主要政党の政治改革に関する政策を比べる
政治改革では「国会議員の定数削減」についての課題が、長年に渡って政策のテーマに取り上げられています。これは政治家自身が身を切る、税金から拠出される経費を削減すべきという世論から生まれたものでしょう。ただ「民意が反映されにくくなる」など反対意見も多く、議論は進んでいないのが現状です。
各党は、定数削減に対してどのような考えを持っているのでしょうか。道州制や公務員改革など、近年話題に挙げられる課題と合わせ、見ていきたいと思います。
自民党 | 公明党 | 民主党 | 共産党 | 社民党 | |
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2009年衆院選 (民主への政権交代) | ・「道州制基本法」の制定 ・国家公務員を平成27年までに8万人以上削減 ・10年後には衆参両院で議員定数3割以上削減 など | ・3年を目途に「道州制基本法」を制定、概ね10年後からスタート ・国会議員の歳費1割削減 ・衆参両議院の定数大幅削減 ・一般公務員の定員を5年間で1割削減 など | ・政策・支出をすべて見直し(事業仕分け) ・国家公務員の総人件費を2割削減 ・衆議院比例定数80削減 ・参議院は衆議院に準じて削減 ・公務員の労働基本権を回復 など | ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 ・比例代表定数削減に反対 ・地方分権より地方自治。道州制に反対 ・公務員の労働基本権を全面回復 など | ・道州制には疑問。まずは地方分権の推進 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2010年参院選 | ・6年後には衆参両院で議員定数3割以上削減 など | ・3年を目途に「道州制基本法」を制定、概ね10年後からスタート ・衆議院は、新しい中選挙区制を導入し、定数を削減 ・参議院は民意を反映した選挙制度を導入し、定数を削減 ・国家公務員の総人件費改革 など | ・国の総予算の全面組み換えを徹底 ・国家公務員の総人件費を2割削減 ・衆議院比例定数80、参議院定数40削減 ・国会議員の経費を2割削減 など | ・小選挙区制の廃止 ・国会議員の削減はやめ、定数是正を実現 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 ・地方分権より地方自治。道州制に反対 ・公務員の労働基本権を全面回復 など | ・道州制には疑問。まずは地方分権の推進 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2012年衆院選 (自民、政権奪回) | ・「道州制基本法」の早期制定後、5年以内に導入 ・定数削減は三党合意に基づき、必要な法改正を行なう ・公務員の評価体型や採用制度の見直し など | ・早期に「道州制基本法」を制定 ・国会議員の定数削減を実現 ・国会議員の歳費を恒久的に2割削減 など | ・削減した5議席に加え、次の通常国会で衆議院の定数を75削減 ・参議院は40削減 など | ・小選挙区制の廃止 定数削減に反対 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 ・公務員の労働基本権を全面回復 など | ・道州制ではなく、現行二層制のもとで都道府県の機能強化 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2013年参院選 | ・参議院は2016年の選挙までに抜本的な制度改革を実現 ・衆議院は比例定数を30削減 ・公務員の給与体系や採用制度の抜本的見直し ・道州制の導入を目指す など | ・「道州制基本法」を制定 など | ・衆議院定数80、参議院定数40削減 ・国家公務員総人件費2割削減を目指す など | ・小選挙区制の廃止 定数削減に反対 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 など | ・道州制の拙速な導入には反対。現行二層制のもとで都道府県の機能強化 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2014年衆院選 | ・比例定数30削減は合意に至らず ・道州制の導入に向けて、国民的合意を得ながら進める ・公務員制度改革は、能力・実績主義に基づいた評価による信賞必罰を厳格に実行 など | ・政治資金規正法の監督強化 など | ・衆参両院の議員定数削減を実現 ・国家公務員総人件費は、2割削減目標 ・公務員の労働基本権を回復し労働条件を交渉で決める仕組みを構築 など | ・小選挙区制の廃止 定数削減に反対 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 など | ・国民的論議が不十分な「道州制」の導入には反対。権限と財源の移譲による分権・自治へ ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2009年衆院選(民主党へ政権交代) | |
自民党 | ・「道州制基本法」の制定 ・国家公務員を平成27年までに8万人以上削減 ・10年後には衆参両院で議員定数3割以上削減 など |
公明党 | ・3年を目途に「道州制基本法」を制定、概ね10年後からスタート ・国会議員の歳費1割削減 ・衆参両議院の定数大幅削減 ・一般公務員の定員を5年間で1割削減 など |
民主党 | ・政策・支出をすべて見直し(事業仕分け) ・国家公務員の総人件費を2割削減 ・衆議院比例定数80削減 ・参議院は衆議院に準じて削減 ・公務員の労働基本権を回復 など |
共産党 | ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 ・比例代表定数削減に反対 ・地方分権より地方自治。道州制に反対 ・公務員の労働基本権を全面回復 など |
社民党 | ・道州制には疑問。まずは地方分権の推進 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2010年参院選 | |
