安倍政権が掲げる「生産性革命」とは?
安倍内閣が掲げる生産性革命とは一体どのような政策なのでしょうか?
「生産性革命」は、アベノミクスの新三本の矢のキーワードの一つです。安倍政権は新三本の矢として「希望を生み出す経済(2020年までに名目GDP600兆を実現する)」「夢を紡ぐ子育て支援(出生率1.8パーセント)」「安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)」を掲げました。これらの実現を目指す際に必要なのが「生産性革命」であるとしています。
2017年12月の発表によれば生産性革命によって日本の生産性を年2パーセント上げる、設備投資額を2020年までには2016年より10パーセント増やす、2018年度の以降3パーセント以上の賃上げを実現するとしました。そして、2020年度までの3年間を集中的な期間と位置づけ、中小企業を含めた、企業による人材への投資や設備投資を促すとしています。これらの目標達成に向けて政府は税制の優遇、規制の緩和、予算の配分などに力を入れていきます。
「生産性革命」で影響を受ける人たちは?
生産性革命によって影響を受ける人はどのような人たちなのでしょうか?
生産性革命は中小企業も含めて稼働する力を高めていこう、支援していこうというものです。大企業についてはあまり触れられていないのですが、中小企業を含めてということなので企業に関わる人、ビジネスに関係する人は広範囲で対象としているということです。
しかし、大きく力を入れたい対象が中小企業であるので、まずは、その企業で働く人たちが大きな影響を受けるでしょう。中小企業と取引している企業や大企業も当然影響があることになります。また、働く人を支える家族も影響があるといえます。結局全ての人が多かれ少なかれ影響をされることになります。
今回の骨子はとりわけ中小企業のIoTの導入やクラウド活用などの設備投資に目が向けられています。特に導入が進んでいない企業を強く対象としており、IoTの導入やクラウド活用などの設備投資が進ん委でいない企業が大きな影響を受けます。
「生産性革命」成功のカギは?
安倍政権が進めるこの生産性革命は成功するのでしょうか? 成功するとすれば成功するためのキーはどのような点にあるのでしょうか?
中小企業に対する積極的な支援は一見好ましく、メリットばかり存在するかのようにも見えます。しかし、中小企業を積極的に支援するリスクについては何人もの専門家たちからも疑問が呈示されています。また、海外投資家などからは厳しい声もあがっており、良い面ばかりではないようです。
そのリスクとは、中小企業に支援を行い優遇することによって、本来であれば倒産したり撤退するなどして市場経済から退場しなければならなかった企業が生き残ってしまうケースがあるということです。これでは生産性が上がるどころか、むしろ市場経済が停滞する可能性があります。
また、生産性革命の中身は、官僚が主体となって考えられたもので、公共事業の増額など、これまでの政策と大きく変わらず、肝心の岩盤規制改革が進んでいないと指摘し、「生産性革命」が中身のない掛け声だけの政策になってしまうと指摘する声もあります。
ただ単に支援したり優遇するだけではなく、業種の特性や企業の実態を踏まえた支援を行い、さらに岩盤規制改革を進めて、多くの民間企業の生産性を向上させていくことが成功のカギだといえそうです。