なぜ小池百合子は圧勝したのか?

7月31日投開票の東京都知事選挙。小池百合子氏が圧勝して初の女性都知事が誕生しました。まさに小池劇場となった今回の都知事選。何故小池氏は圧勝したのか?増田氏と鳥越氏の惨敗の理由とは?今回の都知事選を振り返ります。

勝たせたい人小池百合子

「出たい人より出したい人」このフレーズは前回の埼玉県知事選挙で当選した上田清司氏陣営のキャッチフレーズでした。このフレーズを引用するなら今回の小池氏は「勝ちたい人より勝たせたい人」だったと言えます。では小池氏を勝たせたい人は誰だったのか?
それはマスコミです。今回の都知事選挙はマスコミによる執拗なまでの前知事へのバッシングから始まりました。そして実際に都知事選が始まることになりマスコミは何を伝えたか。

主なフレーズは「2代連続政治とカネで知事が辞めた」「青島氏、石原氏と知名度ありき後だしジャンケンが続いてきた」特に知名度ありきの候補者選びと後だしジャンケンに対しマスコミは反感を持ちました。
となると後だしジャンケンをした増田氏と鳥越氏はマスコミ的には「都知事として資格なし」となるのです。そうなると有力3候補と言われた中でマスコミ的に「都知事として資格あり」となるのは小池氏のみでした。

小池百合子氏のページ

鳥越氏へのネガキャン

まるで参院選より重要な様にニュースとして扱われ参院選の選挙特番の中でも都知事選挙の話が伝えられていました。そして揃った有力候補3人を含めた20人を上回る候補者。しかしニュースで取り上げられるのは小池・増田・鳥越氏の3人ばかり。しかし3人に対しての報道の仕方にもしっかり見ていると違いがハッキリとみえていました。

まずは鳥越氏。確かに週刊誌での女性スキャンダルの報道がありましたが、何と言っても鳥越氏に対しての報道で目立ったのは「街頭演説の少なさ」でした。これだけならば鳥越陣営の戦術かな?と考える事も出来るでしょうが、そこで増田・小池両陣営の街頭演説の回数と比べられ少ないと指摘をされていました。その結果、複数の癌手術の経験がある鳥越氏の体力不安説を助長する事に繋がりました。

鳥越俊太郎氏のページ

増田氏へのネガキャン

増田氏への報道で目立ったのは「都議会ボスによる恫喝文書」でした。本来このような文書が表に出てくること自体が大問題ではありますが何故自民党東京都連はこんな文書を作ったのでしょうか? そこには油断があったのでしょう。一部で言われていますが安倍政権とマスコミ上層部は蜜月の関係です。だから少々やり過ぎても問題ないだろう。或いは安倍政権とケンカしようとした小池氏の味方しないだろうと油断したのでしょう。
勿論石原慎太郎氏の厚化粧発言など火に油を注ぐ発言もありましたが、増田氏へのネガキャンに繋がる情報が沢山表に出て来たのはマスコミを甘くみていた自民党の緩みが招いたのだと言えます。

増田寛也氏のページ

結局小池氏圧勝は何故?

地滑り的な小池氏圧勝となった今回の都知事選。私達が今回の都知事選から考えなければならない事はマスコミの力というものです。都知事選挙=後だしジャンケン、の流れを壊し最大の情報源であるマスコミを完璧に味方にした小池氏は流石元キャスター。マスコミを味方にする術を知っていました。小池氏は勝利宣言で「SNSの力」を勝因の中にあげていましたが、SNSとテレビや新聞雑誌のどちらに力があるかと言えばやはり後者でしょう。

小池氏は増田氏と鳥越氏の逆張りの戦いを最後までやりきりました。街頭演説の少ない鳥越氏対策には街頭演説の数を増やし、組織的戦いを繰り広げた増田氏に対しては組織を敵とし、都議会ボスと言われる内田茂都議との確執から自殺したと言われる樺山元都議の夫人を街頭演説に立たせるなど、派手な劇場型選挙を繰り広げた様に見えてしたたかな作戦を実行し続けた小池氏の地滑り的勝利は敵失では決してなく、小池氏陣営の作戦勝ちと言えるものです。
逆に言えば今回の都知事選から見えてくるものは何も無いのではと言えます。それだけ1000万人有権者を相手にする東京都全体の選挙。しかも6人当選する参院選とも違う1人しか当選出来ない東京都知事選挙は日本で一番異質な選挙と言えるのではないでしょうか?

特集:2016年東京都知事選挙 

片山順

片山順

30代男、岡山県岡山市在住、飲食店勤務。東日本大震災の復興ボランティアに参加して政治や行政の理不尽さに怒り政治に目覚める。