選挙の意義と自分の持つ一票の価値を考えてみませんか?

選挙に最近行っていないという人は、どのような理由が挙げられますか?様々な理由の中で、選挙の有用性を実感できないからという人も少なくないかもしれません。
選挙の意義と自分の持つ一票の価値を考えてみる機会は、政治参加に意欲を持つために必要なことです。まずは自分自身の頭で、一度じっくりと考えてみませんか。

選挙の意義についてじっくりと考えてみましょう

政治における選挙の意義。みなさんはそのことについてどのようなお考えをお持ちでしょうか?「選挙」とは、単純に政治家を選ぶために参加するものではありません。私たち有権者一人ひとりの声を代弁してくれる代表者を選ぶために行われるものです。

日本国憲法が謳う国民主権。主権は国民に存するものですが、全ての人が直接的に政治に参加することができないのは当然のことです。そのような状況において、私たちの想いや考えを政治に反映してくれる代表者を選ぶ選挙は、民主主義を実現するために欠かせないことだと言えるでしょう。

家庭や地域、学校や職場など、生活に密に関連する場所で暮らしていく中で、「こうなればいいのになぁ」という小さな想いを抱えている方。実際の政治にあなたの想いや願いを反映させ、より良い社会の仕組みを作るための礎となるのが「選挙」なのです。

選挙権の歴史から自分の一票の価値を学ぶ

現在では、一定の年齢になれば男女とも平等に与えられる選挙権ですが、昔は限られた極少数の人にしか選挙権が与えられていなかったことをご存知でしょうか? 

日本で初めて選挙が行われたのは1890年、明治23年のこと。このとき選挙権が与えられたのは、満25歳以上の男性であり、かつ国税を25円以上納めている者でした。そして当時の選挙に参加することのできた人口は、全人口のなんとわずか1.1%に過ぎなかったのです。

しかし、そのような民主主義とは程遠い状況に国民の反発感情が沸き起こり、長い選挙権闘争の中で少しずつ選挙制度の改正が為されていきました。1925年に男子普通選挙が実現、そして第二次大戦後の1945年にやっと念願の全普通選挙が実現しました。ここで初めて満20歳以上の男女全てに選挙権が与えられるようになったのです。

長い歴史の中で獲得した普通選挙権。政治に参加したくても参加することのできなかった時代の人々が闘い得たこの一票は、一定の年齢になれば誰でも自動的に与えられるものだと表現するにはあまりにも言葉が軽すぎることでしょう。選挙権の歴史から一票の価値を学べば、選挙を棄権することにも多少なりとも罪悪感が生まれるはずです。選挙の際は自分の一票を大切にして下さい。

理想を完全に実現する政治は難しい

選挙の重要性、そして自分の一票の価値について理解していただけたことだと思いますが、実際の選挙の際には誰に投票すれば良いか分からないから参加しないという場合もあることでしょう。しかし、投票先が見つからないという理由から選挙に参加しないのは、貴重な一票を捨ててしまっているのと同じことです。

全ての候補者の公約を確認した上で、比較して投票することは確かに時間と労力がかかることです。その中で、理想的な政策がないと判断することもあるかもしれません。ですが、自らが政治家とならない限りは、自分の理想を100%実現する政策には中々出会わないもの。投票の際はベストよりベターを。あまり緻密になりすぎず、自分の考えと似た政策を掲げている政党や候補者を選ぶという心構えで良いのです。ただし、ある程度は適切に政策を判断することができるように、普段より新聞やニュースで政治に関する情報を得ておくことが大切です。

民主主義の成熟には若い世代の政治参加が必要です

選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げて行われた、2016年7月の参議院議員選挙。20歳未満の参議院選挙の投票率は45%という結果になりました。

若い内から選挙に参加することは政治に対する興味や関心を持つことにもつながり、継続した選挙参加、ひいては得票率の向上が期待できます。民主主義の成熟には、若い世代の得票率のアップが欠かせないことです。若い世代の政治に対する興味・関心を養うため、学校における授業の一環として模擬選挙を行ったり、政治課題や選挙について話し合う討論授業が効果的でしょう。
一方で、政治家を身近に感じる機会が少なすぎるようにも思います。学校の授業や講演会に政治家を招くなど、政治家を身近な存在として捉えられる場の提供も必要ではないでしょうか。そして、SNSなどの若者向けメディアを通じて、政治情報に触れられる機会を増やしていくことも、政治に対して興味や関心を持ってもらう良いきっかけとなっていくはずです。

田中康弘

田中康弘

24歳男性、長崎県在住の塾講師。社会科の授業を熱心に教えることが最近特に力を入れていること。しかし、受け持っている生徒には時々暑苦しがられることも。