ベーシックインカムとは、政府が国民に対して必要最低限生活を送るのに必要なであろう金を無条件で給付するものです。1970年代のヨーロッパで議論がはじまり、2000年代になってからは新自由主義者を中心として少しずつではありますが、日本でも議論が活発になっていっています。
ベーシックインカムの利点
ベーシックインカムの導入は様々な利点をもたらします。
特に効果的なのが、貧困対策や少子化問題の解決、雇用問題の解決にもなるところです。一定の所得を政府が保障することによって、必要最低限度の生活が送れるようになワーキングプアー対策にもなります。
日本は正社員と非正社員との格差が著しいので、ベーシックインカム+ワークシェアリングなどの組み合わせをすることによって、正社員との格差を是正できるのではないでしょうか。
もちろん企業側にもメリットがあり、無理な雇用契約を結ぶ必要がなくなるので、企業経営も人件費で圧迫されるということがなくなります。この雇用問題を解決することによって、十年以上前からの問題である少子化の解決の一手になるのではないかと言われてもいます
そもそも少子化は給料が上がらないので子供を作りたくても作れない。というスパイラルに陥っています。ベーシックインカムによる下支えの収入があることによって、最低限の生活が守られているという保証があることによって、安心できる夫婦が多くなるのではないかと思われます。
加え、子供の貧困化という先進諸国とは思えない問題も日本は抱えています。
ベーシックインカムで低収入のため子供に今までお金を使ってこなかった家庭も子供のために使うことができ、貧困化を防止も期待できます。さらに、今の崩壊寸前の年金制度や社会保障制度を全て、ベイシックインカムで一本化することによって行政もスリム化し、余計な職員の削減にもなり国や地方自治体の収益も黒字になりやすくなるのではないかと思います。
ベーシックインカムの欠点
様々な問題を解決に導くベーシックインカムにもいくつかの問題があります。
やはり一番の問題は、財源の確保でしょう。何しろ莫大な金額が必要です。仮に国民一人当たり10万円、日本国民の人口1、3億人とすると簡単な計算でも130兆円もの膨大な資金が必要となります。
もちろん、様々な工夫をしたとしても実際に上手くいく保証はどこにもありません。
日本は現在千兆を越える国債を抱えています。
失敗したら、国内や様々な国から猛烈な批判をすることは目に見えています。ネガティブな考えもあり、中々やりたくてもできないのでしょう。加えて人間には「働かないもの食うべからず」といったような昔からの精神的な風潮があるのも、ベーシックインカムが推進されない一つの要因となっています。
日本でも各種の定額給付金や子供手当て、各種配当金などの不労所得を否定する考え方が未だ根強いのも事実です。さらに産業界はベーシックインカムをすることによって経済の停滞を招くのではないかという危機感があり、労働意欲の低下で犯罪の多発なども心配されています。
結局どちらがいいのであろうか?
今現在日本は大変な時代転換な時期が予測されています。
数年後にはTppが施行され、海外からの労働者が多くなることが予想できます。加えて、人工知能は人間が思っている以上に進化を進めています。きっと今の数倍以上でロボットが私たちの社会に溶け込んでいることでしょう。
今まで労働者だった人たちは、職を失う可能性がかなり高いです。
さらに格差は今以上に広がり、勝ち組や負け組なんてのも今まで以上に広がっていることでしょう。
きっと先進諸国ではこのようなことが起こるのは火を見るより明らかです。だからこそ現在ヨーロッパではベーシックインカムという新たな制度が実験的段階ですが、行われているのだと思います。
先日、スイスで行われた国民選挙でベーシックインカムが是か非かの投票が行われ、結果が出ました。結果は、賛成が23%、反対が77%で国民のほとんどが反対という結果になり、まだまだベーシックインカムに対しての理解が浅いことが浮き彫りになりました。
それでも個人的には、ベーシックインカムという制度は、今のどこか仕事中心の生活から少しでも人間らしい生活に切り替えることのできる手段の一つなのではないかと期待しています。