選挙中は有権者にはがきが出せる!規定を知って有効活用しよう!

  •  2019年03月28日公開
  •  2019年04月3日更新

選挙活動は何をして良いのか、何をしたら駄目なのかということを正しく理解し行わないと、場合によっては公職選挙法違反に問われてしまうこともあります。選挙中は有権者にはがきを出すことが可能となっていますが、このはがきによる選挙活動は非常にコストパフォーマンスに優れています。どのような方法で行えば良いのか、また、してはいけないことについても解説していきます。

はがきは公職選挙法の規定に基づく選挙運動

選挙中のはがきは公職選挙法の規定に基づく選挙運動として認められているもので一般的には「選挙はがき」や「法定はがき」、「公選はがき」などと呼ばれるものです。交付される期間は立候補の届け出以降、投票日の前日までの間になります。

選挙はがきの交付、表示を行う郵便局についてですが、都道府県知事選挙や参議院議員選挙などの場合は「当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の所在地の郵便物の配達を受け持つ郵便局」と定められています。衆議院の小選挙区の場合は異なるケースもありますが、いずれにしても必ず事前に日本郵便に問い合わせをしておくようにしましょう。

選挙はがきの交付を受ける場合は、交付郵便局に証明書などの必要書類と一緒に申し込みを行う必要があります。使用できる「選挙はがき」の枚数は選挙の区分別に定められているので事前に確認が必要です。通常はがきや私製はがきを選挙用表示させることも可能となりますが、選挙はがきの費用は国または自治体の負担であるため、料額印面は無効となり料金返還などもありません。(※供託物没収の場合は自己負担)

はがきのフォーマットはある?見本で解説

選挙はがきの規格についてですが、選挙はがきにおいても通常の郵便はがきと同様に郵便法・内国郵便約款上の第二種郵便物として扱われます。定められた規格、様式、記載事項等に違反がある場合には規定違反郵便物となり出すことができなくなります。

交付されたものや一般的な郵便はがきを使用する分には特に意識する点はありませんが、私製はがきの場合は長辺が14cm以上15.4cm以下、短辺が9cm以上10.7cm以下の長方形の郵便はがきと同程度の厚さや質の紙で2g以上6g以下でなければなりません。また、色についても白か淡い色とし「郵便はがき」の表示が必要です。

はがきの宛名側は、上部の概ね2分の1程度は宛名を記載する場所として確保し、通信文、その他の事項を記載する場合は下部の2分の1までとします。横に長く使用する場合は、左側が通信文、その他の事項を記載することが可能な部分です。裏面も基本的には自由で写真などのプロフィール、政策などを記載する形が一般的です。

はがきの書き方【1】宛名は印刷も可能?

選挙はがきの宛名面の書き方についてですが、まず選挙はがきは必ず選挙用の表示を行わなければなりません。選挙用の表示をするスペースは決められていて、宛名面の左上となります。縦7cm横3.5cmを確保するように決められていますので、必ず空けておくようにしましょう。

宛名に関しては印刷した宛名シールを貼ることが認められています。しかし、基本的に選挙はがきにおける宛名というのは手書きで書くものとされています。

宛名が手書きな理由としては単純に手書きの方が誠実なイメージを与えることができるため票にしやすいということがあります。また、はがきが有権者の元に届けられるのは選挙活動期間でなければなりませんが、はがきの宛名書きに関しては選挙期間のずっと前から準備しても構わないのです。

手書きにすることによって、きちんと準備してきたということもアピールすることができますし、宛名書きは支援者などが協力してくれることも多いので多くの人に支援されているアピールにもなります。

はがきの書き方【2】推薦人はどうすれば?

選挙はがきには推薦人を書くこともあります。書く場所は宛名側の通信文の部分に書くことが多くなっていますが特に規定はなく裏面に書く人もいます。立候補者の立場にもよるのですが、もしどこかの政党から推薦や公認がある場合には、宛名側の通信文部分にその党の幹部や地元の国会議員・県議会議員の名前などを推薦人として書くケースが一般的です。基本的に政党に所属している場合には、どの人を書けば良いのかなど指示を貰えるケースが多いです。

また、党の幹部や地元の国会議員・県議会議員といったいわゆる公人にあたる人だけではなく、自身の友人などを推薦人として書くケースも多いです。この場合、その人と仲の良い人や関係の深い人を推薦人として書くのが有効です。ただし、推薦人なってもらった人には必ず了承を得なければなりません。了承を得ずに勝手に推薦人として記載し、送られてきた人からの報告でそれを知りトラブルになることも少なくないのです。

出し方にも決まりが!ポストに投函はNG!

選挙はがきは通常のはがきや年賀はがきなどと同じ様に街中にある郵便ポストに投函してはいけません。郵便ポストに選挙はがきを出してしまうと規定違反郵便物となり、差出人のところまで戻ってきてしまいます。

選挙はがきは差し出し方が決められていて、選挙長が発行する「選挙運動用通常葉書差出票」というものが必要になります。選挙はがきに選挙運動用通常葉書差出票を添えて、所定の郵便局に差し出しをしなければならないのです。

選挙運動用通常葉書差出票は、選挙の種類によって異なりますが100枚や200枚などの規定の枚数につき1枚選挙長から交付されます。1枚の選挙運動用通常葉書差出票は200枚分までなどと決められていますので、それ以上の枚数を1度に差し出す場合には通数相当の選挙運動用通常葉書差出票が必要となるのです。また、1枚の選挙はがきを2名以上の候補者で共同して出す場合にはそれぞれの候補者ごとに選挙運動用通常葉書差出票を出さなければなりません。

公選はがきは無料で使える有効な集票手段

選挙はがきは選挙ポスターとならぶ選挙活動には欠かせないアイテムです。公選はがきは公職選挙法で認められている集票手段で、印刷などに関しては有料となりますが差し出しに関するお金は一切不要な無料で行える選挙活動となります。有権者の多くは仕事や家事などでなかなか演説などを直接聞きに行ける人ではありません。そういった人達にもダイレクトにアピールすることが出来るので、選挙はがきは非常にコストパフォーマンスに優れた選挙活動方法と言えるでしょう。

選挙区内の有権者には、年賀状や暑中見舞いなどの時候の挨拶であっても答礼のための自筆のものしか認められないなど、政治家からのはがきというのは非常に貴重なものです。そのため、ラミネート加工などあらゆる手法で何とか見てもらえるように各候補者も工夫をこらしています。選挙はがきの作成を専門的に行っている印刷業者などもありますので、そういった業者と相談し自分に最適な選挙はがきを作成することは当選への第一歩となるのではないでしょうか。