6月23日(金)、東京都議会議員選挙が告示されました。投票日は7月2日(日)。42の選挙区で127の議席を争います。各党がそれぞれの政策や主張を9日間訴えていきますが、やはり注目は小池百合子都知事率いる都民ファーストの会です。特に私が注目している議員が、江戸川区選出の上田令子議員です。通称「お姐」と呼ばれ、都議会の元祖改革派とも呼べる存在です。今回は、選挙告示日に先立つこと1週間、6月16日に開かれた、上田令子都政報告会に行ってみることにしました。
“お姐”上田令子都議を知る
取材をする前には、まず予備知識が必要ということで、上田令子議員のプロフィールを簡単に紹介しておきます。
上田令子都議の略歴
- 生年月日:1965年5月21日
- 出身:東京都台東区上野生まれ。江戸川区船堀在住。
- 1999年:子育て応援団体「江戸川ワークマム」設立
- 2007~12年:江戸川区議会議員
- 2013~:東京都議会議員
地元江戸川区で、18年前から子育てママを応援しているんですね。このワーキングママたちが、“お姐”を支える核の後援者であるようです。
所属政党は、都民ファーストの会。その前は、無所属会派「かがやけTokyo」その前は、「みんなの党」に所属していました。最初に区議になったときは無所属だったようです。
ちなみに同じ都民ファーストの会の音喜多議員も「みんなの党」出身。そんな縁があってか、元みんなの党党首の渡辺喜美参議院議員は、今度の都議選で都民ファーストの会を応援するといって日本維新の会を除名されてしまいましたね。
――閑話休題。さて、この上田令子議員、“お姐”と呼ばれるだけあって、行動力がハンパないようです。江戸川区議1期目の時から、一般質問においてベテラン区議の利益相反を追及。議会改革の最初の狼煙をあげます。1人会派ながら孤軍奮闘で、江戸川区議会の不条理を追及していきます。そんな行動力が区民の支持を得て、2011年の選挙では区議会史上新記録、東京都最多得票でトップ当選を果たします。
2013年に東京都議会議員となりまだ1期目なのですが、本会議や委員会などの質問総数は4年間でなんと1240問!
これは都議会史上過去最多級なのだそうです。この姿勢が評価され、NPO法人万年野党からは「三ツ星都議会議員」に認定されています。
また、去年の都知事選挙では、選挙前から小池百合子氏を応援、都民ファーストの会のファーストペンギンと呼ばれています。
小池百合子都知事、若狭勝衆議院議員も駆けつけた都政報告会
では、上田令子都政報告会のレポートに参りましょう。会場は、都営新宿線船堀駅前にあるタワーホール船堀。駅を降りると、応援に駆けつけた地方議員が呼び込みをしています。水野ゆうき千葉県議や、印西市の軍司俊紀市議など、はるばる千葉からやってきていました。(ほかにも多くの議員がいたみたいなのですが、誰が議員で誰が一般の方なのか、わかりませんでした)。
会場に入ると、ほとんど席が埋まっている。あたりを見回すと、年齢層が若いなという感じ。お子さんを連れているかたがたくさんいるのが印象的でした。
開会前に司会の方が、「お子さんもたくさんいるので、少々騒がしくなるのはご容赦ください。お子さんたちが飽きてしまったら、気にせず退席していただいてかまいません」って…。議員の報告会で、そんなアナウンスを聞いたのは初めてです。
そして、いよいよ“お姐”が登壇…、したのですが、まずは応援に駆け付けた若狭勝衆議院議員がご挨拶。上田都議を「しがらみのない政治家」であると評し、都議会に必要な人材であると応援していました。
そして、今度こそ本当に“お姐”が登壇。区議、都議の実績を報告しつつ、2期目の政策を語ります。ワーキングママの先頭を走ってきた上田令子の一丁目一番地はやはり子育て支援。挨拶が終わると盛大な令子コールが起こりました。
そしてそして、小池百合子都知事が登壇。主役は“お姐”なのですが、登壇したときのカメラを構えた人の数は、さすがに都知事の方が多かったです。小池都知事にとっても、「ファーストペンギン」上田令子は大切な存在。“お姐”とともに保育園児童対策を実現した実績と、これからの子育て支援、議会改革にも欠かせない議員であると語っていました。
ぶら下がり取材にぶら下がってみた
報告会が終わると、“お姐”が来場者と挨拶しています。来場者がほとんど帰ったころに、マスコミがぶら下がり取材をしています。途中からぶら下がりにさらにぶら下がってみることに…。
お姐 ……民進党系は全部田の上さんなので、何もかも組織がないので
―田の上さんには前回勝っていますけど、今回は前回の票に都民ファーストの票が乗るのでは?
お姐 同じ都民ファーストで上田と田の上を間違えるという懸念もありますけど、江戸川区民がもし勘違いするなら、私のやってきたことが伝わっていないということですから、努力が足りないということですね
―江戸川区は投票率が低いですが?
