昨年の「保育園落ちた日本死ね」というブログが国会で取り上げられるなど、以前から問題となっていた保育園の待機児童問題をはじめとする、少子化対策、子育て・教育政策は、今回の選挙の注目の政策となりました。自民党・公明党が、消費税増税分の税収の一部を子育てなどに回すとし、また、自民党は憲法に教育の無償化を明記するなど、子育て世代へ向けた政策を打ち出してきました。
しかし、教育の無償化は以前より日本維新の会などが政策として掲げており、目新しいものではありません。実際、幼児教育の無償化、高校授業料免除、無利子奨学金、給付型奨学金に関してはどの政党も推進する方向で一致しており、教育政策の大きな流れとしては違いがありません。
教育政策については、バウチャー制度や道徳教育など、それぞれの公約に記されている具体的な政策について比べていくのがよいでしょう。
自民党 |
- 「幼児教育振興法」の制定と、幼児教育の無償化、低所得世帯の児童生徒への支援強化、学生などへの給付型や無利子奨学金・授業料減免の拡充。
- 「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までの3年間で約32万人分の保育の受け皿を整備。
- 法整備も含めた受動喫煙対策。
- 学校での働き方改革を行い「チーム学校」をつくる。
- 「家庭教育支援法」を制定。
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公明党 |
- 2019年までにすべての幼児(0~5歳児)を対象とした幼児教育、保育の無償化を実現。
- 2019年までに私立高校授業料の実質無償化(年収590万円未満)。
- 給付型奨学金を2018年度の本格実施以降も、給付額・対象枠を拡充。
- 希望するすべての学生等への無利子奨学金の貸与。
- 教員の働き方改革、チーム学校の推進。
- 大学における学び直し機能の強化など、リカレント教育を推進。
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希望の党 |
- 幼児保育・教育の無償化、大学における給付型奨学金の大幅拡充。
- 「待機児童ゼロ」の法的義務付け。
- 大学での高齢者学生の受け入れを推進。
- 都内23区の学生数を抑制する文部科学省告示を廃止。
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立憲民主党 |
- 児童手当、高校等授業料無償化、所得制限の廃止。
- 大学授業料の減免、奨学金の拡充。
- 保育士・幼稚園教諭の待遇改善、給与引き上げ。
- 児童相談所や児童養護施設、民間団体との協働を強化。
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日本維新の会 |
- 機会平等社会を実現するための教育完全無償化。
- 教育バウチャー・保育バウチャーの導入。
- 保育士給与に関する官民格差の是正。私立保育園と無認可保育施設の保育士の処遇を大幅改善。
- 子どもの数が多い(特に3人以上の場合)ほど税負担の軽減が大きくなる「N分N乗方式(世帯単位課税)」の採用。
- 教育予算の対GDP比を他の先進国並みに引き上げ。
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共産党 |
- 高校授業料の完全無償化。
- 高等教育の無償化を目指し、10年間で国公私立の学費を半額に。
- 給付制奨学金の拡充と貸与制奨学金の無利子化。
- 保育園待機児童問題を解決。
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社民党 |
- 保育料や幼稚園授業料の負担軽減を図り、無償化を目指す。
- 高等教育(大学、大学院等)の学費は、将来的に無償化を目指し、段階的に引き下げ。
- 奨学金は無利子を原則とし、給付型奨学金を拡大。返還中の方の負担軽減・免除策を導入。
- 学校給食の無償化。
- 「待機児童ゼロ」を実現。保育士等の給与を当面月5万円引き上げ。
- 「子ども・若者省」の設置を検討。
- 小学校30人以下学級の早期完全達成と教職員定数の拡大。
- 公的教育予算を国際標準のGDP5%水準に引き上げ。
- 過剰に愛国心をあおる道徳教育は認めない。国旗・国歌の教育現場での強制に反対。
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日本のこころ |
- 返済不要奨学金の充実。
- バウチャー制度(供給サイドから需要サイドへ税を投入)による子育て・教育政策の拡充。
- 育児休暇制度等の制度・運用の充実。
- 保育士への支援拡大。
- 扶養する子供の数が多いほど税制上有利となる制度の検討。税制・年金制度において非婚化・晩婚化対策。
- 国際的に第一級の知力と科学技術の革新力を持たせるための教育の重視。
- 「独立自尊」の精神を養い、愛国心を育む教育。
- 社会における公正と秩序を維持するための規範・道徳教育。
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幸福実現党 |
- 幼児・⾼等教育の無償化に反対。
- 無利子や給付型など高等教育に関する奨学金制度を拡充。
- 教育バウチャー制度の導入。
- 学校設立の自由化を進める。教員免許更新制を抜本的に見直す。
- 自然な愛国心を育む歴史教育。
- 宗教教育の充実。
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新党大地 |
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