民進党

2017年都議会議員選挙、政策を比べる【民進党】

民進党に都議会議員選挙の政策を聞いてみた

2017年6月12日、永田町の民進党本部を訪問。民進党東京都連政調会長の斉藤あつし議員に都議会選挙の政策についてお話をお伺いしました。(インタビュアー:亀山崇)

民進党が求めていた政策を進めているという部分で小池知事を支持する

―まずは、小池知事に対する政治スタンスについてですが、民進党の街頭ポスターなどを見ると、「小池知事を支持します」といった文言が書かれているものを見かけるのですが、都民ファーストの会と政策協定を結んでいるのですか?

斉藤あつし

斉藤 政策協定はとくに結んではいないです。支持しますということを言えるのは、例えば、今回の議会で可決した公文書管理条例などはそうなんですけれども、条例制定を我々は求めていて、小池知事も条例案にするという流れになったんです。

また、これは舛添知事時代の案件ですが、都立広尾病院移転というのがあって、私も一般質問などをしたのですが、移転の経緯で明らかにおかしい部分があった。それを12月末に小池知事が補正予算をマイナス370億円にして、一度白紙化したんですね。

そういう部分で、政策的に我々が求めていたことを実行したということもあって、今までやった部分については「支持します」という言い方になっているのだと思います。もちろんなんでもかんでも小池知事に賛成ですよという意味ではなく、そいう言う意味では是々非々です。ただ、我々がいいと思って進める政策の良さをわかっていただいている部分はあると思います。石原氏、猪瀬氏、舛添氏より賛成できる部分が多いということです。

―民進党の都議会のなかの会派名が「東京改革議員団」という名前になりました。会派名から「民進党」が外れて、一部反感を買っているという声もあるのですが、これについてはいかがですか?

斉藤 ちょっと分かりずらいというのは確かにあります。ただ、これには理由があって、旧維新のひとたちと一緒になったときに、実は他のグループの方も「一緒にやりませんか」とお声掛けした経緯があるんです。「民進党」という名前が入っていると、他の会派の方が入ってこられない。それで名前を外したんですね。

また、会派名を変えた時に、この先離党者が出るかもしれないというのを見越していたのもあります。党の名前が入っていると、離党者は会派も出なければならないですが、党の名前が外れているので、離党した方も、会派は同じままでいられる。結果として、今回の議会では会派は18人のままで終えられました。

―離党した方も推薦を出したり応援したりということはあるのですか?

地域の市議や区議は、いままでずっと一緒にやっていたわけで、応援したいという方もいるのではないかと思っています。そういう市議や区議の声は斟酌しなくてはいけないと個人的には思っています。

無害化の約束を果たしてから移転をするべき

―豊洲移転に関する党としての考えをお聞かせください

斉藤 私たちはもともと東京ガスの跡地への移転は反対でした。ただ平成22年に議会で予算が通過したので、石原元知事と東京ガスの跡地を無害化をすると約束したんです。それが附帯決議なんですけれど、それができていない。でも、自民党なども当時約束したメンバーでありながら、もう十分でしょう、豊洲に移りましょうと言っている。それは違うのではないかと思うのです。約束を反故にするというのはとんでもない流れです。

―自民党、公明党、維新の会などは、現状でも安全の部分は確保できたから、すぐにでも移転するという考えです。民進党は「無害化したら」という条件で賛成ということですね。

斉藤 そうです。そこが当初からの約束ですから、そこからブレる必要はないと思います。

―無害化前提ということになると、現時点ではまだできていないわけですから、そうすると延期というわけですか?

斉藤 専門家会議から具体的なアイディアが出てきています。何カ月かはかかるみたいですけれど、そこまでやって、安全レベルも、一般の方の認識も一段上げていかないと。今すぐというわけにはいかないですけれども、そこまでやってから移転ですね。

豊洲をあのままにしておくのはもったいないという声もありますが、無害化は必要です。工期を短縮するために、予算が多くかかるということになるのは仕方がない部分はあると思います。長く引っ張るよりはいいだろうと思うので。そもそも今の時点で無害化できていないということがおかしいのです。

オリンピックでひとつになっているところで、大切なものが抜け落ちてはいけない

―東京が抱える一番の課題とその対策についてお伺いします。

斉藤あつし

斉藤 2025年問題ですね。団塊の世代が75歳になる。それに向けた生活保障を中心とした、都民の生活を支えるシステムしっかりと構築していくことが重要です。高齢者はもちろん、障害を持った方、生活が本当に苦しい方が安心して生活できる東京にしていきたいと考えています。