自民党 | ・6年後には衆参両院で議員定数3割以上削減 など |
公明党 | ・3年を目途に「道州制基本法」を制定、概ね10年後からスタート ・衆議院は、新しい中選挙区制を導入し、定数を削減 ・参議院は民意を反映した選挙制度を導入し、定数を削減 ・国家公務員の総人件費改革 など |
民主党 | ・国の総予算の全面組み換えを徹底 ・国家公務員の総人件費を2割削減 ・衆議院比例定数80、参議院定数40削減 ・国会議員の経費を2割削減 など |
共産党 | ・小選挙区制の廃止 ・国会議員の削減はやめ、定数是正を実現 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 ・地方分権より地方自治。道州制に反対 ・公務員の労働基本権を全面回復 など |
社民党 | ・道州制には疑問。まずは地方分権の推進 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2012年衆院選(自民、政権奪回) | |
自民党 | ・「道州制基本法」の早期制定後、5年以内に導入 ・定数削減は三党合意に基づき、必要な法改正を行なう ・公務員の評価体型や採用制度の見直し など |
公明党 | ・早期に「道州制基本法」を制定 ・国会議員の定数削減を実現 ・国会議員の歳費を恒久的に2割削減 など |
民主党 | ・削減した5議席に加え、次の通常国会で衆議院の定数を75削減 ・参議院は40削減 など |
共産党 | ・小選挙区制の廃止 定数削減に反対 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 ・公務員の労働基本権を全面回復 など |
社民党 | ・道州制ではなく、現行二層制のもとで都道府県の機能強化 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2013年参院選 | |
自民党 | ・参議院は2016年の選挙までに抜本的な制度改革を実現 ・衆議院は比例定数を30削減 ・公務員の給与体系や採用制度の抜本的見直し ・道州制の導入を目指す など |
公明党 | ・「道州制基本法」を制定 など |
民主党 | ・衆議院定数80、参議院定数40削減 ・国家公務員総人件費2割削減を目指す など |
共産党 | ・小選挙区制の廃止 定数削減に反対 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 など |
社民党 | ・道州制の拙速な導入には反対。現行二層制のもとで都道府県の機能強化 ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
2014年衆院選 | |
自民党 | ・比例定数30削減は合意に至らず ・道州制の導入に向けて、国民的合意を得ながら進める ・公務員制度改革は、能力・実績主義に基づいた評価による信賞必罰を厳格に実行 など |
公明党 | ・政治資金規正法の監督強化 など |
民主党 | ・衆参両院の議員定数削減を実現 ・国家公務員総人件費は、2割削減目標 ・公務員の労働基本権を回復し労働条件を交渉で決める仕組みを構築 など |
共産党 | ・小選挙区制の廃止 定数削減に反対 ・企業団体献金を無条件に禁止 ・政党助成金制度の廃止 など |
社民党 | ・国民的論議が不十分な「道州制」の導入には反対。権限と財源の移譲による分権・自治へ ・企業・団体献金をただちに禁止 ・比例代表中心の選挙制度への改革 など |
自民・公明とも国会議員の定数削減は公約しているものの……
自民党は2009年以降、一貫して国会議員の定数削減に積極的です。ただ、削減数の具体的な目標は次第にトーンダウンしています。また、小選挙区に強いことからか、2013年以降は比例代表の定数に限定した削減を掲げています。一方、道州制については積極的推進派、公務員改革は2009年には削減を謳っていたものの、2012年からは評価制度の見直しを柱に据えているようです。
公明党は2009年の公約では衆参両議院の定数大幅削減を謳っていましたが、以降はトーンダウン。2013年からは目立つ記載がなくなりました。また、公務員についても一般公務員の定数削減を掲げていましたが、歳費を削減する路線に変更しているようです。道州制については、積極的に推進しています。
国会議員の定数削減に積極的な民主党に対し、共産と社民は断固反対を貫く
民主党は、国会議員の定数、国家公務員の総人件費ともに大幅な削減を一貫して掲げています。一方で公務員が民間と同様に労働条件を交渉で決められる仕組みの構築を目指すなど、公務員の労働基本権の回復も提唱。民主党らしい中道路線と言えそうです。
共産党は、議員定数の削減によって議席数の減少が懸念されることもあり、定数削減には一貫して反対。とくに、比例区で大きく議席を獲得していることから、自民党が掲げる比例区の定数削減には強い反対を示し、逆に小選挙区の廃止を求めています。そして、定数削減に代わる経費削減案として、政党助成金の廃止を謳っています。また、道州制には一貫して反対。公務員改革は労働基本権の全面回復を掲げています。
社民党も共産党と同じく比例区で議席数を確保している現状から、定数削減には反対し、比例代表中心の選挙制度改への改革を掲げています。また、利権政治の原因ともなる企業・団体献金も共産党と同じく禁止することを提案。ただ、道州制に関しては一方的な反対ではなく議論が不十分だとして、ある程度の余地を残しています。
どの政党にも言えることですが、政治改革関連の政策は、定数削減の議論を筆頭に遅々として進まないのが現状です。とくに、自民、民主の両党は、議員定数の大幅な削減を掲げたにもかかわらず、一票の格差の部分を調整するばかりで、結局は微減という結果になりそうな気配です。これはブレるというよりは選挙のときだけは大風呂敷を広げたと批判を受けても仕方がありません。
無駄がなく、クリーンで、国民の意見がしっかりと反映される国会であるよう、適切な改革を行なってもらいたいものです。
また、民主党は民進党になっても中道路線を歩み続けることができるのか、注目していきたいと思います。