安倍政権が掲げる「人づくり革命」とは?
2017年の衆議院議員選挙で、安倍晋三首相率いる自民党は「生産性革命」「人づくり革命」をアベノミクス最大の勝負と位置づけ、選挙戦に臨みました。結果はご存知の通り、自民党の大勝。これから「生産性革命」や「人づくり革命」が実施されていくこととなります。
ところで安倍内閣が掲げる人づくり革命とは一体どのようなものなのでしょうか? 人づくり革命はかねてから必要性について指摘されていた幼児教育無償化、高等教育の負担軽減、保育士や介護人材の流出を防ぐための処遇改善、待機児童の解消などを目的としています。
子育てをするにあたって障壁とも考えられている子育てへの不安を減らし、経済的な負担も減らすことで巡り巡って消費が活性化し、経済全体を向上させ、さらに出生率の引き上げにも繋げていこうというものです。
アベノミクスの新三本の矢では、出生率1.8を掲げていましたが、これとも関連しています。介護人材については定着性の低さがかねてより問題視されていましたのでこれも解消することが重要であるということです。
「人づくり革命」で影響を受ける人たち
人づくり革命では、主に介護人材、保育士などに焦点が当てられているように思えます。しかし、実際には介護関係の方や保育士以外の方も関係しており、影響を受けると考えて良いでしょう。
まずは介護関連業務に就く人や、保育士の仕事に就く人の賃金の引き上げなどが掲げられていますので、これらの方々に直接的な影響があります。幼児教育も無償化され、高等学校へ行くための費用も抑えられるなら、お子さんのいる家庭では、娯楽やより生産的なことにお金を回せるかもしれません。
従ってこれらの方々は直接的に影響があるということになります。もっとも、お子さんがいる家庭で娯楽などの消費に回すことができれば、これらのビジネスに関わる人も間接的に影響されていると考えることができます。
また、以上の方々と関係ないような方も、他者の消費が増えれば需要が増えることになるので、最終的には全ての人が関係していると考えることができるでしょう。介護関係者や保育士の収入が保証され、波及的に消費全体も増えるという考え方です。
「人づくり革命」成功のカギは?
では、人づくり改革が成功するためにはどうすれば良いのでしょうか?
一見すると、処遇が悪かった介護士さんや保育士さんらの待遇が改善され、幼児から高等教育まで学費などこれまで家庭の負担と考えられ、出生率低下の原因を取り除くいいとこどりの良い政策であるように思えます。
リスクなど全くないようにも見えます。しかし、政府が特定事業への支援を行うということは少なからず税金が投入されるということも意味しています。政府は2兆円規模の財源を捻出するとしていますがこの財源は我々が働いて納める税金から出されることになります。多額の税金を投入した結果、政府が思い描くような結果が到来するということは必ずしも保証されているわけではありません。
成功のカギは、ただ単に介護士や保育士の表面的な処遇を改善するだけでなく、介護士や保育士が離職する原因として抱えている問題も踏まえる必要があるように思えます。彼らの離職の理由としては、労働条件や福利厚生も重要ですが、人間関係の影響も大きいと言います。介護される側と介護する側、そしてその家族。保育する側と子どもを預ける親。そんな人減関係のわだかまりを解消するような政策も合わせて実行することが重要なのかもしれません。