今、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、みんなが成功させようと動いているわけです。先日も都外の仮設施設の約500億円を結局都が負担することになったのですが、本当に生活に困っている人から見たら、「オリンピックはいいからこっちに回してくれよ」って思うじゃないですか。オリンピック・パラリンピックも大切なんですけど、それが最優先みたいな雰囲気を作ると、困っている人たちは忘れられているんだということに繋がってしまう。オリンピックで国民がひとつになっているところで、大切なものが抜け落ちてしまってはいけない。オリンピックを『パンとサーカス』のサーカスにしてはいけないと思うのです。

斉藤 また、これも2025年問題とリンクしてくるのですが、今、特養老人ホームの待機者がおよそ4万3,000人います。一方で有料老人ホームは空きがある。有料老人ホームは平均すると月額25万円くらいかかります。特養は9万5,000円です。特養は税金がフォローしているんですね。

そこで、家賃補助のような形で有料老人ホームの入居支援を行うというものです。年金生活者の方の年金だけでは有料老人ホームは難しいですが、月に5万円でも10万円でも補助して、多少なりとも年金のある方は、有料老人ホームに入ってもらう。そうすることで特養の待機者が減らせます。そして、本当にお金がない人、本当に重くて身寄りのない人を特養の方に振る。

老後の心配をして、財布のひもが固くなっている人に対する消費効果もあると思うのです。これは300万人くらいの効果があると見ています。これにかかる財源は、168億円くらいです。都外のオリンピック施設にぽんと500億円出せるのですから、それくらいはなんとかなるはずです。

不得意な政策を浅い解釈で発言しないように党としてフォローする

―政治家の情報発信についてお聞かせください。失言・炎上対策や、情報発信の勉強会など党としてどのように取り組まれていますか?

斉藤 特に選挙中にありがちなのですが、候補者もくたくたになって、いつもならば絶対言わないような言葉が発信されてしまうことがあります。特に政策に関することはなどは、誤解を与えるような表現になっていないかということはチェックしていきたいと思っています。候補者ごとに政策の得意・不得意はありますから、浅い解釈で政策を言わないようにすることが大切です。そこは党としてフォローしていきたいと考えています。

―選挙の時だけ情報発信をするという人もいると思うのですが

斉藤 都議会の今いるメンバーは、みんなそれなりに真面目で、党からも人が入ってフォローしています。普段の部分に関しても、お互い情報交換をしているので、それほど差がつくことはないと思います。

昔の話ですが、民主党が良かったころですけれども、ベースの活動(ネットや紙媒体での情報発信や駅頭活動、議会報告会など)のイメージがない人が確かにいました。それについては反省した部分もありますので、得手、不得手はあっても、一定レベルの情報発信をやっていくというのは当然ではないかと思っています。市区町村の議員さんなどはよく勉強会なども開いています。

議会でも当たり前に産休・育休が取れる雰囲気に

―若者や女性の政治参画についてはどうお考えですか?

斉藤 議員に関しては、選挙の時は女性の候補者も結構いるのですが、選んでいただけていないというのが実情です。僕らのなかでは、女性だからという意識はしていないですね。

僕らの仲間で、武蔵野市でリベンジに向けてがんばっている松下玲子前都議は議員時代に出産したんですけれど、みんなぜんぜん気にせず「いつから休みなの?」「元気な赤ちゃん産んでね」みたいな話をしていて、産休、育休もあたりまえという感覚ですね。党内では声高に言う必要がないくらい普通です。そういう空気が、議会全体に伝わるといいのですが。

斉藤 若者が政治に遠いということについては、公職選挙法のなかでの選挙アイテムみたいなものが、時代的に昔のものですし、アナログ的なものだったり、かしこまった感じのものもあって、古臭くてとっつきにくいのかなと思います。そういう“カタチ”みたいなものは工夫すべきだと思います。

若い人が投票に行こうが行くまいが、若者に対する政策は進めていくべきです。若い人が、まだ社会の状況が分からない中で、世間に出ていく、そこで突き当たるさまざまな課題に対して、丁寧にフォローしていく。若者に投資をするのはどんどんやるべきだと思います。

―そほのかの政策についてもお聞かせください

斉藤 防災・減災対策として、都内とのどこでも、どんな状況でも通信できる状況にしようという政策を進めています。通信ができれば、あわてて帰宅したり、会社に寄ったりしなくてもよくなりますし、渋滞も減る。これによって2次的な災害を防ぐことができます。

医療・介護の分野では、障害者差別解消条例をきちんとやっていきたいと考えています。また、都市計画については、これはもう50年前の計画です。時代が変わってきている中で、今、暮らしている人たちの同意がいただけるように、もう一度見直す必要があると思っています。