巨額の政治献金がメディアの話題となるアメリカと日本の違いとは?

アメリカ中間選挙で80億円の政治献金を集める

2018年に行われたアメリカ中間選挙では何と80億円もの政治献金が集まったといわれています。アメリカの選挙においてたくさんの政治献金が集まることは決して少なくありません。政治家に資金を提供することも政治参加の1つとして認識されているからです。

今回民主党が共和党よりも多くの政治献金を集められた理由としては、トランプ政権に不満を持ち民主党を支援したいと考えた方が多かったからとみられます。著名人がトランプ政権を批判したことも大きな影響を生み出しました。

一方でその様子を見ていたトランプ大統領の支持者はそれに対抗する形で共和党への政治献金を積極的に行い、双方の活動が激化することで政治献金は80億円を超えるほどになったということです。投票率についても1904年以降の中間選挙で最も高い49.4%となりました。

アメリカでは政治献金に上限はあるのか?

アメリカでは多額の政治献金が集まることも少なくありませんが、個人が行える政治献金には上限があります。例えば個人から候補者委員会へは2,000ドルまで、政治活動委員会へは5,000ドルまでの献金が認められています。全体としては2年間で9,500ドルまでの政治献金を実施することができます。

このように制限がかかっているにも関わらずトータルすると多額の政治献金が集まるのは、それだけ献金を行っている母数が多いということです。また、アメリカにおける政治献金は寄附と同じように扱われますが、アメリカは文化的に寄附というものに馴染みがあるのでその点も政治献金を行う方を増やすことに繋がっています。

個人の政治献金については制限がありますが、政党委員会から別の政党委員会への政治献金には制限がありません。これにより、献金の仕方を工夫することで制限を緩和することが可能です。熱狂的な支持者の場合はさまざまな手段を用いて献金を行います。

これらの要因からアメリカでは選挙のたびに多額の政治献金が集められ、選挙結果に少なからず影響を与えます。

アメリカにおける外国人の政治献金

政治献金を外国人の方が行うと外国人にとって都合の良い政党にお金が集まることになり、政党は外国人にとって有益な政治をしかねません。このようなことは自国の不利益に繋がる恐れがあるのでアメリカにおいても外国人からの献金は禁止されています。

具体的には外国に市民権を持つ人や、外国の企業などから政治献金を行うことはできないようになっています。しかしながら、アメリカ人を介することによって外国人からの献金が実質的には受け取れる部分もあります。

アメリカ人を経由した外国人や外国企業からの政治献金を完全に防ぐ手立てはなく、外国からも間接的に一定額の献金があるとみられています。一方で間接的であったとしても外国人からの政治献金があることが露見すると、国内有権者からの支持を失うことになりかねません。ゆえに、そういった献金の額は抑えられています。

アメリカは世界第1位の経済大国なので多額の資金力を持つ企業がたくさんあります。自国の企業からの政治献金だけで十分すぎるほどのメリットを得られます。その点でも外国人からの政治献金を受け取ることはリスクとリターンが釣り合わないといえるでしょう。

日本とアメリカの企業政治献金のしくみの違い

日本とアメリカでは企業からの政治献金の仕組みが根本的に異なっています。

日本では企業が政治献金を行うことは原則としてできません。政治家が支部長を務める政党支部へと献金を行うことで実質的には企業が政治家に献金を行うことができますが、上限が厳しく設定されているのでまともには行えないのが実情です。これは企業が多額の政治献金を行って自社に有利な政策を行ってもらうという癒着を避けるためです。

一方でアメリカにおいては企業がPACを設立することによって自由に政治家に寄附を行うことができます。

寄附の総額については決められておらず、大企業が政治家に多額の寄附(実質的な献金)を行うことは認められています。これは大企業が政治家に莫大な額の寄附を行うことで優遇してもらうということに少なからず繋がっていますが、政治家に貢献している企業が多少の優遇を受けることは妥当と考えている方も多いです。

スポーツなどでいうところのスポンサーのような形です。政治への参加方法が日米で異なっていることもこのような違いを生み出しています。

有権者が政治献金と向き合うべき姿勢とは?

選挙に立候補したり、政党の活動を行ったりすることにはお金が必要となります。そのお金をある程度支援するという意味において政治献金は必要といえるでしょう。しかし、あまりにも政治献金の金額に開きが出てしまうと不平等になってしまい、お金の力で選挙戦を有利に進めるという事態になりかねません。

アメリカの場合は二大政党制なので企業からの政治献金の額が大きかったとしても、共和党と民主党の両方が一定以上のお金を得ることになります。ところが日本の場合は多党制なので特定の政党にお金が集まると、議席の少ない政党などは大幅に不利になってしまいます。すでに力のある政党がますます力を持ち、力のない政党はますます苦しい状態になることが予想できます。

そのため、日本において政治献金への規制が厳しくなっていることは合理的です。自分の支持する政党や政治家を支援するために政治献金を行うこと自体に問題はありませんが、資金力で不平等となっていないかについて考えておく必要があります。また、お金のない方でも志や能力があれば政治家となれる土壌を作っていくことも大切です。

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政くらべ編集部

政くらべ編集部

2013年に政治家・政党の比較・情報サイト「政くらべ」を開設。現職の国会議員・都道府県知事全員の情報を掲載し、地方議員も合わせて、1000名を超える議員情報を掲載している。選挙時には各政党の公約をわかりやすくまとめるなど、ユーザーが政治や選挙を身近に感じられるようなコンテンツを制作している。編集部発信のコラムでは、政治によって変化する各種制度などを調査し、わかりにくい届け出や手続きの方法などを解説している。