お姐 私、投票率低い時でも、2期目に1万2,000票区議で出したので、行く人はいつも行ってて、そこが浮動票で……
※“お姐”の江戸川区は都民ファーストからもう一人、田の上いくこさんが立候補します。おなじ党でもライバルなのです。
うーん…、選挙情勢の話か。私が“お姐”に聞きたいのはそんなことではないのです。と、思っているとマスコミの囲みが解けました。そして“お姐”に直撃、単独で話を聞くことができました。
小池都知事を生で見せることが子どもたちへの主権者教育
―区議時代から議会改革に取り組んできた元祖改革派の上田議員から見て、都議会の改革すべき点はどこにあると考えますか?
お姐 都議会は、本当に基本の「き」なんですけど、議論しましょうって感じですね。だって半日で本会議終わっちゃうんですもん。予算委員会も短いし、議論の場をもっと増やすことですね。あと質問時間を増やすこと。そうしないときちんと質問も言えないので、早口で10分で言わないといけないから。それと都民ファーストは知事の反問権ということも言っています。
それと、議会運営の透明化も必要ですね。議運自体が議事録もなく、誰も傍聴に入れないというのはおかしいと思いますね。
―ワーキングママの代表として活動してきた上田議員ですが、まだまだ待機児童問題も解決していないなかで、都としてやっていくべき課題と、地域の区議さんたちと連携してやっていくべきことをお聞かせください。
お姐 東京都は広域なので、やる気のある事業者のインセンティブを引き出したり、区のインセンティブを引き出したりということですね。保育バウチャーだと4万円の差額を出すと都が言っているのに、それをうまく活用する自治体と活用できない自治体があるわけですよ。それは保育園の問題だけではなくて、東京都や国がこういうことをやれば補助金を出すよ、というものがあるのに、積極的に手をあげない区があるんです。そこは区議会の人に都や国の補助事業を活用しましょうと。区議も気が付いていないこともあるので、そこを気づいてもらって、動いてもらうというのを区議には期待したいですね。
あとは教育委員会の問題なども区から都や国を突き上げていってほしいですね。
―都民ファーストの会は、女性の候補者も多いですが、女性や若者の政治参加について、どうしていったらよいとお考えですか?
お姐 それが今日の都政報告会なんです。ママと子どもたちが来て、子どもが「知事だっ!」となるじゃないですか。そのインパクトはすごく大きいんですよ。子どもたちに駅頭で「小池都知事知ってる?」と聞くと、みんな「知ってるっ!」って言うんですよ。子どもたちも見てるんですよ。つぶらな瞳で静かに政治を見ているんです。その小池さんを江戸川区の子供たちに会わせたかったんですよ。
ママたちも、保育園に入れなくて待機児童になったり、幼稚園の願書のために徹夜で並んだ、とか、初めて生活と政治と密着しているって思うんですよ。「でも何したらいいの」「お姐の勉強会行った方がいいよ」と。だから子どもがうるさくてもウェルカムなんです。生活の延長線上に政治があるってことを感じてもらう。それで、会って話を聞いてみて、テレビで見る小池さんってみんなのこと考えて動いているんだっていうのがわかるんです。
―野球教室でプロ野球選手に会うのとおんなじ感じなんですね。
お姐 そうそう、そうなんですよ。で、親子で来て、都知事を見てこれから家に帰ってご飯を食べながら、「今日は都知事を見られてよかったね」と。それで普段の生活の中で政治の話ができる。思春期の子たちも今日は来てたんですけれど、普段は話しにくくても、「今日は都知事どうだった?」って話すきっかけにもなる。そうすると、「選挙いきなさいよ」と押し付けなくても自分で「選挙に行こう」って思うようになる。今日の場がまさに主権者教育なんです。
ママも「上田さんの選挙で初めて選挙に行きました」という人が結構いるんです。一度選挙にいくと、今度はすべての選挙に行き始めるんです。それで自分の入れた人が当選すると「私の一票がぁ」ってなるんですよ。「できるんじゃん、変えられるんだ」っ感じられる。
あと、今回の選挙で、最初に「江戸川ワークマム」を始めたときに赤ん坊だった子たちが、18歳選挙で投票できるようになったんです。その子たちは小さな頃からずっと見ているので感慨深いですね。
―上田議員は情報発信で、ネットなども活用されていると思うのですが、都民ファーストの会は党としても立ち上げたばかりで、準備不足の方やできていない方がいると思うのですが、党として、上田議員や音喜多議員がアドバイスしたりしているんですか?
お姐 そこまではないですけれど、個別の相談には乗りますよ。
―選挙が終わって、党としてちゃんとやっていった方がいいかなというのはありますか?
お姐 新人の方たちも選挙自体がわからないだけであって、みなさん大変優秀なひとたちなので、当選して落ち着いてきたら、平場で相談しながらみんなでやれる雰囲気になると思います。
“お姐”って聞くと、大柄な女性ってイメージがあるのですが、上田議員は意外と小柄です。でも、芯はしっかりしていて、本当にママさんや子どもたちのことを考えて政治を進めているというのを感じました。行動力があり、江戸っ子らしく、親しみやすい感じはまさに“お姐”。2期目にさらなる活躍が期待できる政治家なのではないでしょうか。