2011年の福島原発事故以来、当時の政権与党であった民主党出身の政治家は「脱原発」を標榜し、原子力発電所が立地している自治体でも原発反対派の人物が当選するケースが見られます。世論調査でも原発再稼働に反対する有権者が過半数を超えるようです。しかし、やみくもに原発反対を唱えるのは国益に反すると思います。
福島原発事故が発生した要因
大手マスコミはほとんど報道していませんが、原発事故を起こした福島第一原子力発電所は、東芝製でも日立製作所の製品でもなく、アメリカのGE社の製品を使用していました。GE社の製品ですから、当然、アメリカ国内に設置することを前提にして設計がされています。例えば、非常電源は地下に設置する構造になっていたようです。アメリカではハリケーンが発生するため、ハリケーン対策として地下に非常電源を設置していたようです。
しかし、日本の原子力発電所は海岸に設置されるため、非常電源を海岸の地下に設置することになりました。そして、2011年に発生した東日本大震災での大津波が福島第一原子力発電所の非常電源を襲い、非常電源が海水に浸かってしまったために、冷却装置が動かなくなったと言われています。
ちなみに女川原子力発電所もGE社の製品を使用しているそうですが、女川原発を建設するときは、東北電力の担当者がGE社の製品の設計図を見たときに「原発は高台に設置する必要がある」と機転を利かし、海岸の高台の場所に女川原発を建設するように取り計らったため、東日本大震災が発生したときに女川原発の非常電源は大津波によって水をかぶることがなかったと言われているのです。
ですから、日本全国の原子力発電所の発電装置が、どの会社の製品が使用されているのか、発電装置の設計図がどのようになっているのかを政府や電力会社、大手マスコミは国民に対して公開する必要があると思われます。そして、これらの要素を検証したうえで、安全と思われる原子力発電所についてはすみやかに再稼働すべきと思われます。
国防の観点から、いつでも核武装ができるということを近隣諸国に示す必要があります
発電設備として原子力発電所を稼働させると、使用済み核燃料が排出されます。その使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出すのが、再処理工場です。日本は、茨城県東海村に再処理工場を所有しています。プルトニウムは、簡単に核兵器への転用が可能とされているため、国際的には日本は潜在的な核兵器保有国とみなされています。
ここが、国防上は重要なポイントだと思われます。近年、中国は日本の領土である尖閣諸島を奪取する動きを露骨に示しています。領海侵犯を頻繁に繰り返しています。これを放置するわけにはいきません。現代の国際政治は、相対的にアメリカの国力が弱体化し、ロシアや中国の国力が増強されています。北朝鮮でさえ、核開発能力や他の軍事能力を高めてきています。
そして、ロシアはクリミア半島を強制的にウクライナから奪い取り、中国は実質的に南シナ海を支配しようとしています。おそらく中国は東シナ海の支配も狙い、尖閣諸島の軍事占領を考えていると思われます。このような軍事情勢のとき、日本が軍事力の増強を宣言し、核武装を宣言したならば、中国は尖閣諸島の奪取を狙うことを控えるはずです。日本を怒らせるわけにはいかないと判断するようになると思います。ロシアでさえ、日本が核武装するとなると、いままでのように北方領土問題について合法的にロシアの領土としたなどという主張はできないと思われます。
つまり、日本が軍事的に力をつければつけるほど、中国の野望を抑制することができ、ロシアに対しては北方領土返還交渉を日本側に有利に展開させることが可能となると思われるのです。このような軍事情勢を理由に、原子力発電を放棄することは、軍事上の国益を放棄することに等しいと思えてしまいます。
原発反対派は、福島原発事故の被災者の長期にわたる避難生活や、農作物の風評被害などを理由に挙げて、感情的に原発反対を唱える傾向がありますが、いまは頭を冷やして冷静に多様な角度から、国益の観点で原発再稼働について検討すべきと思われます。