今、世界中のあちこちで既成の政治勢力とはまったく異なる存在であるアウトサイダーの政治勢力や政治家が現れています。
しかし、日本ではそれらのようなアウトサイダーの政治勢力や政治家は現れていません。
それは何故なのでしょうか。世界政治の現状を見ながら考えてみます。
世界政治におけるアウトサイダーの台頭
今、世界の先進国は低成長、社会保障費の増大、貧富の差の拡大などどこも同じような課題を抱えています。
そんな先進各国で、既成勢力や特権階級に反逆するようなアウトサイダーの政治家や政治勢力が台頭しています。
例えばフランスでは国民戦線、ドイツではドイツのための選択肢、イギリスでは英国独立党と既成勢力に敢然と立ち向かうアウトサイダーたちが勢力を伸ばし、政治の世界に影響を与えているのです。
極めつけは2016年アメリカ大統領選挙です。次のアメリカ大統領になるかもしれない4人の候補のうち、3人がアウトサイダーです。
民主党のクリントン氏は国務長官、上院議員とワシントン政治の中枢に居続けた典型的インサイダーですが、他の3人はそうではありません。
同じ民主党のサンダース氏は長い間民主党中枢から相手にされていませんでしたし、共和党のクルーズ氏も、その辺はサンダース氏とほとんど変わりません。
そして最も代表的なのが共和党のトランプ氏です。そもそもこの人は政治を動かした経験がありません。議員どころか知事や市長になったことがない、究極のアウトサイダーです。
ここまでアウトサイダーが台頭した選挙は、アメリカの初めてではないでしょうか。
と、このように、世界はアウトサイダーの政治家や政治勢力であふれています。では日本ではどうでしょうか。
日本におけるアウトサイダー勢力の現状
皆さんご存知のように、日本では自民党一強態勢が定着しています。自民党はいうまでもなくインサイダー、既成勢力の代表です。
では日本にはそんな既成勢力と戦うアウトサイダー的な勢力はいるのかというと、これがいないのです。
民主党、いえ民進党は曲がりなりにも政権を担ったことがある政党ですし、おおさか維新の会は政権に近すぎます。
公明党は与党ですし、他の勢力は力がなさすぎます。
しいて言うなら共産党がアウトサイダー勢力といえるのかもしれませんが、共産党は歴史のある政党なので、既成勢力の一種と言えるでしょう。
と、日本には国民戦線やドイツのための選択肢に比肩する勢力はありません。
しかし日本も先進国の病(低成長や貧富の差の拡大など)にかかっているはずです。
それなのに、なぜ日本だけアウトサイダー勢力が台頭しないのでしょうか。
何故日本にはアウトサイダー勢力が現れないのか
日本にアウトサイダー勢力が現れない理由、それはこの国の閉鎖性にあると思います。
アウトサイダー勢力と言うのは、基本的に排外主義的です。
なので反移民、反EU、反イスラムといった大義名分をかかげ、閉鎖的な国を作ろうとします、しかし日本は現状、既に閉鎖的です。(日本は難民や移民をほとんど受け入れない国のひとつです)
なので排除するべきほどの強大な敵が国内にはいないのです。
それが現状維持願望イコール自民党の強さと、アウトサイダー勢力が日本で育たないことに繋がっていると個人的に考えています。
他にも、民主党への政権交代があまりよい結果に結びつかなかったので、(そう大勢の国民が思っていたから、選挙で民主党は大敗したのです)統治経験のない政党を信用できないという国民感情もあるのでしょう。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。
日本にもアウトサイダー勢力が必要
政治というものは競争です。野党が輝くから、与党もそれに負けじと頑張るのです。
野党が弱すぎると、与党も「このまま適当にやってても選挙に負けないだろう」と考えてしまいます。そしてそれは最終的に国の劣化に繋がります。
だからこそ、日本にも強いアウトサイダー勢力が必要です。
国民戦線や英国独立党のような強いアウトサイダー勢力が日本に現れ、大勢の人々を動かすことに成功すれば、ぱっとしない野党群にも、たるんでいる与党群にも「これは危ない、うかうかしているとアウトサイダーに打倒されてしまう」と衝撃と気合を与えることが出来ます。
そうなれば、各政党が切磋琢磨して、政策論争や討論などが活発になっていくことでしょう。
その為に、そしてあまりにも他の政党がだらしなければ政権与党になってもらう為に、日本にもアウトサイダー勢力が必要なのです。