからの収入もあります。

※政党交付金は議員数と得票数によって国から政党に支払われるお金で、議員一人当たり約4000万円が政党に支払われます。共産党は党の方針により、政党交付金を受け取っていません。

出る金も大きい国会議員と少ない政務活動費をやりくりする地方議員

では支出はどうでしょうか?

国会議員の収入と支出

国会議員の場合は、政治資金に関わる複数の政治団体を持っています。政党支部や後援会組織などで、基本的にはこれらの組織から人件費や事務所代、選挙費などが支払われます。
事務所は国会のある東京と地元の選挙区など2つ以上の拠点を持っています。また、秘書の人件費は3人分までは公費が出ますが、多くの国会議員は10名前後の秘書を雇っています。政治活動の広報誌などでも発行部数が多いため、印刷費から郵送費まで1度発行するのに数百万円かかることも珍しくありません。
支払う金額が大きいため、パーティなどを行って政治資金を集めています。

地方議員の場合は、国会議員のように秘書の人件費も出なければ、政党交付金もありません。自身の議員報酬と政務活動費のなかでやりくりしているというのが実情です。
政務活動費は、某元兵庫県議の問題で注目を浴びたこともあり、支出面での監視も厳しくなっています。議会によって異なりますが、例えば千葉県議会の場合、領収証の添付は必須ですし、政治活動につかう政策ビラ1つでも、内容をチェックされて、「70%は政務活動費で落とせるが、30%は個人の宣伝なので自腹」というようなケースもあります。市区町村議員では秘書を雇える余裕はなく、都道府県議会議レベルでも秘書がいない議員も数多くいます。

このように収入と支出の内訳をみると、国会議員は本社と支社がある数名から数十名規模の中小企業。地方議員は個人事業主とみるのがよいでしょう。サラリーマンの収入と比べるというのは少し違うかもしれません。

政治資金の使途をもっと詳細に国民に情報発信するべき

国民:「政治家はお金をもらいすぎだ、財政が厳しいのだから、もっと減らすべきだ」

政治家:「政治にはお金がかかる、政治家は落選したら収入がゼロになる不安定さも考慮してほしい」

政治家の貰うお金については、常に国民と政治家の間で大きな隔たりがあり、国民がなかなか納得することがありません。なぜ、国民の理解を得られないのか? 大きな理由は3つあります。

  • 1 自分たちの都合で法律を作り、金額もお手盛りで決めているように見える。
  • 2 自分の収入よりはるかに多くもらっているように見える、自分より豊かな生活をしているように見える。
  • 3 使い道が不明瞭で、政治のために使っているのか、選挙のために使っているのか、自分のために使っているのかわからない。

1に関して言えば、政治資金規正法がいわゆる「ザル法」であることなど、政治家自身を縛る法律が緩いことが原因です。また、金額に関しても自分たちで決めているということが国民の理解を得られない原因でしょう。
例えば、国会議員は、東日本大震災以降カットしていた歳費を2014年に打ち切りました。また、統一地方選挙から1年が経った今年の地方議会では、議員報酬アップの議案が出され、可決した議会が数多くあります。
個人的な意見ですが、議員のお金に関する法律や条例は、「厳しい第三者の目で精査する」べきではないかと思っています。

2、3については、政治家の説明不足であるということが大きいかと思います。
例えば、人件費。国会議員は第一、第二、政策担当の3人分の秘書の人件費は公費で賄えますが、私設秘書や事務所スタッフの費用は、自分(の政治団体)で支払わなければなりません。しかし「秘書やスタッフがたくさんいる」というだけでは、なかなか理解は得られません。
「もしかしたら、勤務実態のないスタッフなどがいるかもしれない」と疑う人も少なくないからです。
私設秘書やスタッフの氏名や給与まで公開しろとは言いませんが、働いているスタッフや秘書の仕事内容を紹介するなど、人件費を裏付ける情報をもっと発信していくべきでしょう。

また、支出内容も、もっと詳しく公開すべきす。
単に「広報・宣伝費」に●●●万円、「組織活動費」に▲▲▲万円では、いくらでもごまかすことができてしまいます。
例えば、5月に配布した政策ビラが20万枚で、制作費にいくら使ったのか、配布方法は折込なのか、ポスティングなのか、そこにかかった費用はいくらか。
6月に開催した勉強会で、会場費にいくらかかったのか、講師にいくら支払ったのか、飲食はあったのか等、自ら積極的に情報発信するべきです。

もちろんこれらの情報を整理するには、手間と時間がかかります。スタッフに支払う人権費もかかります。しかし、そこに使われるお金には国民も納得するのではないでしょうか? ファーストクラスやスイートルームに使うよりもよっぽど国民から理解を得られるのではないでしょうか?

私たち国民の側も、単純に金額が高いと批判するのではなく、どのような目的で使われたかをしっかり見極める必要があります。情報発信する側は、都合の悪い情報は隠すものです。新聞やテレビなどのマスメディアが「第三者の厳しい目」として発信された情報を精査する必要があります。そこにはスイートルームを使うべき理由があるかもしれないのです。

まずは、政治家が情報発信をするのが前提です。その情報を国民がしっかり判断する。
その声を聞き、政治家は改めていく。政治資金の使い方に関わらず、政治とはそういったサイクルを回していくものなのではないでしょうか?

有権者に判断材料たるべき情報を提供しない者は、立候補する資格すらないと言えます。


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武山雅樹

武山雅樹

40代男性、千葉県在住のフリーライター。グルメ雑誌、歴史雑誌、ペット誌、医療系フリーペーパーなど幅広いジャンルで活躍。最近は企業のインタビュー企画やWebサイトのライティングなども手がけている。

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